謙虚な自称神は様々な世界から人を叩き落としたりしないんだ。

[そのせいでこちらは高度40m紐無しバンジーをさせられる羽目になった。
いや、紐あってもバンジーなんかしたくないけどね！？]

……ん。
少し、つまみがなくなってきたか？

誰かに使いを頼むか……

[たとえばあそこではしゃいでるのとか。]

そういえばルシファー。
あのとき戦った皆は……
直円や戸隠、ひかるにヴァレンティン……彼らは元気にしているのだろうか？

[敵味方に分かれて戦った彼らは、その後どうしているのか。
呼び出した張本人がいるのなら、気になるのも仕方がないだろう。]

ああ、そいつが急にいくつかの世界から人を呼んで、戦えとな。
ふたつのチームに分けてな。
私たち赤のチームには比較的人外が多くてな。
そして青のチームには比較的普通の人間が。
とくに最後まで残ったあいつ……ヴァレンティンは、あの線の細さと身体の弱さでよく立っていたものだ。


ついでに、こちらの変態に好かれて可哀想だったな。

[薄い本とやらを描かれたりね。]

そいつは色々規格外だからな。
大抵のことはこなすぞ。

……ん？ちょっと待て。
私は人外ではない。人間だぞ。

[大変心外である。
ちょっと想いが強いだけの人間である。]

とびきり性格の悪い変態に好かれてな。
ああ、ちゃんと普通の子たちにも慕われていたんじゃないか？
私はチームが違うので、あまり親しくはできなかったが。
うん、からかうと面白いやつだった。

……ああ。
あいつの記憶の場所で、私は脱落したんだったな。

テッセンの咲き誇る、燃え落ちる館だった。

……というか、やたら興味があるんだな。
まさか知り合いか？

[そんなまっさかー
すごい偶然だよねー]

人間でなければなんなのだ？？？

[こんなに一般人なのに。]

まったくだ。
あんなに性格が悪くて意地が悪くて性根が悪くてたちが悪いやつは見たことがない。
あ、直円はその性格悪いやつだ。

[ぼろくそ]

ふふ。
仲間を逃がし、相手の強豪と相打ちできたのなら悔やむことなどないさ。
私には、焔に撒かれるのは苦しいことではないからな。

……すごい偶然もあったものだな。
ああ、熱は心配だな……戻ったら、仰九羅璃紗が案じていたと伝えてくれ。



…………ああ、それと……

[尻尾(幻視)たしーん！]

ふふ、聖女か。
私は生まれつき人の傷や病を癒し、刃から護る盾を生み出す力を持っている。
それ故聖女と崇められもしたが……
実際のところは、自分勝手でわがままな女だ。

[肩を竦め微笑む。
あの場面がもっと早くに来ていたとしたら、きっと己は仲間を切り捨て敵を倒そうとしていただろう。
それは、聖人のすることではない。]

ふふ、そうだな。
頼む。
うん、ほんと、あいつが迷惑かけました。

[でもつんでれでもくーでれでもないんだ。]

ああ、いいぞ。
好きなのもってこい。

[彼女は変に荒らさないだろうし。

うーん、どう見てもおつまみのラインナップではない。
(1)^1d6]

[チョココロネおいちい]

[というかこの6つめのものは何？
きのこ？
これうちにあったのか？
マ？？？？？？？]

ああ、もう本当に年の瀬だな。

[ぽち、とテレビをつけたら、年末恒例の番組が行われていた。

深緑のリボンで髪を結った長身の男といかにもショーマンといった筋肉質の男が、スーツ姿の女性にタイキックされている。
あれは痛い。

そして蟹を見てなんとも言えない顔をしている大柄な男や、罰ゲームの準備なのかシャドーボクシングをしている男もいる。
あれはまともに食らったら駄目じゃないか？

そして別の番組では、大きな船というか最早都市で歌う少女たちが出ている。

…………ところでこんな放送局、あったっけ？]

チャンネルを勝手にいじるな。
なんだお前こいつら好きなのか。

[ぴっぴっ]

ほら、他の番組見たがっているやつがいるだろう。
やめろ。

[こたつの中で踏みつけてからの奪い返し。]

知り合いでも映っていたのか？
そんなまさかな。


なになに……？
『絶対に笑ってはいけないカルデヤ25時』
『紅白激唱歌合戦』

だそうだ。

[そんな番組あったかなあ。]

ふむ……そうか。見ていないのか……

いや、そうだな。あいつらがそう簡単に挫けるわけはないか。
……ふふ。ああ、楽しかったな。

……そんなに嫌がることか？

[やっぱり知り合い映ってるの？
そんな偶然ばっかりそんなまっさかー]

歌番組はこっちだな。

[ぽち
様々な色合いの衣装の少女たちが歌っている。
聴いていると、なんだか力が沸く気がする。]

今年、怪獣映画とコラボしたらしいぞ？
ああほら、今画面に出てきた。

[しかし冷静に考えて、何をどうしたらそこがコラボするんだ。
アプリ起動したら別ゲーみたいな画面出てくる身にもなってほしい。

]

揚げられるのはいいのか……？

食べるなら天ぷらにしろ。
ほら、蕎麦がきたぞ。

[天ぷら年越しそば、いっちょお待ち。]

[触手に食べさせる必要はあるのだろうか。
璃紗は訝しんだ。]

[あいつ触手に馴染むの早くないか？？？
適応力の塊か？？？？

割と今更だ。]