「どういう物か見てみたさはあるわね」

純粋な好奇心。

「えっ、えっ。
　一葉平気なん、女の子とお風呂よ、マジ？」

俺の反応のほうが変なのか？

「ううん」
「あんまり気にしてると」
「……その方が一層恥ずかしいじゃないか」

ちょっとは平気じゃない感じ。
でも平常心を保つくらいはできる、といった塩梅。

「えぇえぇえぇ」

ぐるぐる。
カルチャーショックを感じています。
あわあわしながらも皿洗いは丁寧です。
ゴム手袋をつけてわしゃわしゃ洗っています。

「…混浴があるとしても下心がなければ男湯に行くってならない、かなぁ。」

混浴前提なの？

　


ノリが悪い男その1。
だって怒られる方がよほど怖い。想像しただけで死にそう。

「一葉つえぇ……」

いや、まったくもってその通りではあるのだが。
多感な高校生の自分には刺激が強そうである、かなり。

「おー混浴……。お風呂でゆっくりお話〜ってできたら嬉しいから、興味はあるけど。やっぱり気まずくなるものかな？」

「水銀さん、私達少数派みたいよ」

そんな馬鹿なことが許されていいのだろうか？
男子はともかく、女子までが混浴に興味があるなどという……
そんな……そんなことが罷り通っていいのだろうか……？

「一緒にお風呂入って噂とかされたら恥ずかしいし……」

全然恥ずかしいとか思ってなさそう。
また部屋の隅に戻ってる小動物を見て、
目を離した間に動いてる系のなにがしみたいだなとか思った。

「水着ならプールと変わらないくない？
　あんま大袈裟に考えなくてもさ〜」

「堂本、軟弱」

年上を軟弱呼ばわり！

「……でも気持ちもわかるから……
　素直に男湯いくのが平和ではないのかね」

「水着があるなら、水泳の授業と
　あまり変わらないと思うのだけれど」

流石に裸で混浴と言われたらNOである。

>>氷室さん



茫然です。



壊れたロボットみたいになっています。

「女の子も見られて良い気分しないんじゃない、かなぁ…。」

あれ、僕がずれてるの…？
少し自信なくなってきた。

謎の持論が飛び出しました。

だが確実に負けてる、色々。

「ってかさー、そりゃプールと同じかもだけど
　色々気分が違いすぎねぇ……？」

「時間をずらしたり、好きな方に入ったりすればいいだろ。
　俺はもう体をあっためたあとだから、布団敷いてもう寝る。
　テーブルとか食器の残りとか、廊下に出すからな」

土鍋とかコンロだとか、手入れのいるものはさすがに施設側が手入れするだろう。
事後処理はどのようにすればいいかを聞き取ってそれに従いつつ、
食べ終わった残骸であったり大テーブルの周りを囲んだ座布団だったりをまとめていく。

ｻﾞﾜ……



女子と裸の付き合い、を？

「見てくれだけならそりゃあプールと同じですけどね。
　実際には色々違うじゃないですか。
　お風呂とプールは……違うんですよ！
　違うんです！」

どうにも生理的な部分が大きく、説明できなかったので
こう言う他なかった。
女湯に入ればいいだけなのになぜかくだらない論戦をしてしまう図。

「…？ええと…真尋くんのそれ、色々誤解が出そうだけど…大丈夫？」

思春期あるまじき発言に首を傾げた。

「あ、残ってる食器は
　あたしこのまま洗っちゃ、う、よ──」

洗い場に立っている少女。
蛇神から食器を受け取ろうとして、
久瀬の言葉に硬直してしまいました。

「久瀬。」

爆弾発言その２。
言葉裏を察して子供のころの話をしてるんだと思いますよ。

ｻﾞﾜｻﾞﾜ……



恐ろしい子！！