【人】 少年 編笠>>24 卯波 「よーう、卯波。 帰ってきてるって信じてたぜ」 無表情でわざとザバザバ音を立てて 手を振りながら近寄ってくる。 もはや腰辺りまで結構水が滴っているが、 割とこういうのが好きらしく裾を絞りながら聞く。 「『持ってきた』か? あ、いや『覚えてるか』? の方がいいか。 俺は俺の分は『覚えてたし備えてた』ぞ。 こっちは10年、人生の要所でフィルム一杯まで撮った」 言いながら、ポケットから『インスタントカメラ』を取り出す。 そこには卯波と名前が書いてある。 同じもので違う名前の書いてあるものが、世界にもう一つある。 (91) reji2323 2021/08/11(Wed) 20:38:31 |