「」

吠え方は変えつつまねっこ、セカンド

「オリオンは……オリオンはまだ、決めかねています。
　セファー様は既に、いらっしゃいますか？」

「セファー様のご意志、承知致しました。
オリオンは未だ、これが殺意かどうかわかりかねております。
故にセファー様の希望を優先したく。今日行うのが早いのであれば、障害になりそうな者を襲撃したいですね」

……それが誰なのかも、まだわからない。

「―――いえ。オリオンはこちらにいらっしゃる看守の方々にそのような感情を抱いてはおりません。
そのように湧き上がる欲は抱いておりません。

ですが、トム様のご意見には賛成します。……腕っ節だけであればオリオンは良いのですが。ああいった方々は勘もよさそうですので」

「……それでも気が進まない事はあるでしょう。

セファー様が赴く事を躊躇う者は、オリオンが参ります。
よろしいでしょうか、トム様」

処刑ではなく襲撃で死亡させたい相手。
見世物にしたくない相手。

そういう決め方もあるのかと、目が覚めたような顔でセファーを見た。

「……ならば、ならば。
オリオンもそうしたい者がおります。

ですので、セファー様」

「への襲撃は、オリオンが行ってもよろしいでしょうか？」

「お二方のご厚意に感謝致します。トム様、セファー様」

深く礼をする。

「では……本日はオリオンとセファー様、どちらが致しましょう？
オリオンは今日でも明日でも、構いません」

こちらで伝えても、耳打ちしても構わない。

「―――」

燻っていたそれに名を付けられた気がした。

「トム様。セファー様。
だからこそ行うのです」

「
オリオンは罪を償うため此処におります。
オリオンは幸福を感じるために此処へ来たのではないのです。
そのようなものを抱いていい筈がありません」

そうではない。そのはずだから。

『ナフ様♡』『ファンサして♡』のうちわを掲げておきます

こほん。
……つまり先日の疑惑は正しかったわけですね。
承知いたしました。

「セファー様のご健闘を、オリオンはお祈り申し上げます」

「どうか無事に果たされますように」

人狼は血が苦手なのかもしれない。
キンウはそう思いました。

…………

きっともうばれていますし、何もなかったフリをしようと思いました。
ファンサしてくれたナフ様、ありがとうございますね。