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人狼物語 三日月国


176 【R18】実波シークレットパラダイス外伝【身内】

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【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「ネコと同じ大事にされ方は、……それはそれでどうなんだあ?」

同じとは言っていないが、同じラインであると妙な勘違い。話題の都合上仕方のないことではあるのだが。

それこそ猫のように撫でられた気がして、珍しくジト目でキミの手をゆるく払う仕草。本気で払ったりしない。叩いたりもしない。

「一日温泉漬けってのも悪くないけどねえ。
朝飯に顔出さんわけにはいかんなあ。今日は誰かねえ……」

まさか自分が含まれているだなんて微塵も思っていない腑抜け顔だ。基本的には楽観主義。どうにでもなるだなんて思っているものだから心配なんてしていない。
程々にあったまって、ずぶ濡れのまま入口まで。全体的にだらしがないものだから、タオルを取りに行くまで濡れたままの足が足跡を残し。

「まだあんのかあ……。
ああもういいよお、どんだけでも好きにしてくれえ……」

体を拭き終わった後に提示されたものに、ちょっとばかり辟易とした様子が見てとれるはずだ。
髪の毛を撫でる仕草にもぼっ立ちしたままで全てをされるがままに委ねているものの、二度目は断ろうと強く心に……誓おうとするが、できるかちょっと不安になった。頑張ろう。
それが終われば今度こそもういいだろうと、パッとその場を離れて身支度を整えたはずだ。
キミに没収されたものだって返してもらうが、全身すっかりクオリティが上がってしまって、落ち着かないったらなかった。
(-0) ankopanda 2022/10/01(Sat) 21:53:55

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

珍しく払われた手は、ちょっとびっくりしたような顔で自分の眼前に掲げて見つめたりしてたけど。
気にしない、それくらい。そんな一手を気にするような繊細な人間ならこんな態度はしていないのだ。
もうちょっとばかり、それこそ猫じゃらしで遊ぶみたいに頭を撫でようとして、
払われたり払われなかったり、物珍しい態度を受けていることを楽しんでいたかもしれない。

果たして自分の番、あるいは相手の番かもしれない、ということをきちんと理解していたか。
理屈としてはわかっていても、人間そういう想像は直面しないとはっきり浮かべられないもの。
誰だろうね、なんてあんまりにも呑気な相槌を返していたかもしれない、ところで。

「ははは、もっと色々やってる人もいるもんだよ。
 なんて苦労を語っても仕方ないな。……でもこれでちょっとでもいいなと思ったらさ。
 もう少し楽な手段だとかグッズだとか、選ぶくらいなら手伝うよ。髭周りは特にね」

少なくとも髪はあんまり興味が無くても、口周りがすっきりするのは気持ちいいものではあるだろう。
ね、なんて押し付けがましく言って、ようやく離れて自分も浴衣に袖を通す。
ほんのりと漂う甘い匂いはいつもどおり、朝から完璧な生き物の出来上がり。

その後は、件の朝の風景があったわけだ。
(-4) redhaguki 2022/10/01(Sat) 22:59:04

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「信クン、おかえり」

ようやく食事に迎えるだけの準備が出来たのは、朝ああして声を掛けてから、
あの大変な野球拳があって、落ち着いてからのことになった筈だ。
尤も望月のほうは軽く一発抜いただけにとどまったのに対して、
貴方はけっこう散々な目にあったあとだろうから、ちょっと疲労困憊かもしれない。
その辺りは社長から栄養ドリンクが配られているだろうから、元気になっていただいて。

四日目のその日は互いに同じ部屋を充てがわれていて、仕切りのこっちがわを使うことになってた。
他に同じ部屋となっていたのは榑林に緑郷。女性と混ぜるわけにはいかない。
だから必然、前後に何があろうと四人部屋内部の部屋の割り方まで決まっているはず、多分。
先に部屋に戻ってきた男は、夜気に晒された体を温めるために温泉を浴びたあと。
ただ、服装は浴衣ではなくて、ネクタイこそ締めてないもののジャケットにシャツ、
足元はチノパンツに革靴としっかりビジネスカジュアルに着替えていた。

「お店、二階のダイニングバーにしたんだけれどいいかな。
 キミが僕を探しに来た時に、僕が夕食を食べていたところだよ。
 テラス席も静かなんだけどさ、半個室のブースがあるから話はしやすいと思う。
 ……すぐ行ける? それとも向こうで待っていようか」
(-5) redhaguki 2022/10/01(Sat) 23:08:43

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「あ゛ーーー…………よっす」

何もかもを搾り取られ、精神も削られて摩耗した。
かなりのローテーション、呻き声も酷く低い中で、軽く手を上げてキミに応じるはいいけれど、ちょっとばかり直視をすること自体に覚える罪悪感。
それは勝手に抱いているだけのもので、キミに咎められたりした事なんて一度もないのに、その姿を見て感情に拍車がかかる。

「あそこかあ……。
ちょいとお邪魔するだけならいいけど、流石に浴衣じゃあれだな。服着るかあ……なんか持ってきてたかねえ。
先行っていいよお、すぐに後追いかけるからさあ」

社長からはドリンクをいただいたし、粘液まみれになったのだから、風呂にも入ってきた。
それでも浴衣はよろしくないかと、カバンから糊もアイロンもかけていないシャツとチノパンを纏って、一応は靴下も出して、キミが先に行くにしても、行かないにしても、急いで着替えておこう。
どれだけ胸中穏やかでなくても、キミを疎かにするような事はしたくない。

とはいえ、似たような格好でも、何もかもが決まらない。
安物であったり、よれていたり、サマにならないこと、この上ない。
(-7) ankopanda 2022/10/01(Sat) 23:42:21

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

ひどい声だな、とは言わないものの表情にはちょっと表れた。片眉を上げる。
短い待ち時間を他の場所に行って過ごすわけにもいかず、部屋のベッドに座ってくつろぐ。
手元にある本は相手にとっては知らない国の言葉で書かれたガイドマップだった。
一旦目を上げてから、着替え始める様子を見てまた本に目を落とす。

「折角着替えるてのに、焦って来させて汗だくにさせるのも悪いよ。
 予約だって部屋内の端末から連絡できるし、向こうに迷惑かけることもない」

さすがに着替えているのを凝視するほどデリカシーがないわけじゃない、なんて。
人が触手に襲われてあっぷあっぷしてるところは凝視するんだから妙な話だ。
そこはまあ、きちんと社長や技術者が見張っているかどうかの違いでもある。

相手が着替えるのを待って、足元もきちんと履き替えて。
連れ立って、今日の目的地に行く。他には部下しか知らない、ちょっとした穴場だ。
社員旅行で来ているんだから揃って食事をするのが概ね当たり前だし、
食事の出る時間と被ってたら当然旅館サイドに食事を頼んでる人間はそちらの施設に縁がない、
というごくごく単純な話の結果でしかないのだが。

店に着けば、席の予約をしていたとおりに奥へと通される。
前述の通りもともと人気の少ない店内の、奥の半個室は余計にがらんとしている。
イベントがあったり、食事の時間とズレていればもうちょっと賑わうのだろう。
配慮か時期に恵まれたのか、壁の一方は窓に面している。
とっくに日の暮れた風景は空と建物の境界もわからないが、灯る明かりは夜景を綺麗に魅せた。

「コースでお願いしちゃったけど、大丈夫かな。
 酒は飲み放題じゃないからちゃんとセーブしてね、あんまり飲んじゃダメだよ」
(-8) redhaguki 2022/10/02(Sun) 0:14:52

【秘】 経理課 富武 瑛 → 開発部 忌部 永信

こんな部屋に入ったばかりの入り口でぺたりと座って、何度も絶頂して白濁すら出なくなるような状態になるなんて流石に誰も思わないだろう。
今部屋のドアを開けたらこんな状況が目に飛び込んでくるなど、ドッキリでもありえない。

そのまさかが、この旅行では十分に起こり得るというのが面白いところではあるのだが。

「―――っは、ふぁ……んんっ」

球が全部出終わっても止まらない絶頂が身体中を駆け巡って、何も喋ることも理解することもできない。
それでも受け入れるかのようにこくこくと頷いて、その手をあなたに伸ばした。
欲しいものをくれる、男の肩に。

「ひぁっ、あっ。あつ、ぃい、んっ」

玩具とは違う熱い熱がスキン越しからも十分伝わって、それが媚薬とも相まって熱く、ひどく気持ちがいい。
大きな質量をもっているはずもそれも、あれだけ慣らされてしまえば、簡単に奥まで入り込んでしまえるだろう。
竿が出入りするだけで良いところにあたって、とっくに壊れた頭では掴まって喘ぐことしか……できないけれど。
(-9) eve_1224 2022/10/02(Sun) 0:34:17

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「汗掻くほど急ぐつもりはないけどねえ……」

革靴まで持ってきた自分に、思わず、おお、と声が上がった。
すでに数日前の記憶が若干怪しい。旅行の準備だって適当にしてきたものだから。
スリッパから靴へと履き替えて、襟を雑に正せば準備は完了。
いくら風呂場で綺麗に磨いてもらったとしても、二度目の風呂やら夕暮れの野球拳ですっかり5割減だ。

「うまく食えるもんなら何でも。
ええ、飲んじゃだめえ? ……うそうそ、いくら同室でも、飲み過ぎて潰れちゃ、その後の処理に困るって言われてるから気をつけるってえ」

普段通わない店、通わないような席、であるとはいえ。
仕事上の付き合い、管理職、外食の類もゼロではないだろうから、落ち着かないというほどでもないだろう。
パンツのポケットに手を入れて歩く、行儀の悪さはその直前まで相変わらずであったが。
とりあえずビール、を店員に宣言するぐらいは許してもらえるはず。きっと。

「……んで、ええと、話があるんだよなあ?」

初めは何かしらのお叱りかと覚悟をしたがその後の諸々でそうでもないらしいと落ち着いた今。
とならば、全く見当もつかないというのが現状だ。思いつかないから考えないことにして、即座に本題に入ってしまおう。
(-10) ankopanda 2022/10/02(Sun) 0:50:31

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 富武 瑛

「…ッ 、……あ、……っ、はは。
あー、……瑛ちゃんのケツマンいいなあ、めちゃくちゃ柔らかいのに締ま、るッ ……ッ 」

キミの許可なく、奥まで突き入れたとして、痛みを与えないようには気をつかう。
スキンをつけているとはいえ、キミに腰まで押し当てるほどまで犯せば、ローションは己の肌に纏わりついて、熱を呼び込んでいく。

もう言葉すら失ったキミを、自由に蹂躙する背徳感に、は、と息を吐きながら伸ばしてきたその手に応えるように、此方も抱き返す……のは、片手だけ。
もう片手が、つい先ほどまでキミを狂わせていたアナルビーズに伸びる。
掴めばそれを……白濁を吐き切らんばかりにイった肉棒の、その先端、亀頭の裏筋に押し当てて……。
スイッチを、再度押した。

「……気持ちいいねえ、ッ 、瑛ちゃん。もう何もわかんない、ねえ……っ。
いっぱい、イこうなあ……っ!」
(-12) ankopanda 2022/10/02(Sun) 1:00:44

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「少しならいいけど。潰れてもいいけど、話を忘れでもしたら僕もちょっと怒るかも」

冗談だ。相手が潰れてしまったとして、呆れこそすれ怒る自分の姿は想像出来ない。
そんなだから甘やかしているだとかなんだと言われるのかもしれないが、
実際、怒る気もしないのだろうから仕方がないだろう。

「僕もビール、ヒューガルデンで。……はい、瓶二本。大丈夫です。
 ……うん、何から話そうかな。おいそれと人にするような話じゃないからなあ。
 どんな順番で話すべきか、てのはわからないけど」

イタリアからひょっとするとスペインあたり、日本風にアレンジしたイタリアンが運ばれる。
格式高い、というよりかは洒落たものであることを優先したような店の佇まいだ。
実際、こうして色んな人を呼び込むリゾートの店としてはそれくらいのほうが客も親しみやすい。
6種前菜の盛り合わせに、旬の肴料理、マデラソースの牛フィレ肉。
それから雲丹のトマトクリームソース。
ドルチェには、いちじくのソースが掛かったクレマカタラーナが運ばれてくると説明があった。
一通り目を通し耳を傾けつつ、あとは運ばれてくるままに任されるだけ。
料理を待つ間に、最初に頼んだビールが運ばれてくる。
ピルスナーに慣れた相手には、爽やかなホワイトビールは少し新鮮かもしれない。
他に誰も見ていないから、当たり前に瓶の半分を注いでグラスを傾ける。
下戸、と嘘をついているのを忘れたかのように、自然な仕草だ。

「……信クンは、子供の頃どんなふうだった?
 僕は中学の途中まで、向こうに居たからあんまりこっちの習慣がわからないんだ。
 前に言ったよね、確か。半分スウェーデンで、四分の一がノルウェー。
 こっちの血は残りの四分の一だけ。母の家の都合でこっちに定住することになったって。

 名刺の名前と名義の名前、違うだろ。"望月諒"じゃ、あれこれ聞かれて大変なんだ。
 だから開き直って、名前は呼ばれ慣れてるほうで名乗ることにしたってのも、言ったっけ」
(-13) redhaguki 2022/10/02(Sun) 1:13:41

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「……え。
うわ、どう、……どうしたのお、本当に」

アルコールが頼まれるのを見て、本格的に目を丸くした。
一体、この場がどういう場になるのかと、軽く困惑の感情すら抱いて。
酒の力を借りたい程の事なのだとしたら、気軽に身構えるような事は良くないのだろうか。ほんのり姿勢を正す。

通ったことがない類の店というわけではないけれど、その横文字のメニューを並べ立てられて理解できるかというと……実のところ正直怪しいが、そこは大人だ。
わからないまま黙っておくという行為を貫いた。
うまいものはうまい、だけの話。

「オレかあ?
悪ガキって呼ばれて、しょーもない遊びをして、後はちょっとイタズラで母親に死ぬほど怒られたり、無茶な冒険をするからしょっちゅう怪我したりだねえ……」

「……ん。なんか海外住まいの事とか、うっすら事情とかは覚えてるよお。もうロビンちゃんで呼び慣れちゃって、諒って言われても誰?ってなるなあ。
ん、色々と日本は日本人以外は物珍しいからね。ロビンちゃんみたいな格好いい身なりでその名前だと身構えちゃうのもあるかもねえ」
(-16) ankopanda 2022/10/02(Sun) 2:07:14

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「はは、僕飲めないわけじゃないよ。……ああでも、多分信クンは覚えてないんだけど。
 最初の歓迎会の時さ。僕がまごついてた時に目の前にドン! って水のピッチャー置いた人がいて。
 なんだと思って見上げたら、信クンだった。多分飲めない酒に困ってると思われたんだろうな。
 ……ぜんぜん、そのときの信クンのほうがベロベロに酔ってたけど」

だから、もし覚えていたならそのときのイメージが強いのかもね、なんて添える。
下戸ではないのは相手は知っているはずだけど、酒が好きか嫌いかまでは言っていないかもしれない。
互いに長い付き合いだ。片方しか覚えていないことは、多分きっと様々にある。
自分が、相手にとっておぼえていないことを覚えているのと同じように。

「ははは、信らしいな。元気な子供だったの想像つくよ。
 怒られても凝りずに危なっかしいことして、……なんだか今も変わらないな、それじゃ。
 今でも子供みたいなところあるもんな、信クンは」

他愛ない話をしている間に料理が運ばれてくる。食器を扱う手先は手慣れたものだ。
箸を使う所作にも申し分ないのと同じ。なんら不都合があるようでもない。
他人に食事風景を見られるのをいやがるほど、不格好な手付きをしているわけではなかった。
切り分けた料理のひときれを、口に入れる。ふつうに、食事をしている。
そういう風景だって、やっぱり相手には物珍しい姿に感じられるかもしれない。

「で、子供の時は、向こうの家は結構広くってさ。帰ると仕事で両親もいなくて。
 誰かが帰ってくるまで、父さんのコレクションの映画を色々見てたりしてたんだ。
 ……その中の一つが印象的でね。1920年代くらいのアメリカを舞台にした作品で、
 今じゃ考えられないような、派手で向こう見ずなパーティの様子が映されてたんだ」
(-17) redhaguki 2022/10/02(Sun) 2:22:09

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

お互いに社会人だ。
酒が必要な場面だってある。20代であった頃は特に、何とかのハラスメントなんてものが声高らかに叫ばれる頃合いではあったけれど、だからといって浸透しきっている訳ではないものだから。
だからキミが酒を飲めない事はない、程度は覚えている。
でもすすんで飲むというのは予想外ではあったし……。

「いや、それたぶんオレじゃないって。
そんな、うわ、超空回っててるあたりはオレかもしんないねえ」

記憶にない。
それこそ、さっぱり。
あまりに心当たりがないし、そして酒によってやらかしの事案も一度や二度ではないから、口元を押さえながら真剣に考え出してしまった。
答えは出ない。
そんな酒の失敗について悩みながらビールを飲む滑稽な図。

「ネコって言われたり、子供って言われたり今日はせわしないねえ。
朝っぱらから丸洗いされたり、夕方には……あんなこともあったし、今はこうしてロビンちゃんと飯を食ってるんだから、調子狂うったら。
……1920年……っていうと、いつ頃だっけ。第一次世界大戦あたりだっけか?」

昔話をしたい気分なのだろうか。
だとしても、わざわざこんなところに呼ばれてナイフやフォークを握っている理由はちょっとわからないが、だからと話の筋が見えないと腰を折ったりはしない。
海外のドラマだとか何だとか、どれぐらい自由であったか、純日本人の己に想像もつかない。
(-18) ankopanda 2022/10/02(Sun) 2:46:58

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「いや絶対信クンだったね。普通、ピッチャーごと置かないでしょ。ちゃんと覚えてる。
 でも別にからかってるとかじゃなかった、多分真面目に気を使ってるんだろうなと思った。
 それがなんか、おかしくてさ。……でも気遣いは嬉しかった。そう、覚えてる」

相手を見る目が和らぐ。遠いいつかの記憶を辿って、懐かしむときの顔。
その頃から相手はそういうことをする人だったのを、望月はきちんと記憶している。
普通からしてみれば論理的ではないことをするのがかえって人の気を和らげる。
なんでも理屈立てた行動で解決を試みようとする自分には、出来ないようなことをする人だ。

互いに、目の前に置かれた食事に着手している頃だろう。
脂の乗った旬の魚であったり、質のいい牛フィレ肉をカトラリーで扱って、口に運ぶ。
少し口の中がくどくなっても、ホワイトビールの爽やかな風味で唇を湿らせればさっぱりする。
普通の、食事だ。値段相応の質の良さに囲まれた、ちょっと気取ってはいるものの、ありふれた。

「はは、確かに。今日は忙しかったな、本当に。
 ……そうそう、第一次が終わった直後の話だったかな。狂乱の時代の話。
 色とりどりのドレスに豪華な食事、へべれけな人々がジャズに合わせてダンスを踊る。
 すごい映画だったな。……映画自体も結構語りたいとこはあるけど、ひとまずおいといて。
 その頃からかな。自分の中でなんとなく、映画を見るときの傾向を理解し始めた」

食器が皿を掠る音。カトラリーを扱う手先。一口、唇を開いて肉を口の中へと運ぶ。

「白雪姫。セブン。バベットの晩餐会。アメリカン・ビューティー……色々観たけど。
 印象的に感じるのはいつも同じだった。同じ、共通する場面ばかり。
 最初のうちはどうしてこんなにドキドキするかもわからなかったのに、とにかく求めた。
 ただ感動してるんだと思ってた、気づくまでは。気づくまでは、わからなかった」
(-19) redhaguki 2022/10/02(Sun) 3:05:23

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「え。それは別におかしくないだろ。
ちまちまとおかわりもらうと店員さんも面倒だろうし、合理的だろお?
いや、覚えてないけどさあ」

本当に自分だとは思っていないけれど、おかしかったと言う評価には納得いかないと、存在しない自分の記憶をフォローする。
何から何まで、かなりその時任せの勢いの自覚はあるけれど。

はく、とナイフで切り分けた肉をフォークで口元に運ぶ。
キミほどは綺麗な所作はできてはいないが、目を伏せる程の不作法者というわけではない、食事自体はスムーズに進んでいく。
キミの話だって逃しはしないで耳に入れているが、ゴールがまだ見えやしないのは、さっきも今も状況は変わらなかった。

妙な方向に話が向かったな、とようやく違和感を覚えたのは、映画のタイトルがいくつか並んで、それらにキミが覚えた感想からだ。
知っているものも知らないものもあるから。すべてに共通するものは探し出せない。
教えてはくれるようだから、おのれの無知を恥じる必要はなさそうだけど。

「……ただの映画好き、ってわけじゃないんだよなあ。
その言い方じゃ。たぶん」

また一口、ビールを口に含んで。
(-20) ankopanda 2022/10/02(Sun) 3:19:08

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「僕だったらコップ一杯を差し出すと思う。
 ……でもそれってあからさまだし、後で何かお礼しなきゃな、って思うだろ。
 そういう強迫性は全然感じなくて、ただ、胸のつかえが下りる感じだったよ」

傍から見ればこっけい話だ。けれどそのほうが場に適していることもある。
まばたきをする。湖の底を映し出したような、青緑のアクアブルーが睫毛の向こうに見える。
金のふちどりの間で、はっきりと目の前を観ていた。シャッターのように、瞬きが重なる。

「胸が高鳴るのは感動しているからじゃなかったし、映像美にやられたわけでもなかった。
 あれが一つの目覚めだったのかもしれない。……出来ればもっと普通のものでよかった。
 とにかく自分でも説明しきれないものがあって、きっかけは、ソレだったんだと思う」

店の中にはごく小さな音で音楽が流れていた。トランペットの音の印象的なジャズ。
ちょうど、最初に言っていた映画に似合いそうな音だ。それで会話がかき消されることはない。
けれど、隣の音は聞こえない。店内の音はほとんど、少しも。
ごく近い、テーブルを挟んだ向こうの音だけが聞こえる。

食器が皿を掠る音。カトラリーを扱う手先。

一日目、ちょっと食事の時間をずらしただけで済ませようとしたら、声を掛けられて。
ほんの短い時間、不慣れな食卓を囲むことになってしまったこと。
二日目、酔いつぶれて部屋で休んでいるあなたに水を飲ませた時にわざわざ目を塞がせて、
見せないようにしていたものがなんだったか。追い縋るような指が何に触れていたか。
今目の前に映る風景の、何を印象的な色の薄い目の中に捉えているか、だとか。

あなたは、思い出すことがあっただろうか。わざわざ思い返しただろうか。
きっと無い、そんな些細なこと。些細な話。ありふれた日常の、何の変哲もないもの。
だからこそ誰から隠匿すべきと思ったこともないだろう、そんな些細なことが。

(-21) redhaguki 2022/10/02(Sun) 3:33:36

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「……信はさ、僕が"そういうもの"に縁あってほしくないと思っているみたいだけど。
 僕がキミの仕草に何を眼差しているかってのは、とうとう気付きゃしなかったな」

手元、口元。おとがいが動くさま。咬合面が噛み合わされ、喉の奥へと嚥下する。
その僅かな筋肉の動き、伴う所作。唇に残った僅かな食物の油脂。
それを一つも見逃さないまま見つめ続ける碧眼の、瞼はわずかに血色が滲んでいた。
空調はなにも悪いところもなくちょうどよく効いているというのに、僅かに首筋に汗をかいている。
肉の薄い鼻筋や頬骨に明らかに朱がさし、息はゆっくりと深く、熱く沈んでいる。
いくら相手が目を背けようと今までいていたのだとしたって、もう、わかるだろう。
答えは目の前にあり、相手自身もまたその答えの一つなんだから。
 
 

望月ロビンは実は、
他人の食事風景に対して性的興奮を覚える
性癖の持ち主だ。
 
 
 
(-22) redhaguki 2022/10/02(Sun) 3:40:07

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン


「お礼、ねえ。
たかが水の一杯二杯で、なんてのは困ってない側の意見なんだろうなあ。
いや、別にロビンちゃんの場合は酒が飲めないってわけじゃないから困ってたわけじゃないんだろうけどさあ」

きっと余計な気を回してしまったのだろう。
その記憶がない間抜けな誰かさんはと、からからと笑って。
粗雑に扱われるくらいでちょうどいいから、よりにもよってキミという存在に持ち上げられてしまって落ち着かない部分もある。
キミはそう言うが、きっとその場面の他の誰かさんを見たら、自分より余程スマートに、なんてのは幻想なのかもしれないけれど。

恋人同士か、そうじゃなきゃ夫婦、それなりにしっかりとした人格者が訪れるような、穏やかな世界の中で自分はどうしても浮いてしまっているだろうに、キミの瞳は何処までも真っ直ぐで、自分といてもちっとも動じはしないんだから──。

なんてものは、自分の勘違い、思い込みであったのは、その後に続く言葉で気づいた。

1/2
(-23) ankopanda 2022/10/02(Sun) 4:01:01

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「…………ぁ……、っと」

「その、なんだ」

キミの話を聞くときですら、ちっとも黙らずに相槌にしては多すぎる言葉を返していたというのに、急に食事を詰まらせたかのように口を閉じた。

もしかしたら、この場に置いてすら、今までならば気づかない、気づかないふりをしていたかもしれない。
キミに限ってまさかだなんて、天上人か何かのような扱いは……出来ない。
夕暮れ時に見たキミの姿を忘れたふりなんて出来ないし、今のキミはあの時と同じ艶を見せている。
食事をしていた手が、一瞬止まる。キミに瞳を奪われてしまって。

「………………今のオレ見て、興奮してる?」

きっと、真剣な告白だ。
それはわかっているが、万が一、勘違いなんてしたくはないから、食事時であるとわかっていながら。
は、と何かを思い直して、ふるりと首を振る。逸らされる目線と、再開する食事。

「なんで、それをオレに言ってくれるかなあ。
ヘキ、……バラされて、妙な趣味してんのお前だけじゃないぞってつもりなら、そりゃ、言ってくれるのは嬉しいけど……」

2/2
(-24) ankopanda 2022/10/02(Sun) 4:01:46

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「……信。僕もさ。キミはずっと憧れに足る人間だと思ってたし、人に話してきた。
 僕は信のこと大事なものだと思ってたし、でも、どっか手放すべきだと思ってた。
 でも多分今までが、知らない時間がちょっと、長すぎたんじゃないかな、僕たちは。
 信がどうして今みたいに僕の事を持ち上げて語るのかってのは、僕は知らない。
 僕のほうは、……今話した通りだよ。歓迎会の時からずっと、すごいやつだなと思ってた」

ちょっと差し出して揺さぶったところで、簡単には受け取らないだろうというのは目に見えていた。
だからこうして勝負を仕掛けている。きっとここで諦めて曖昧な言葉を受け取ってしまったなら、
これから先は二度と相手の印象を払拭する機会なんてのは得られないかもしれない。

グラスの中のビールを一口二口含んで、口の中をさっぱりさせる。
既に食器からは手を離して、代わりに椅子の背に手を掛けて引き、立ち上がった。
少し身を乗り出して腕を伸ばしたらそれだけで届きそうであるのに、わざわざ机の横を回る。
通路側を背にして相手の座る椅子の前に立つ。つまり壁際に追い詰めた形になっている。
のらりくらりとかわされてしまうことのないように、視界を塞いで。

「本当に、そうだと思ってる? ……思ってるなら、そんなふうに予防線張るみたいに言わないよね。
 僕は、キミの秘密を知ってしまった時にさ。……そりゃあ混乱もしたけれど。
 でも自分だけは知って、知らせないままで、ずっとやっていくのかなって考えて。
 キミと対等で居たいから、自分も打ち明けようと決めたんだ」

床材に片膝をつく。いくら背丈に差があってもこれなら自分のほうが見上げるようになる。
まるで傅くように見上げた相手の、片手を取って、食器を指の間からはずさせて。
空になった手を、代わりに己の顔に触れさせた。頬骨、口元にかけて。
僅かに顔を傾けて、自分よりも小さく細い指に自重をうっすらと乗せた。

「信、もう僕たち互いの理想化した姿を追いかけるのは、辞めにしないか。
 ……今ここにいる僕のことを見てくれ。普通のありふれた人間としての僕を。
 僕はキミに性的魅力を感じているし、すごくドキドキしてる。
 信は、どう思う。僕のこと。……軽蔑した? キミで興奮する僕は、認められない?」
(-25) redhaguki 2022/10/02(Sun) 4:33:01

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「知らないってえ……まさか。
オレはずっと言ってたぞお。オレと違って身なりも所作も人柄も、何もかもしっかりしてる、仕事も出来るのに気取らないで、こんなちゃらんぽらんな男が付き纏ってんのに、嫌な顔ひとつしないでまあ、……なんて懐が広いやつだって、オレには逆立ちしても、ロビンちゃんのようにはなれないなあって」

本人には言ってない。
周りには様々に言いふらして、何故か自分が誇らしげにしていたが。
尊敬、信頼、そういったものが当たり前にあって、何か特別なものを返してもらおうだなんて気持ちはまるでなかった。既に充分、キミからは様々なものをいただいているから。
一方的な心の傾けは、今キミに指摘をされて狼狽を見せる。
知っているものだと、思い込んでいたので。

混乱は……していないと言えば嘘になる。
わざわざ席を立ったキミの目的が、己の逃げ道を封じる事なんてまるで考えも及ばないから、傍に寄ってくれた事によりずっと近くなって見上げる瞳は、ああ、やっぱり綺麗で……その美しい瞳の映す先が自分だなんて、頭を抱えたくなった。


1/2
(-26) ankopanda 2022/10/02(Sun) 5:08:05

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「……軽蔑なんか、するかよお」

「あのなあ……ロビンちゃんは知らない事だろうけど。
オレは本当、性欲に関しては旺盛でさあ、時々ロビンちゃんとヤりたいなって目で見てた」

食器から指が解ける。
振り解くなんて、まさか。相手はキミだ。
何よりも優先させようと勝手に誓っていた人物だ。
だから罪悪感に塗れながら、キミの言葉に応えるように口を開く。

「それは今だって変わんないんだよなあ。
だってロビンちゃん、今、クソエロい顔してたんだぞお。あんな顔見せられたらさあ……飯ぐらいいくらでも食ってやるからヤらせろってなるんだよなあ!!」

「……でもそういうオレが、ロビンちゃんに触れるのかって考えるとすげえイヤな気持ちはあるから、ちょっとまだ完全に切り替えるのは難しいから待ってなあ……」

キミの手を取りかえして、もしくはその腕の中に飛び込んでハッピーエンドとはいかない。
他の皆と同じように、同じ等身大の人間としてとするには、ちょっとばかりキミは特別すぎるし、自分という存在の厄介さを多少は自覚して、何とも複雑な胸中を正直に。
それでも横にいる、膝を床につくキミに体を向けて。

2/2
(-27) ankopanda 2022/10/02(Sun) 5:08:36

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

自分に自信のある人間だ。恵まれた体と精神を持ってここにある、金色の獅子だ。
だからこうして称賛を受けることになんら引っかかりは感じないし己を"そう"だと思っている。
けれど、その上で。そんなふうに相手が自分を卑下するのはあんまりおもしろくない。
そう言いたげに眉をひそめ、大きくゆっくりと首を横に振る。

「僕と信は、違う人間だ。同じようにはならない。
 僕はキミのこと尊敬してるし、キミもそうなら、……嬉しいよ、たぶんね」

それから。頬に当てたあなたのてもそのままに、相手の表情を見上げる。
これだけ近くなった瞳は少しも逃すこともなく相手を見つめたまま、逸らされもしない。
頷いて、相手の言を聞いて。……少しだけ間があってからため息を付いた。
勿論、相手がこの旅行中にどんなふうに他者に振る舞ってきたかなんてのは聞いちゃいない。
けれど、"知らない"なんてことはない。あったら、シャワーブースでキミと二人になったとき、
適当なところでほっておいてお開き、なんて呑気なことをしていたはずだ。

「……待ってあげたいつもりは、ある。出来れば僕だって信の望みは聞いてあげたい。
 でも僕はキミが追いついてくるまで、待てないかも。キミが思うような上等な人間じゃない。
 今だって自分がどういう人間かを黙ったままこの場に連れてきてキミの所作に欲情してるんだ。
 キミとセックスしたいし、頭の天辺から爪先まで全部食らいつきたいくらいに思ってる。
 僕がどれくらい、キミに触れるのを我慢して、大事にしてきたかわかるかい、信」

目線は焼け付かすように見上げたまま。手の内に収めた手を、掬うように握り直す。
好きなようにしてしまえてしまっている相手のてを己の顔の真正面に持ってきて。
指の節目、骨の浮き出ている起伏に至るまでに丁寧に口づけを落とす。勝手に、だ。
まるで淑女に忠誠を誓うみたいような構図ではあるが、そんなお綺麗なものでは残念ながら無い。
相手はどんな思いで我慢してきたのだか、なんてことを全て推し量ることができるわけじゃない。
だから、こちらからは勝手に追いすがらせてもらう。触れたいから、耐えられないから。

(-28) redhaguki 2022/10/02(Sun) 6:09:11

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「キミが我慢するのは、いい、別に。キミが納得できるまで僕だって待ってられる。
 ……でも僕のほうはもうキミにお預けを食らって待ってられない」

溜息が手の甲にほうと落ちた。熱っぽい息は体の内側の炎に炙られたその熱だ。
ここで余裕ぶって待てるとそう伝えて、それでお開きにしたなら格好ついただろうな。
けれどもそんなふうには出来ない。してしまえない。
己の胸中を曝け出し、箍を一つ外してしまったのだから。今まで通りになんていかない。

シャワーが床を叩く音が響いていたあの時、きっと望月は今と同じ目をしていた。
あなたの目元を覆い隠して己がどんなふうな目であなたを見ているかを隠していたとき、
自分が見つめる目の熱をまだ恥じていられた時、今と同じ目をしていた。
すぐ傍にあるアクアブルーの内側に、どうしようもなく浅ましい熱が抱え込まれている。

僅かに、背伸びをするように背筋を伸ばして体を前に突き出した。それだけで距離が近づく。
もう息がかかりそうなくらいだっていうのに、瞬きも少ない目は他へ惑ったりもしない。
手放すのさえ名残惜しいまま握りしめた手から、大げさな心臓の拍動が、伝う。

「信。……キスしていい?」
(-29) redhaguki 2022/10/02(Sun) 6:09:23

【秘】 経理課 富武 瑛 → 開発部 忌部 永信

「ひ、ぁ、あ、あぁあっ」

奥の壁に到達してそこすら乗り越えるよう突き入れたなら、どちゅりと鈍い水音をたてて部屋に響いただろうか。
目の前がちかちかと瞬いて、叫びに近い喘ぎ声を上げて。
出入り口の冷たい床の上であなたに必死にしがみついている。

「あああっ、や、あっ、ふぁ、ッ、あ」

突き入れられているだけでも意識が飛んでしまいそうだというのに、前まで振動するアナルビーズを押し当てられれば、その振動が全身に伝っていくようで身を捩り与えられる快感を無意識に流そうとする。
それでも体勢がそれを許さないから、暴力的なほどの快感が全て脳まで突き抜けていって、もうずっとイクのが止まらず身体は痙攣しっぱなしだ。
既に白濁なんて出なくなってしまっているから、己体される液体はもう、透明ですらあってとろり、とろりと微々たる量だ。
何回イッたなんてもう数え切れるはずもないのに、これ以上イかされてしまったら、自分の体はどうなってしまうのだろうか。

でももうそんな事も考える知力など、残されてやいなかった。
(-30) eve_1224 2022/10/02(Sun) 8:01:44

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「そりゃ……そうだろお。同じなわけ、ないよお。なんだか妙な話だなあ」

嬉しいと断言するには、拗らせているし捻くれている。
自分に何一ついいところなんてありはしない、とまでは言うつもりはないが、劣っているところはずっとキミより多い存在であると、そこは揺るぎはしないから、緩く首を横に傾けて、くしゃりと情けなく苦笑いだ。
目の前でこんな己に欲情していると告げたキミは、全ての所作が、指先ひとつまでこんなにもスマートに見えるのに。

「……ぁー……。
マジかあ。マジだよなあ。人間だし男だし、性欲がないとは思ってなかったけどさあ。

でも、すげえ身持ちは堅いだろうとか、ちょっとでもアブノーマルなのは嫌悪しそうだとか、ましてや、ロビンちゃんに人と違うようなヘキがあるとすら考えてもなかったり……参加者なのにねえ」

少しずつ、話をする中でも現在進行形で情報を噛み砕いてはいる。混乱気味の頭を回転させて、情報の上書きをしないといけないことがいくつもある。
キミを軽蔑なんてしない、あり得ない話。つらつら並べていくのは勝手な理想像を作り上げて拗らせていた己の中身の告白だ。
まだキミに向ける言葉の端々にはそれは残っている。完全に消えるなんて事はないだろう。それだけキミは黄金のように輝いてみえる、人を魅せる憧れだ。きっと変わらない。
でもそんな全ての感情を踏まえても。

「……ロビンちゃんさあ……」

「今どんだけいやらしいツラしてオレのこと煽ってるかわかってるう?いや、わかってんだよなあ、きっと……」

今のキミはどうしようもなく、セクシーだ。

1/2
(-38) ankopanda 2022/10/02(Sun) 13:25:53

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

手のひら一つぐらい、どれだけでも好きにしたらいい。キスだって口に含んだって、何も嫌がるような素振りもみせない。
手首に指を添えれば血流の速さも知られてしまうだろう。
キミの表情、言葉選びや甘い香り、形取るもの全てに心を奪われているのに、節くれだった荒れた手のひらにキミの感触まで加わればどうしたって熱が灯る。ズボンが少しばかり窮屈に感じているのだって隠しはしない。

眉尻を下げて、キミを見つめる表情はちっとも格好がつかない笑い顔。
キミに向けたことのないセリフを、此方から映る視界が、目の前に広がるキミという景色がどれだけ劣情を催すのかを、ちゃんと伝えなければ。

空いた片手がキミの立髪に伸びる。
頭部に添えて、息がかかるほどに近いんだから自分の背をただ丸めるだけ。
許可の言葉を返して瞳を閉じて待つなんて乙女じゃあるまいし、此方から奪いに行く。
今はまだ、触れるだけですぐ離すだけの。

「そんなんオレだってなんぼでもロビンちゃんとセックスしてえよ。昨日だって今日だって誘うのどんだけ我慢したか…っ!
こんな食いでのないオッサンでよけりゃ、気が済むまで食ったらいいよお。

でもその前にメシだなあ、まだコースは残ってんだから、最後まで食うし。もったいない。
……それ見て盛ってくれよ。
見たくない、なんて事はないんだろお?」

2/2
(-39) ankopanda 2022/10/02(Sun) 13:26:20

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 富武 瑛

玩具の良さを知ってもらえた、と思いたい。
既に人の言葉を失って喘ぐ様子は、もしかしたらやりすぎの気もするけれど、己の欲も満たそうとしている最中で細かいところまではちょっと気が回らない。

息の荒さが目立っていく。
ピストンを繰り返し、キミに腰を打ち付けてぱちゅぱちゅと音を立てながら、快楽に狂うキミの姿を餌に己を高めていく。
出るものがもうなかったとしても絶頂が続くなら、腸内の締め付けは続き、ひくついて極上の穴になるのだから、そう長い間持つ訳もなく。

「……ッ 、ぁ、……出そお。
瑛ちゃんの、っ、尻穴、マジ、良くてガマン、できな、……いなあ。
濃いの、出そう、だあ。……っ」

「ッ ── 、っ ッ く」

強く抱いて、荒い息に混じって囁くように行為の終わりを予感させ。

抜ける直前から、ズン、と一気に一番奥まで穿ち、ぐりぐりとカーブを描く腸壁に先端を押し付けて。
ゴムの中での射精ではあるが、一段と膨張した肉棒が、狭い肉壁の中、びくん、びくん、と何度も跳ね上がった。
(-40) ankopanda 2022/10/02(Sun) 13:59:31

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「どんな人間なんだよ、僕は。……そりゃあ、人に見せる顔くらいはちゃんとしようとしてる。
 でもどうしようもないところだってあるし、みっともない真似を晒すことだってあるさ」

今みたいに。普段の望月からしてみれば、こんなに余裕もなく詰め寄って懇願するなんてのは、
どうしたって考えられないことだろうというのはわかる。それくらい珍しい振る舞いだ。
形振り構わずに何かを推し進めるなんてことは、いつもだったら選ばない手段だ。
火を点けたのはあなただし、それを良しとして覆い隠すのを止めたのは自分だ。

頬骨の上の皮膚を染めるのは単純な欲情や性欲ばかりでない。緊張だってする。
相手に抱いている気持ちのどれだけが通り一遍の言葉で代替できるものなのかはわからないが、
きっとそれらもまた心臓から染み出して熱を灯すのに貢献しているんだろう。
己に向き合い、相手に向き合っていきたい。その思いで目をそらせずにいる。

「……必死な顔になってるんだろうなってのは、わかる……」

内側から表出した自信がそのまま顔に張り付いたみたいな普段の面構えに比べれば、
今は眉の力も緩み、目尻は僅かばかり下がって。唇は緊張で動きも固い。
息をするたびに、熱っぽい息のせいで薄く開いた口元から僅かな空気の流れる音のする、
プロムに出たティーンエイジャーみたいな取り繕いようも知らない顔だ。
踊りに誘うように手を取ったまま、追い縋って手放せもしない。

髪に触れる指の感触に、息を呑んだ。口元に固く力が入って、感触は良くはなかっただろう。
余裕を持って待ち構えられていたなら、もう少しくらい甘やかなものになっただろうに。
ほんの短い間の感触を追って、細く息が吐かれる。追いかけようとした動きは、言葉で留められる。
僅かばかり不満そうに唇を尖らせて、けれども相手の言葉を覆してまで捕まえはしない。
指の間に収めたままの、節くれ立った手へと少しだけ力を込めてはおく。
今ばかりは余裕があるのも、手綱を握っているのもどうやら自分ではなく彼の方らしい。

(-42) redhaguki 2022/10/02(Sun) 15:26:30

【秘】 経理課 望月 ロビン → 開発部 忌部 永信

「わかった。ちゃんと戻る。折角の料理が冷めちゃうのは、お店側にも失礼だ。
 ……今、自分で言ったんだからね。気の済むまで貪ってかまわないって」

ゆっくり、ゆっくりと息を吐いて、鎖を引きちぎってでも飛びかかりそうな気持ちを押さえる。
掴んだままの手をそうっと相手の膝の上に戻し、膝を立てて立ち上がる。
まだ背を丸めたままの姿勢、片手は机について、片手を己の顔に近づける。
人差し指と中指の裏に、リップノイズを伴った口づけを落とす。
それを返すように、相手の唇へと。人差し指と中指の裏側を一瞬寄せて、触れて。
一旦は抑えが利いたように、自分の席へと戻った。

それからは、まだ胸の内に穏やかな熱を秘めたままではありつつも食事に集中する。
リングイネに絡んだ雲丹のトマトクリームソースは美味しいし、
続いて出てきた素朴なドルチェは、表面にフォークを入れたなら音を立ててカラメルが割れる。
小気味いい音と、シナモンの香り。
甘いものは好きだったろう、なんていつも通りの気楽な言葉を投げかけて、
相手が甘いクレマカタラーナを口に運ぶ様子を、コーヒーを片手に眺めたりなんかして。

……真意のわかった上でこうして眺められる食事が、落ち着くものかはわからない。
けれども対面する男はなんとも、満足そうだった。己を苛む嗜癖ばかりのためではない。
それを打ち明けて、受け入れて。自分と食事をしてくれる人がいる、というのは、幸福だ。
単純な欲動のためばかりでない火が胸の内に灯るのを、なんとなく感じていた。

食事を終え、ホワイトビールもしっかりと空にしたなら、さもなんでもないことのように会計を。
望月は、下戸じゃない。少し口にしたくらいじゃそもそも酔ったふうにはなりもしない。
酒には強いし、酒は好きだ。様々な言い訳に支障が出るから、誰かに教えたことはない。
そんなことも、短い食事の合間にぽつぽつと打ち明けたような気がする。
言えなかったことがある。今だからこそ言えることがある。
そういうことを頭のどこかで強く実感しながら、部屋までの道を歩いて帰る。
(-44) redhaguki 2022/10/02(Sun) 15:31:54

【秘】 開発部 忌部 永信 → 経理課 望月 ロビン

「取り繕う、なんてのが出来るのがまず立派だよお。オレはその姿だけ見て、勝手に思い込んでいたわけだしい?
今のロビンちゃんは……取り繕ってないんだよなあって思うと、興奮するよお。……まだ複雑だけど。
あー……オレ、飯食い終わるまで我慢できっかねえ」

情けない顔なら負けない。
いや、ずっとキミに向ける表情は、苦みが残る笑い方。破顔して、心の底から笑う姿を見せられたらキミを安堵させられるだろうに、ままならない己の感情が今は憎い。

本当にキミに、自分のこの欲望を向けて良いのかなんて自問自答が時折入る。
決して綺麗ではないものを、キミにぶつけて良いのかなんて揺れるものを、伝えて、慣れて、そのうちこれが当たり前になればいいのだけど。どうしたってキミは唯一で特別だから、厄介なこの感情も含めて受け入れてもらうしかない。

精神的な緊張は……葛藤を除けばそれほど、してはいないはずだ。
興奮して、昂って、この熱に浮かされているのを本来恥じたりするような立派な男じゃないんだから。
口付けも終えて、此方の提案に乗ってもらっただけなのに、キミが離れていけば、ああ、惜しいななんて、髪の柔らかさも、その唇の熱をも一時的に失った己の指を、ぐっと握って憂う、ひととき。

「おう。任せとけえ。
折角今日は同じ部屋なんだしよお、同室の二人に見せつけるぐらいの気持ちでヤるかあ、なんてなあ。

……うわあ、まだちょっとロビンちゃんにこういう事言うの胸がチクチクするう」

やっぱりソースや料理名を説明されたところで右から左に抜けていくような代物を、ただ美味いだなんて簡素な一言で終わらせる。
わざわざ見せつけるような真似も今はしまい。極力、ほんのりと気をかける程度に自然に食事自体は済ませたはずで。
そのうち調子に乗って煽る材料にはするかもしれないが、それは多分もっと後の話しだろう。
今はむしろ、キミには言っていなかった言葉を向けては悔やむ、そんな滑稽さを会話の最中、時折向けて。

んじゃ、今度こそ一緒に飲もうなあ、と。
部屋に戻るまでの途中、打ち明ける中で、返した言葉にようやく、心底嬉しそうに笑ってみせたかもしれない。
ずっと何度だって懲りずに誘ったくらいだ、それだけキミとは共に酒を酌み交わしたかったのだから。
(-45) ankopanda 2022/10/02(Sun) 16:14:52
 




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