まあ、護ると言ったところで。

余に気を取られた貴様では、止められまいよ。
針は、とうに進んでおるのだ。

まあよい。
厄介なファン《無礼者》には慣れておる。

[ミルフィーユが向かってくる間にも。
幾筋もの光線は絶え間なく襲い、飛び交う。

その間にも、時計は進むのだ。]

さぁて、どうだかな。

[ 天を仰ぐ。月を見る。
この間にも、あの図書室の女はことを進めているのだ。]

ファンサービスというやつだ。
光栄に思うがいい。

[もちろん、光弾の手を緩めることはしない。
弾かれ、拡散し、霧散しようと。]

どれ、ファンサービスの一環として見せてやろう。
貴様も疑問に思っていた、煌めいては消えゆく余の世界を。

[刹那、彼女の視界にモニターが映る。
そこには、映像として映し出される。

星継ぎ《ﾈｸｽﾃﾗﾘｱ》
☽.*·̩͙ニグラス☽.*·̩͙《ｸﾞﾗﾝﾄﾞﾌﾙﾑｰﾝ☽ﾀﾞｰｸﾅｲﾄｵﾘｼﾞﾝ》
光輝《ｷﾗﾒｷ》企画
☆.。.:*・°☆.スピカ☆.。.:*・°☆.《ｽﾀｧｽﾀｧﾌﾟﾘﾃｨｽﾀｧ☆☆☆ｺﾞｰﾙﾃﾞﾝｷﾞｬﾗｸｼｨ》

贄の人形《ｻｸﾘﾌｧｲｽｱｲﾄﾞｰﾙ》が、製造されるに至ったそのすべてを。]

組織の理念は、その犠牲を良しとしない思想は、善である。
だがしかし、その代用品にココロある人形を造った。

命なき代用を立てればよい。
だが、ただの人形では、巫たる資格は得られぬ。
ならば、巫たりえるココロとキラメキをもった、命なき人形であれはよい。

初めから、燃え尽きるが使命の身体。
齎されたイシ。
あの日、まだヴァーチャルの世界から出てこられなかった余に、突如与えられたイシ。
それが余のデータに革命を起こし、ココロを得る最高傑作になり。

そして致命的なバグが発生した。

それが、組織の犯したミスだ。

[首のペンダント。
これだけが、珊瑚石でできている。それを握り締める。]





余の使命は人の楽しみ。神の楽しみ。
滅ぶ世界に、娯楽を見つけられないのならば。

余がその最後の輝きとなろう。
絶頂の瞬きを目にし、最上の享楽を拝謁したまま死せる栄誉をくれてやろう。

星は継がれぬ。
皆滅ぶ。
なれば、最も美しい瞬間に果てるべきである。

そんなこと？

そんなことだと？

そうだ！
余の役目はその歌で世界を救うことだ！
歌で世界を救い、黒山羊の代わりとなって礎となり果てることだ！！

今貴様は、それに叛旗を翻す余に、役目を全うせよとほざいたのだ！！
さも、正義を説くかのように！！！

[光弾は止まない。
避けられる弾は世界のあちこちに散り、破裂音を響かせる。]

はん、貴様が人間に見えるか、だと？
当たり前であろう。

[す、と先程までの激情を収め、鼻で笑う。
鎌首を擡げる夜《ﾖﾙ》？
それがなんだ]

貴様は余の歌に感銘を受け
余の雷《ウインク》に触れ
余の愛らしさに見蕩れた。

余とて歌は好きだ。
余の歌で感涙を流す衆目は好きだ。

だが、それも余が役目を全うし終えれば、
余がいなくなれば1年と経たず輝きは失せるのだ。

[対峙する2人の少女を見下ろす。]

なればこそ、今強烈に、誰よりも、何よりも。
強く、激しく、輝かねばならぬ。

その熱意で、世界が燃え尽きようと。

[少女の周囲が迫り上がる。
周辺に配置《沈黙》させたイシたちが光輝き、さながらスポットライトの如く周囲を照らす。

中心の少女はポーズを取ったまま動かず、やがて音楽が鳴り響く。]

[そして

街中の1つ。
被害のない巨大なビルが1つあった。

そしてそれは突如として―――

虹色の光を放ち、ファンファーレを鳴らしながら変形を続ける。
少女の周囲を取り囲むようにビルだったそれは飛び交い]

ひらめけ！


さんざめけ！


創世の煌めきよ！！

[数多のイシのスポットライトを浴びて。

超新星光輝神殿《ｻﾞ·ﾋﾞｯｸﾊﾞﾝ=ｽｰﾊﾟｰﾉｳﾞｧ》、降臨。]