人狼物語 三日月国


94 【身内】青き果実の毒房【R18G】

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【秘】 7734 迷彩 リョウ → 0251 鏡沼 創

「……頼んだだけで、ね、そうしてもらえたら、苦労してないよ」

その抑揚は少し苛立っていた。貴方の声が不理解を伝えてきて、しかし嘲笑よりはましだと諦める。
上体を転がし、貴方へ向ける。短い鎖が鳴った。

「罪がないとねぇ、……はは、殺せないって。死刑にしすぎると、色んな国に怒られるんだってさ」

指し示された先を一瞥する。既に誰かを見上げる気分では無くなった。
どちらかと言えば、煮えたぎっていた腑が冷めたような心地が近いだろうか。

もういいよ。
そう告げようとした。
しかし、付き合ってくれた友達に対する言葉にしては冷たいかもしれない。他の言い方は無いか、と思っていた矢先のことだった。
(-2) wazakideath 2021/10/01(Fri) 22:47:42

【秘】 7734 迷彩 リョウ → 0251 鏡沼 創

「え?何、
────あ゛ッ!?


ぐ、と押し込むような動きが伝わる。
直後入り口に充てがわれていた玩具が、最奥を突き上げる。
不意打ちの快感が、奥底で爆ぜたような気がした。

「ひぐ、……ゃ、だ!も、ッ!ぁあ、んっ、……やだぁ!」

トモダチじゃない。どうしてだろう。
死んでも親子は親子のままだ。
なら友達だって同じではないかと、そんな考えを言葉にする余裕はあっという間に無くなった。

「っ、そ、……そこ、ッ、ぁああ゛!……ゃ、むり、ひ、」

拘束具が食い込むのも構わず、必死に逃げようともがく。その度に鎖が鳴り、革が軋む。
最奥の先にある快楽を知ってしまった身体は、乱暴な責めでも快楽を拾い上げてしまう。
(-3) wazakideath 2021/10/01(Fri) 22:48:45

【神】 7734 迷彩 リョウ

「え、何呼んだ?」

そこら辺を通りがかった奴その2だ。

「まあ二人の料理好きだから良いけど、
 今あんまし脱ぎたくないな〜」

今日……というよりは、とある日から黒いハイネックのインナーを着ていた。サイズが少し大きいのか、手首まで全て布地で覆われている。
別に脱いでも構わないが、そこの保護者に色々咎められそうなので気が進まないのである。
(G3) wazakideath 2021/10/01(Fri) 23:07:02
迷彩 リョウは、オムライスにケチャップをかけることができる。
(a1) wazakideath 2021/10/01(Fri) 23:14:06

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理対決

「オムライスって作れんの!?
 あのあれ、ふわふわのやつがいい!!」

多分旗を立てたら喜ぶ精神年齢をしています。
(G7) wazakideath 2021/10/01(Fri) 23:19:30

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理対決

ずっとここで過ごす。その結論に至るまでの経緯に心当たりはある。だから疑問は抱かなかった。
代わりに少しだけ悲しくなり、少しだけ安心した。


「……あ、そうなん?わかった」

自身の名前に顔を上げたが、生返事に近い。
作り直したのなら、少年は喜んで食べるだろう。
(G15) wazakideath 2021/10/02(Sat) 8:16:37

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理対決

「全部脱ぐ?脱ぐなら隠す係していい?」

クソデカフライパンを持ってきた。
これで股間を隠そうという試みらしい。

一体闇谷何%になるだろうか……。
(G29) wazakideath 2021/10/02(Sat) 16:20:57
迷彩 リョウは、26%隠せました。
(a4) wazakideath 2021/10/02(Sat) 17:13:31

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理対決

「なんでケガ無いのに包帯してんの?」


ファッションとかよくわからない子供からド正論がお出しされた。
(G32) wazakideath 2021/10/02(Sat) 17:35:06

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理対決

「へ〜、そうなんだ」

答えさせたくせに、微塵もそう思ってなさそうな返事である。
自分にはよくわからないが、きっと世間的にはカッコいいのだろう。そんな雑な納得をした。

「つーかソレでオムライス作ったら火傷しねぇ?」

エプロンをした所で防御力低すぎると思います。
(G34) wazakideath 2021/10/02(Sat) 17:57:15
迷彩 リョウは、あーあ。って顔をした。
(a7) wazakideath 2021/10/02(Sat) 18:34:38

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理対決

「も〜だから言ったじゃん!
 火傷って何すればいいの!?氷!?」

冷蔵庫に向かうと、氷を手掴みで持ってきた。
口調こそ呆れているが、何やかんや心配はしているのだ。
(G36) wazakideath 2021/10/02(Sat) 18:38:07
迷彩 リョウは、冷たッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
(a9) wazakideath 2021/10/02(Sat) 18:38:48

迷彩 リョウは、水を張ったボウルに氷をボチャボチャボチャ!!!
(a13) wazakideath 2021/10/02(Sat) 18:45:59

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理対決

「じゃあほら!!コレ!!!」


火傷した箇所をボウルに無理矢理突っ込んだ。
もし火傷箇所が顔だったら水責めになるし、足だったら足水になるし、胴体ならバラエティ番組と化す。
手だといいね。
(G38) wazakideath 2021/10/02(Sat) 18:52:26

【秘】 0251 鏡沼 創 → 7734 迷彩 リョウ

「それもそっかぁ」

苛立つ声に、いつも通りを返す。
世間体というものがあるのだろう。どうせ防げるはずだったのに何故とか、後から騒ぐのに。

貴方の口が言の葉を紡ぐ前に、蹂躙は再開される。
ひと時だけ、全部忘れてぐちゃぐちゃにかき混ぜられるような快楽を。
もし貴方の疑問が言葉になっていたのなら、この少年はこう返していただろう。

『生きてないならトモダチではないよ』
『生きてても死んでても、親子じゃなくなる事はあるんだよ』
『少なくともオレに親って言える奴らは、もういないよ』
『―――そんなに、いいものでもなかったよ』

「うんうん。やだで無理なのは、イイんだよね」

貴方の調子を窺う事なく、ひたすらに反応がある場所を責め立てながら奥を貫いていく。

「ほら、もうちょっと頑張っとこうね」

跡になっちゃうかもなぁと他人事のように思いながら軽い口調で励ました。ふぁいと〜。

―――貴方の反応が無くなるか、疲れたと突然手を止めるまで一方的な行為は続いただろう。
結局少年が自分から貴方に突き立てるような事は、なかった。
(-24) sym 2021/10/02(Sat) 20:44:06

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理対決か?

ビシャビシャになった闇谷を見ながら、
何やってんだ……
と言いたげな顔をした。

「ねえオムライス食べていーい?」

既にケチャップをかけている。ネコチャンを描こうとしているらしいが……

ネコチャンの完成度49点くらい
(G40) wazakideath 2021/10/02(Sat) 21:16:56
迷彩 リョウは、上手いとも下手とも言えないまあまあなネコチャンを描いた。
(a19) wazakideath 2021/10/02(Sat) 21:17:27

【秘】 7734 迷彩 リョウ → 0251 鏡沼 創

苦痛を上塗りする程の快楽が、嵐のように意識を滅茶苦茶にしていった。視界が輪郭を失い、もうこのまま溺れてもいいか、と目を閉じて。
……直ぐに鎖の音で目が覚めた。ほんの僅かだが気を失っていたのだ。
しかし拘束を貴方に外してもらうまで、ずっと文句を吐き続けたに違いない。

「もうカガミンには頼まない」
「確かに頼んだのはオレだけどさぁ」
「いや、絶交まではしないって……」


……最終的に少し言いくるめられつつも、示談は成立しただろう。

きっと、貴方と深く言葉を交わしたとして。
理解し合うことは難しい。
少年の知る世界は唯一つ。
比較対象も少年は持っていない。
とある男の生い立ちにそうしたように、同情を向けるだけで精一杯だ。


そうして部屋を出る頃には、元の『トモダチ』に戻っていた。
(-29) wazakideath 2021/10/03(Sun) 0:10:47

【神】 7734 迷彩 リョウ

>>料理ではある

「いってらっしゃ〜い」

頭を撫でた人の姿が見えなくなってから、食事を再開する。

咀嚼しながら美味しいなあ、と考えて。
自分でも作れないだろうか、と考えて。

手料理を食べさせたい相手には、もう会えないことを思い出した。

「……、あーぁ」

時々、水を飲む。
直後、口内に広がっていた味覚が薄まっていく。
再び、食べる。
ちゃんと味がして、自分が生きているのだと思えた。

作り手が帰って来る頃には、殆ど食べ終えているだろう。
そして危なっかしい手付きで食器を洗う少年と、
それを見守る少年の姿があったはずだ。
(G42) wazakideath 2021/10/03(Sun) 8:41:21

【人】 7734 迷彩 リョウ

はあ、と窓に吐息を吹きかけた。
薄く曇ったガラスに指で輪を描く。

「……」

輪の上部に一本の線を生やした辺りで、
絵は消えて見えなくなった。
(0) wazakideath 2021/10/03(Sun) 20:51:20

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>1 闇谷/貴戸

その声に意識が浮上した。振り返る頃には、顔に憂いのひとつもない。

「どしたん。オレに何かあった?」

目を細め、穏やかに返事をした。
何となく。
大事な話なんだろうな、と思う。
(2) wazakideath 2021/10/03(Sun) 22:10:15

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>5 >>!0 >>6 闇谷/貴戸

その言葉がひとつ紡がれる度に、胸に温かい染みが広がった。
これは喜びだ。他者の幸いを祝福する、尊い気持ちだ。

「……へへ。どういたしまして?」

貴方たちは、変われたのだ。それもとびきり良い、幸せな方へ。
視界が霞む。目の奥がつんとして、鼻を一度啜る。

少年は母と離されてからというもの、泣いてばかりだった。
けれど、あれは人の為の涙じゃない。自分の為の独りよがりな悲しみだ。
それを、今知った。
(7) wazakideath 2021/10/03(Sun) 23:10:59

【魂】 7734 迷彩 リョウ

堰を切ったように、大粒の涙が溢れていく。
少年は泣いた。
喜びから泣いたのは、人の為に泣いたのは、初めてだった。

「ありが、とう。こんな、こんな温かい気持ちを、教えてくれて。

 二人のおかげで、オレは。
 ……自分を、ちょっとだけ、許せた」
(_0) wazakideath 2021/10/03(Sun) 23:11:30

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>5 >>!0 >>6 闇谷/貴戸

目元を擦ると、くしゃくしゃの顔を上げて笑う。

「ずっとここにいるなんて、許さないからね。
 外に出て、たくさんキレイなものを見てね。
 そんで、たくさん笑ってね。約束だよ」

この箱庭に本当の幸いが無いことは、自分でもわかる。
貴方たちにわからない筈がない。
きっとこんな場所を飛び立って、明るい日向で、生きていくのだ。
(8) wazakideath 2021/10/03(Sun) 23:12:00

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>9 闇谷/貴戸

「うん、……うん、うん」

二つ抱擁の中で、何度も頷いた。
忘れかけていた温もりが肺を締め付けて、吐息が震えた。
本当にほしい物があることを、思い出してしまいそうになる。

「……オレ、は。ここを出るよ。出て、」

生きる為には、誰かの命が必要だ。
殺して、誰かの命を奪わなければならない。


「……出て、」

 死刑

同じになりたい。
自分で死ぬ勇気が無いから。


他者にも、自分と同じように心がある。
どんな人間にも、その死を悼む人間がいる。
そう知ってしまえば、どちらの夢も叶えることに躊躇いが生まれてしまった。
(10) wazakideath 2021/10/04(Mon) 0:12:27

【独】 7734 迷彩 リョウ

わかってて間違えさそうとしてくるもんな、そこのおねえさん
(-95) wazakideath 2021/10/04(Mon) 0:19:57

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>11 >>a4 闇谷/貴戸

屈んだ小豆色を見て、ああやはり他人なのだと思って。
自身の頭を撫でる手に、他人だからこんなに温かいのだと思い知る。
オレは、好きに生きるよ

かつてそう言っておきながら、本音を奥深くにしまい込んだ。
好きに生きられないけれど、それを認めたくない。
これが自分にとっての、好きに生きることだと言い聞かせてきた。

「……
、好きに。生きたい、よ」

そうして貴方たちへ返ってきたのは、
答えでもなく、決意でもなく、願いだった。

「生きたい、けどさぁ……そんなの、できないじゃん」

僕にとっては一緒だけど、世間様にとっての上からでいいね?

悪い奴を教えてほしいと告げれば、彼は言った。
世間様の思う、悪い人間。
その中に自分がいることに気付いたのは、数年前のこと。

人が死ぬというのはな、迷彩、それと同じで悲しい事なんだ。

   
自分

──悪い人間を殺せば悲しむ人間がいるなんて、知りたくなかった!

「オレは生きるなら、誰かを殺さなきゃいけないの」
(12) wazakideath 2021/10/04(Mon) 1:15:14

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>15 >>16 闇谷/貴戸

「……──な、ぁ?」

言葉を直ぐに飲み込めず、呆けていた。
意味を理解するまでに、数秒を要した。

「……い、言ったじゃん。助けてくれなくていいって」

他人とは、もっと冷淡な生き物だと思っていた。
かつての自分と同じように大切なもの以外どうでも良くて、内側にしか目を向けないものだと思っていた。
それは、よくある話。
自分たち

迷彩が透明になったのも、よくある話。

「見てくれるだけでいいって」

本当の願いはどうせ叶わないからと見つけた、代わりの目標。それを夢だと自分に言い聞かせて、死ぬまでの少しの間、生きる糧にするつもりだった。
(17) wazakideath 2021/10/04(Mon) 3:56:55

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>15 >>16 闇谷/貴戸

俯くと、床が涙で濡れた。
自分の生が望まれていないことに察しが付かない程、少年は幼くない。

「……ほんとにいいの?」


少年の景色は狭い。
家族と、それ以外。このふたつ。
   世界

それ以外に許されなければ生きてはいけないのだと、教わる通りに学んだ。
けれども、教科書は生きろと宣う。
独りだった子供はどうすれば良いのかわからずに、死ぬ為に生きようとした。

「…………ありがとう。うれしい」


世界に許される必要なんか無かった。
自分を見てくれる人の赦しだけ、在ればいい。

──それだけで、生きていいんだ。
(18) wazakideath 2021/10/04(Mon) 4:00:27

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>闇谷/貴戸

きっと自分が生きていけるのは、この腕の中という小さな世界だろう。

だけど。
それだけでいい。
だから。
この小さな世界を守りたい。

……守ると、今決めた。

「──、うん、
生きる

 二人と、……母さんに、報いたいから」

顔を上げる。そうして、新しくできた本当の夢を告げた。

少年が受け取った贈り物は、他者の幸いだ。
しかしそれは、決して奪った物ではない。
望まれ、自らの意思で分け与えられた物だ。
(23) wazakideath 2021/10/04(Mon) 14:40:02

【魂】 7734 迷彩 リョウ

【独白:愚者の贈り物】

少年の世界は狭かった。
自分と、鏡映しの母。登場人物は二人だけ。

少年の世界は幸せだった。
肯定と、愛情。苦痛や憂いなど存在しない。

そんな世界が誰かの幸福の上に作られていたと知るのは、12歳の朝のことだった。

数年に一度貰えた誕生日プレゼント。窮屈な身体を脱ぎ捨て、新しい身体を貰える大好きな日だ。当たり前だと思っていたし、窓の外を歩く人もそうだと思っていた。

────それが、誰かに愛されていた筈の人間だったなんて。
────誰も、誰も、教えてくれなかったじゃないか!


知らずに食べた食事に、人の肉が混じっていたとして。
何気なく歩いた一歩で、虫を踏んでしまったとして。
その人間は悪人だろうか。しかしそれは、間違いなく悪行だ。

お前が笑って生きられる世界になれば良いのになあ…………。


昔は、母に守られていた時分は、そうだった。
何一つ憂うことなく、この幸せが続くと思っていた。それが世界だと思っていた。

──母さんはね、アンタが笑って生きられる世界にしたいの。


母が本当に守りたかったのは、きっと自分の心だったのではないかと、今になって考える。
真実を知ってしまえば、他者の心を知ってしまえば、笑って生きることなど不可能だ。
無知という幸福は、失えば二度と手に入らない。
少年が受け取った贈り物は、他者の幸いだった。
(_1) wazakideath 2021/10/04(Mon) 14:42:42

【人】 7734 迷彩 リョウ

>>闇谷/貴戸

どこかの誰かへ向けた大きな独り言を見守りながら。
世界の広さを思い、
自分の世界の狭さを想い、
どちらの方が重いか見比べた。
比べるまでもないと、内心気付いてはいたけれど。

「オレは二人が行きたい場所についていくよ。
 そんで、そこで写真撮りたいな。
 その景色を見せたい人がいるんだ」

机上の空論が理想である理由。
それは、社会の平等を崩しているからだ。
誰かが選ぶのならば、空論は容易く叶う。
それが得られない程に立場の弱い人間が、世界にありふれているだけで。


無知という幸福が無くとも、少年は笑った。
(24) wazakideath 2021/10/04(Mon) 14:44:37

【独】 7734 迷彩 リョウ

これからちょっと……
世界観作った人間の特権を振り回します
よろしくね
(-138) wazakideath 2021/10/04(Mon) 17:31:42

【魂】 7734 迷彩 リョウ

【独白:透明なチップ】

夕日が差し込む職員用の給湯室に、二人の男がいた。
カウンセラーのひとりとして働く初老の男と、異能研究所で働く中年の男だ。
初老の男は以前少年が蛾の交尾を撮影し始めた際、駆けつけ彼の頭を叩き叱った者たちのひとりである。
缶コーヒーを飲む中年の男は、報酬の調査票に視線を落とす。
指先でとある欄を指し示し、とん、と指で叩いた。

「どうするんです、これ。Yさんのご両親が黙っちゃいないでしょ。
 あなたの責任になるんじゃないですか?」


少年は本来、この企画に参加する筈ではなかった。
当然だ。映像に映る肉体に罪は無く、肉体の遺族も罪を犯していない真っ当な国民なのだから。
無実の人間の醜態を晒すなど、人権が失われつつある国でも非難は免れない。
そこにひとりの少年を加えたのは、初老の男だった。
彼に夢の口外を禁じた、最初の人間である。

「ま、そうだろうね。懲戒免職の前に辞めるよ」


競馬新聞にマーカーペンで印を付けながら、男は言葉を返す。
それは子供の未来など、彼らにとって世間話でしか無いことを如実に表していた。
(_2) wazakideath 2021/10/04(Mon) 17:35:27

【魂】 7734 迷彩 リョウ

「あなたが迷彩のことを気に入ってるとは思いませんでした」


男は中身を飲み干し、空になった缶をゴミ箱に向けて投げる。
空き缶は壁に当たり、床に大きな音を立てて落ちた。
その音を片や眉間に皺を寄せながら聞き、片や小さく笑いながら聞いた。

「気に入ってるというか、賭けだよ。
 他人の人生を賭けるやつ、一度やってみたかったんだ。
 こういうドラマみたいなの好きだろ、世間様は」

「賭け?物好きですね、あなたも。
 ……で、これは勝ったんですか。それとも、負けですか」


嘆息しながら空き缶を拾い、男は振り返る。
視線を受けた男は、印刷された騎手の目をペンで潰した。

「さあ。見方次第だろ」


どのカメラにも映らない部屋で行われたその会話は、誰の耳にも残らず消える。
独り言のような会話は、その内二人の記憶からも消え失せる。

──少年は選ばれた。
ひとりでは叶わない夢も、誰かと共に挑めばそれは容易い。
その事実を示す黒いインクが、紙面に残る。
(_3) wazakideath 2021/10/04(Mon) 17:36:25
 




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