おしごと、やだ……。

　　　　

　　　おじさまにご提案してみて、
　　　面白いって言われたら探してみようかしら。

　　　おじさまも1泊くらいなら、
　　　都合つけて見に来てくれないかしら……。


［　カタカタとざっくりとした企画書を作り
　　彼に早く見せて反応が見たい、と
　　連絡を取ることに。
　　メールで送ってもいいけれど
　　やっぱり直接会って反応を見てみたい。

　　ふふふ、と笑って最近増えた彼との写真を
　　ちらりと見つめて色々と想像する。　］**

　　　転職するきっかけは、偶然と奇跡。
　　　求人を適当に眺めていたら、
　　　大手企業の秘書職が出ていた。
　　　給与も悪くなさそうで待遇も良さそう。
　　　となれば、答えはすぐに決まって。

　　　
　　「受けてみますかぁ。
　　　何何？

　　【秘書業務故に役員につきっきりで
　　　業務にあたることになります。
　　　各秘書は各役員専任になるため、
　　　役員の好みを把握するなども業務の一環です。
　　　我こそは、という貴女。

　　　ぜひ応募してみてください！
　　　優しく先輩がサポートします！】　ねぇ…」

　　　ぽちぽちっと、氏名年齢性別、
　　　あと必須だったからスリーサイズの記入、
　　　全体と顔と写真まで提出するは面倒だった。
　　　けど、秘書だしそんなものでしょ、と
　　　そんなに深くは気にせず提出しておいた。

　　「うぇ、マジィ？…………ほうほう。
　　　適当に有休使って面接行こっと」


　　　数日後、書類審査通過の通知が来て
　　　休憩中にいつなら休めそうか考えた。
　　　前の職場でも秘書とは言わないけど
　　　経営企画だったから社長のそばで働いていたし
　　　案外いけるじゃないかな、と楽観的に。

　　「現職でも経営陣と一緒に行動をしており…？」

　　　平日のとある日。面接時の服装指定があり、
　　　秘書として適切と思われる服装にて、なんて。
　　　当たり前に悩んだけれど、よくあるスタイルを選んだ。
　　　花柄のワンピースに細めのベルト。
　　　動きやすくはないけれど、ピンヒール。
　　　出てきた面接官は若い人もいて、上から下まで
　　　視線で品定めをされたような気がした。
　　　志望理由などをきかれたので真面目にしていると
　　　若い面接官はそれを遮って、
　　　他の面接官をその場から退室させて……

　　「え、と……何か、不都合でも……」


　　　折角の昇給転職なのに失敗したくない。
　　　そう思っていると衝撃の一言を喰らって
　　　なんなかんや、合格して今に至る。
　　　あんな、面接は後にも先にも多分、というか
　　　絶対この人だけだって思ったけど、
　　　超高待遇を提示されたら転職転職。

　　「最近、ミーティングと出張続きで
　　　彼女さんに拗ねられてませんかぁ？」


　　　むぎゅうっと後ろから抱きついて、秘書業務。
　　　担当役員がまさかあの時の若い面接官なんて
　　　初日に知った時はぎょっと目を見開いた。
　　　けれど、凄く気に入ってもらってるみたいで
　　　彼女ができたとかあーだこーだを
　　　仕事中に教えてくれる仲にはなっている。

　　　確か、今の彼女は付き合って半年くらい？
　　　移動中か何かで写真見せてもらった時に、
　　　結構普通の人と付き合うんだ、と思った。
　　　耳元で囁いて、怒られたらお仕事しないと。*

［　日常の中で刺激がなければネットの海にダイブ。

　　サーフィンを続けていれば見つかる見つかる。
　　性的嗜好は多種多様だなと道中で思いつつ
　　自分の希望が見つかれば配信とSNSを逐一確認。　］

　　今月はいくら投げようかな。
　　面白かったら、多めでもいいな。


［　投げ銭制度というのは良くも悪くも
　　配信者に一目置いてもらえる制度だと思う。
　　気に入っている配信者は18歳未満ではないが
　　どこか幼いような気がして、
　　視聴者の大半がロリコンのようだった。

　　毎月大体これくらい、と予算を決めつつ
　　月末に一応投げた金額を確認するとオーバー。
　　なので、予算はあるようでない。　　］

　　顔が見えないけど、それがいい。
　　あとSNSの写真の撮り方もいいんだよな……。
　　もし会ったら全部見せてもらえるか？


［　よく、視聴者の中からランダムで選ばれた男が
　　配信で一緒に出ていることがある。
　　特に高額投げ銭者、というわけではなかったし
　　ふぅん、という感じで見ていたが、
　　おそらくカメラに背中を向けた状態で
　　その場にいる男だけに、顔を見せているような、
　　そんな感じがしていたので、会いたい。　　］

　　　さて、今日も働きますかぁ。


［　ユーザーネーム、テトラ。
　　職業、経営コンサルタント。
　　趣味、配信者への投げ銭。
　　性的嗜好、秘密。

　　金ならある。成金といえば成金。
　　ランダムピックに当たる運がほしい。
　　それだけは流石に金ではどうにも。
　　外にいる時に配信通知が来たら、
　　個室の漫喫にでも行くほど、投げ銭の優先順位は高い。
　　けれど、最近は家から出ないような方法で
　　仕事先とミーティングをできるようにして
　　配信を眺めながら、仕事をしている。　］*

［　仕事をしていると様々な企業に足を運ぶ。

　　大小様々な企業あるが、
　　会議室に行くまでの間に少なからず1人は
　　ミーティングに関係のない一般社員と
　　すれ違うところで、目を引く異性がいる。
　　最初は何とも思っていなかったが、
　　段々とわかるようになってきて、
　　自分の好み、嗜好というものが分かってきた。　］

　　とはいえ、本物には勃たないから
　　やっぱりきちんと年齢は超えていないと
　　そういう対象として見てないんだろうな。


［　成人済み。けれども美人はそこまで。
　　身長も低いほうがいい。
　　そして何より、童顔に近ければ近いほど
　　かっと、熱が体を巡っていく。
　　流石にわざわざどこの部署の人かなんて
　　聞かないようにはしているけれど暇つぶしに
　　マッチングアプリで探すことはある。

　　レアケースだからほぼ見つからないけど。　］*

　　あぁ。
　　そろそろダメだなこいつ。

[プライベートのメッセージのやり取りをしながらため息をつく。
相手は半年…、いや1年ぐらいだったか？付き合ってた彼女。
顔良し、頭良し、器量良しの物件で悪くは無いんだが
最近結婚を迫って来るような雰囲気がある。

そーゆーんじゃねぇんだよな、と大分冷めてしまった。

そういえば最近年度替わりで俺の秘書が居なくなった。
名ばかりの幹部職だから大して仕事に支障がある訳じゃないんだが]


　　あー、瀬尾サン？
　　俺の秘書の話あったでしょ。
　　ちょっと募集掛けといてよ。
　　頭が弱い子じゃなきゃ良いからさ。
　　顔のいい……あ、今度はおっぱいの大きい子にしてよ。

[そう言って内線電話を切る。
前の秘書にせよ、今の彼女にせよ、胸がちょっと控えめだ。
遊ぶんなら巨乳の子だなと思ってたので。

それからほどなく募集がかかり
顔良し、スタイル良しの子をこっちで幾つか見繕った。

流石大手製薬会社蓬莱のネームバリュー。
俺の代で潰れんじゃねぇの、と内心笑いながら]

　　玉城ちゃんだっけ？
　　合格、ごうかーく！
　　仕事も出来そうだし完璧だわ。

[他の面接官を追い出して
机の方に腰掛けて目の前の彼女にそう言った。
そもそも俺の秘書決めなので他の奴らは居なくて良いわけだし。

玉城瑠璃という女は顔もバッチリだが
何より胸がデカいのがいい。
馬鹿そうでもないし俺の好みだ。]

　　秘書の簡単な業務内容は
　　目を通したと思うんだけど
　　それに加えて玉城ちゃんには秘書として
　　プライベートな所までサポートして欲しいんだわ。
　　言われたら何でも付き合ってくれるぐらい。

　　意味わかる？
　　多分想像してる通り。
　　分かんないなら向いてないから失格ね。
　　その代わりに最初に提示した秘書としてのお給料の２倍出すよ。ボーナスも成果次第で弾む。

　　もしOKなら今返事をして。
　　ダメなら時間勿体無いから帰ってくれる？

[はてさて。
その提案を彼女が飲んだのかどうかは……]

　　彼女？
　　そりゃご機嫌斜めだよ。
　　来週にデートの約束入れられるぐらいにはな。

[>>8後ろから抱きついてきたのは瑠璃。
顔も胸も良い女だ。
柔らかい感触が背中に伝わってくる。

今付き合ってるのは瑠璃を秘書にしてから
新しく引っ掛けた女だったか。]


　　俺が忙しいのは瑠璃も知ってるだろ？
　　そんな事より仕事を頑張ってる
　　俺のことを労ってくれるのが秘書なんじゃ無いのか？

[そう言って彼女のサービスを強請ってみる。
今日はこの後は少し予定が何も無い時間が
続くはずだから。]*

　　他の人たちを追い出して、テーブルに腰掛けたその人は
　　何か破天荒なことを言い出した。
　　2倍？2倍。……2倍？！>>17
　　絶対顔に出た。ボーナスも弾む？
　　何の面接に来たのか分からなくて、
　　恐る恐る質問してみることにした。


　「あ、あのぉ……実技っていうか、
　　そういうの、しなくていいですかぁ？」


　　一応了承はしつつも、実技って大切。
　　仕事ぶりが期待できるものかどうか
　　面接の段階で、確かめておいたほうが、ね？
　　だから、合格をくれた面接官に確認した。