「不破……小指と中指じゃ全然意味がちがうって、俺でも知ってる」

俺でも知ってる。




「いやぁ……だってこちとら生まれた時から記憶あったし？
　どうしようもないじゃん」

もう生まれながらなのでこれが自分の中では普通である。悲しい。

「でも今まで前世関係者なんて会ったことなかったんだよ。
　誰も自分をしらない、覚えてないって……ガキの頃は親困らせて泣いたんだけどさー」

「…………。
　まぁ、でも。
　やっぱ会えた事は純粋に嬉しいから困るんだよなぁ、これが」

高速から少し速度を落としたなでなでを、不破に。



女装してるのかぁ、そっかぁ……。
お互いつらいなと、そう思った。

>>@5　久瀬



ぴぃ、とビクリ肩を震わせて、威嚇する猫のよう。

「もーそうやって、面白いなってニヤけ笑いするとこクリソツなんだよ」

うっ……辛い。

>>+14　>>@5　棗、久瀬　＞＞＞どことはいわないところ

…………。
　

色々聞こえたくなかった事が四方八方から聞こえて来た。
これが真の自業自得。
何故か前前前世組に撫でられているので、少し落ち着いてきた。




マシになったかもしれないが、今度は急に友好的になった。
何も考えてないで行動していてそうだけど、魔法少女。こんな男でも魔法少女ができるのだと諸君には希望を抱いてほしい。



魔法少女のコスチュームは名前より大事なのは、
古代より女児の塗り絵をみてもわかることなのだ。

「両方立てたらもう何か意味わっかんねーな」

げらげら笑い、まぁ、それでも言いじゃん。
不破だから、と納得する。

「いや、魔法少女してるとこ一回見てみたいわ。
　ニチアサの女みたいなことできんの？」

魔法少女のイメージが、それだけしかない。
悲しいね。

「まー……
　俺も流石にね、バレるのは困るから、言動とかにはそれなりに気を使ってたんだけどさ。
　」

バレましたね、こうなる前に何人かにと、遠い目になった。

>>+17　棗　＞＞？

「？」

きょとんと目を丸くしてから、片手で狐を作ってぱくぱくしてみた。つまり、全く意味が伝わっていないが、最初中指を立てようとしていたのが全て吹き飛んでいる。



最も重要なのはそこらしい。





合理的と思う人も割といるかもしれない。
それにどうせ、この有様なのでいつかその辺でバレてたかもしれないので実際判断がどうだったか。結構この男にとってはいい仕事をして貰えたのかもしれない。

あとふぐはしっかりちゃかり食べてる。意外と元気かも。

「フグは美味いな……」

美味い。
なんかもう現実逃避してる気がする。
くっ、俺も混浴行ってみたい。



「そうだな……スカートは抑えないとだな……
　あれはないのか？　ほら、スカートの中のひらっひらしたやつ……」

それをパニエというのだがこの男はそんな単語は知らなかった。

「不破も嘘下手仲間かー！
　そろって撃沈ってのも仲間ポイントだなー俺ら！
　ある意味衝撃秘密で後のやつのハードル下がったんじゃないか？

　」

この後笑えない秘密とか出てきたらどうしようなと途方に暮れた。

　


抑えなくて済むし、そもそもそんな事しつつ死んでない時点でもしかしたら強いのかもしれない。或いは相手が弱すぎるのとしか戦わされてないのかもしれない。

　


パニエと言う単語に聞き覚えがなさ過ぎて、食事中だがスマホで検索した。



メルヘンどころかホラー染みてきた。そんな状態のを寄越してくるやつ相手にマスコットを望めばどんな災厄が生まれるか、と言いたいらしい。



洒落にならない秘密、の所で、いきなり嘘がつけないが適応されてしまった。何か思う事が会ったらしいが、フグとポン酢で現実逃避している。
なお、早乙女と夜川彗の視線にはビクついた。

　


悪口だ。



まあ、誰も潰せない上に、『潰さないでわざとサボったらお前のとこによこす』と衣装を投げつけてきた奴に言われた、という理不尽極まりないかつ、自己防衛の話だった。

「標的……」

怪異やらなにやらに襲われまくるのは嫌だろうな、とは思いつつ。
理由については納得もするけれど。

「なんで普通に女の子になってもらわなかったんだろうな……
　せめて変身ヒーロー……のほうがいいだろ」

無意識にお嬢様言葉で喋ってしまうのも相当恥ずかしいと思ってたけど。
上には上がいるものだなぁと、何故か妙に親近感が湧いてしまった。
悲しきかな。

なんだか女子達に見られてる気がする！怖い！
隅の魔法少女（男）は震えた……



遠い目をした。
トンチンカンな謎のものに渡されたので、あり得ないと言い切れない。そも不破はこうは言っているが、実際の理由を知ってるのか不明である。