「いらっしゃい！　それとも、おかえりなさいかな？
ここは『星見の宿』！　喧嘩や騒ぎを持ち込まない人なら、誰だって大歓迎さ！」

「……それが聞いてくださいよ！　宙輝石を採ってくるだけの依頼って聞いてたのに、あの惑星まで行くならあれもこれもって頼まれちゃって！」

ロビーのドアが開き、大きな荷物を背負った少女が入ってくる。携帯端末で誰かと通話しているようだ。
ため息をつきながらロビーの椅子に座る。

「おかげで予定より1週間も長く向こうに滞在する羽目になりましたよ！　まあ追加報酬ははずんでくれたのでいいですけど……
そういうわけなんで、そっちに行くのはまた今度になりそうです。皆さんに会ったらよろしく言っといてください。……うん……わかってますって、はーい」

通話を終えて端末をしまいつつ、思い出したように管理人の方を振り返って言う。

「あぁ。トリトン、ただいま戻りました」