「気楽に、先入観なく……。分かりました。映画も娯楽の一つですし、楽しむものですしね。
……シトゥラさんは、何か鑑賞できないような事情があったのでしょうか……？」

シャトの処刑の件もあったから、映画を見る気にはなれなかったのかもしれない。
一人で勝手に納得した。

スクリーンが見えるところに遠慮がちに座り、服の裾を整える。
準備ができたところで2人の顔を見る。

「気楽に、先入観なく……。分かりました。映画も娯楽の一つですし、楽しむものですしね。
……シトゥラさんは、何か鑑賞できないような事情があったのでしょうか……？」

シャトの処刑の件もあったから、映画を見る気にはなれなかったのかもしれない。
一人で勝手に納得した。

スクリーンが見えるところに遠慮がちに座り、服の裾を整える。
準備ができたところで2人の顔を見る。

気軽に人が集まった結果気軽に複数人が２時間近くドブに捨てたことになったのだが、サルガスの言に指摘しようにもキファの期待に満ちた瞳を前にどうしても言い出せず閉口する。


ギャラクシーシャーク上映中はやはり後方バーナード顔になっていたのだが、数分でキファに現実を突きつけてからはちょくちょくお菓子やジュースの差し入れタイミングを図っていた。

やがて三角コーナー以下の映像作品がスタッフロールに移行し、大きな息を吐いて。



素直にクソ映画認定した。ごめーんね☆

あなたの部屋の前に、小さな箱とメッセージが置かれている。

『カストルさんへ
先日は温泉でご迷惑をおかけしました。原因が自分にあったことに気づいてすぐ謝りに行こうと思ったのですが、議論や処刑でタイミングを逃してしまって……。
占い師としての役目もあり、大変かと思います。真であれ騙りであれ、考えるべきことは多いでしょうし。
そんな中でさらに精神に負担をかけるような真似をしてしまい、すみませんでした。
私が言えた義理ではありませんが、どうか無理はなさらないでください。お互い頑張りましょう。　キファ』

箱の中身は、娯楽船内で売っているクッキー詰め合わせのようだ。
あなたが差出人の姿を探すなら、まだ近くをうろついているのがわかるだろう。

「感想は求めていたが、な。
　世の中には様々なサメが居るらしいが、シトゥラの故郷のサメは相当なのかもしれない。
　」

尚シトゥラから話を聞いたのは、シャト処刑の件より前である。サルガスはその場に居たので、勝手にシトゥラにこの様な見当を付けている。

上映が始まれば、再び画面のギャラクシーなシャークに対して、この行動の意味は果たして、といった事をぶつぶつと呟く。
残念ながらキファの様子には気付いていない。あーあ。

そうして、2時間を無駄に絶やした後掛けられた声に。



全ての伏線に合点がいった。

まずは箱を見つけて、わ〜いクッキー！になった。
そしてメッセージを読み。
「……おんせん？ごめいわく？キファ……温泉……温……キ……」


呼んだというよりは、叫んだ。探しもするけれども、近くにいるのならおそらくあなたが叫びに気づくほうが早い。逃げたら逃げられるくらいには。