「ブファッ」
「ちょっと汚い」
「なんなんや！！！なんでみーちゃんこんな役やねん！！」
「あらー？いいんじゃない？」
「なんでなん！！」
「だってほら、私が求愛とかだったら浮気だよ？」
「……はっ」
「ね？」
「せ、せやな……」
「(ちょろいんだよなぁこういうところ)」

「顔……平凡……」
「何傷ついてるの」
「みーちゃんわいのこと平凡って思ってるってことやんけ〜〜！！」
「……はぁ、そんなわけないでしょ？すっごくかっこよくて暑苦しい顔って思ってる」
「なんか、みーちゃんさらっと貶してくるなぁ」
「なんていうか、かっこいいし……一回見たら頭から離れない顔って言いたかったんだけど……」
「ほんまか？！」
「……本当本当。だから、私初めて髪切った日からずっと覚えてたよ。妹と一緒で私もそこまでアイドル追いかける人間じゃなかったし」
「みーちゃぁぁん！」
「はいはい。よしよーし、大好きですよー」
「……？？！！？！？！」
「なんでそんな困惑した顔したのかな」
「みーちゃんが、みーちゃんが今日はなんかデレてるわ！！！あかん、今の効いたわ……幸せ」
「大げさだなぁ」

「姉、何やってるの」
「あ、伊織」
「いーちゃん元気にしてるか？」
「やぁ、僕はこの通り元気だよ。……姉、僕の名前使って、参加した？」
「した……」
「なら、僕も観戦するよ」
「え、やだ……」
「なんで？」
「伊織がくるってことは……」
「いおりぃぃぃぃ！」
「仕事行ってきて」
「ちゃんと仕事終わらせてきた恋人にそういうこと言う？」
「……はぁ。そういうことね、わかった。じゃぁ僕一旦帰るよ」
「ん、色々あとで報告するから」
「本当、事後報告得意だもんね。ほら、帰るよ」
「えーーー！！じゃぁね、ふたりとも♡」
「あいっかわらず元気だわぁ……ん？」
「なーんや、みーちゃん抱きしめたくなった」
「筋トレして？」
「まだあの件引きずってるな！？」
「うん。面白すぎて引きずってる」

彼の職業は、ある種の接客業でグループメンバーとよく活動している。
この間、スタイリストとしてお仕事に同行した時にそれは起こった。

「なぁ、このまま歩き続けるのもなんか面白くねぇからどっちがあそこまで走って先に着くか勝負と行かねぇか」
「え、なんなんいきなり。……まぁえぇかぁ。たしかにちょっと退屈やったし、ウォーミングアップにはいいかもなぁ。いやでも、わい不利すぎん？運動量違うやん」
「なら、俺がハンデつけてもう1人背負って走ってやる」
「え、ボク？仕方ないなぁ。じゃぁ、負けたらボクらの分の飲み物おごりね」
「ほんなら、わいも勝ったら2人から1本ずつなんか飲み物奢ってもらおか」

という感じで、徒歩移動中の彼らは荷物をほかのメンバーに渡して位置に着く。掛け声に合わせて彼らは走り出す。

最初は亀甲。でも、中盤から段々彼が離されていく。

「っしゃー！」
「やったー！」

まさかの、いや別にまさかのでもないけどハンデがあったほうが先に到着してしまった。そして彼は彼らの到着から数秒遅れでゴール地点にたどり着いた。

「ほんま、なんなん……」
「……はい、お茶どうぞ」
「あ、すんません。………ぷっはぁ、生き返る〜」
「いつも何かと理由をつけて筋トレを断るからだね」
「え、そんなことないやろ〜。わいもちゃんとやってるって」

グループメンバーは、大きな一軒家で共同生活をしている。故に、色々とバレてしまうものだ。ナレーションをこうやって入れているものの、内心はお茶を渡す瞬間に噴き出し笑いをしそうになった。が、しかし流石に仕事中なので冷静に。

それからというもの、彼に逐一「筋トレしたら？」と声をかけるようになった。

うちに来ると、最低限の筋トレをさせてからごろごろさせる。

「ほんま、あれ以来みーちゃんちょっと厳しくなったわなぁ……」
「……え？私甘甘だと思ったんだけどなぁ」
「あま、あま……わいの知ってる甘甘って、もっとこう……いちゃいちゃしてるんやけど」
「……むっ。ちゃんと筋トレの後ご褒美もいっぱいあげてるでしょ？」
「…………貰ってるわ」
「つーんだ。私しーらない」

ちゃんと筋トレの後はご飯作ってあげたり、一緒にテレビ見たりしている。あまり一緒にいることがないからこそ、やりたいことはなるべく一緒にやるのがモットーになったからだ。

/* ごちゃいがちらつくが今回は流石に違うな。