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人狼物語 三日月国


124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】

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[ 自由に外出をすることもなかったから知らなかっただけで。
  父の家は驚く程近くにあった。
  運動不足のわたしの足で近くまで辿り着けても
  かろうじて不思議が無い程度には。

  父の顔はよく見ていたので、知っていた。
  度々気紛れに顔を見に来ては、
  気紛れにわたしを可愛がっていたから。

  人形、ぬいぐるみ、絵本、玩具
  洋服に、アクセサリー
  いろいろなものを持ってきては
  なんとか機嫌を取ろうとしたけれど
  いつもどこか見当はずれで、けれど捨てられなくて
  殆どが新品同様のまましまい込まれたままだった。

  何もわかっていないころは度々贈り物をくれる相手を
  父親だと理解しないまま『あにさま』と呼んで
  それなりに懐いていたこともあったらしい。 ]

[ わたしが彼を父だと理解できる歳になっても
  わたしの境遇について父は一度も謝りはしなかった。
  恨む権利はあるとだけ何度も言われた。悪いのは自分だと。

 「それで楽になるのはあなただけでしょう?」

  その頃にはわたしはもうすっかり弄れていて
  そんな可愛げのない言葉で無気力に笑いかけるだけだった。
  声を上げて泣き叫ぶ気力はもう磨り減った後だったから。

  一度でいい、せめて言い訳を聞かせて欲しかった。
  嘘でもいいから手放したくなかったと言って欲しかった。
  たとえその場限りの子供だましでも
  いつか一緒に暮らそうと言ってくれるのを待っていた。

  それ以外のものなんて、何一つ欲しくはなかった。 ]

[ 家を出て、拾われて世話になった家には、
  暫く疎遠になっていた懐かしい気配がそこかしこにあった。

  赤子の横には絶妙に可愛いと言い難いぬいぐるみ
  違うとも言えないが女の子用か永遠に悩む玩具のチョイス
  なぜそれを選んだが思わず問い質したくなるような
  どうにも残念な柄の男物のおおきな服

  そんなもので気付くことは勿論なかったけれど
  すっかり打ち解けた女性が笑顔で出迎えた相手が
  父だったのを理解しても、驚くよりも納得した。

 「芒種様ががそろそろ一度顔を見せろとおっしゃっている。」

  久し振りに聞く声に気まずそうに「帰れそうか」と問われ
  世話になっている間一度も崩さなかった
  完璧なよそ行きの態度を忘れ思わず素で
 「本当クソだな」とぼやいたせいで暫くの猶予が設けられた。
  夫婦は陰で言い合ったようだ。
  知ったことではない。

  問われなかったので弁明しなかったが。
  べつに父に言ったわけではない。

  自分の帰る場所はあそこなんだと思い知って溢れただけだ。
  咄嗟に『帰りたくない』とは思ったが
  『もう帰らない』とは出てこなかったから。 ]

[ 自分の覚悟が所詮反抗期の家出レベルだったと思い知って
  諦めて元いた場所へ帰ると決めた。
  計画性が無さ過ぎたので。
  靴くらい履くべきだったし、
  荷物は持てるだけ持つべきだった。
  なにもかもきっと売れば高い。
  そのくらいまで考えるべきだった。
  生きていたくないだけで、どうせ死ぬ度胸もないのだし。

 「ここで一緒に暮らしたい」
  とは思えなかったので言わなかった。
  父はわたしと暮らしたくはないのだから。
  父の帰りを喜んだ母娘に気付いてしまって尚
  あの家から父を追い出し続ける訳にはいかない。 ]


  またあそびにきてもいいですか?


[ 迎えという名の見張りに引き渡されながらそう尋ねた。
  食い気味で何か即答した父を完全に無視して
  女性からの返事をじっと待った。
  望んだ笑顔と返事を、望んだくせに恐怖を以て受け取って
  怯えながらも出来る限りの丁寧な
  礼の言葉を返すくらいは出来たと思う。 ]

[ 家に帰ってまず待ち構えていた先代に呼ばれ
  碌に向けたこともない目一杯の微笑みを浮かべてやった。
  傍で控えていた側用人はその毒々しさに硬直したという。
  ……そう、媚びるのは昔から絶望的に向いていなかった。]


  ねぇ、芒種さま。
  どうせ赦すつもりで迎えをよこしたのでしょう?
  その寛大なお心遣いに感動で胸がはちきれそう。
  これからは心を入れ替えて今まで以上に真面目にやるわ。

  ……それでね。わたし、考えたの。
  ご褒美があると、今のやる気を違えることなく
  ずっと、ながく、持続できるんじゃないか、って。

  そんなに難しい話じゃないのよ。



  ねぇ……『おじいちゃま』
  ………玫瑰、お小遣いが欲しいな。


[ にじり寄って、膝の上を陣取って
  腕を絡めて、体を寄せて、擦り寄って、…
  目一杯甘ったるい声を出して潤んだ瞳で覗き込む。
  子供らしい甘え方なんかちっとも知らなかったので
  たしかこんな感じだったかしらと
  子供の頃から何度か見かけた彼の愛人の真似をした。

  結果として要望はあっさり通った。
  先代は卒倒して暫く寝込んだけれど。
  どこで育て方を間違えたかと随分と魘されたようだ。
  知ったことではない。 ]

[ かくして金に物を言わせた静かな攻防が始まった。
  何と何を争うかなんて決まっている。
  あのあと一歩なにかがずれた絶妙なセンスの数々と、だ。

  父の事は許す許さないのはなしではないが
  父のあれだけはどうしても許せなかった。
  父を選んだ彼女は彼女自身の選択なのだから何も言わない。
  けれどまだ何も自分で選べないあの赤子に
  独特の感覚を刷り込むのは
  どうしても、どうしても耐え難かったから。

  なんて。
  そんなのきっと、ただの口実のひとつだった。
  温かく出迎えてくれることはわかっていても
  あと一歩勇気が出なかったから。

  実際、その後何度も繰り返し
  もういちどあそびにいく、いい口実として使われた。 ]

[ 小さな赤子が言葉を覚えるのはあっという間で
  自分がどういう立ち位置になるべきかなりたいか
  決めるより先に『姉』の役割が与えられた。

 『目上の女性』も『ねぇね』なので
  否定も訂正もしないままでいたら気付いたときには
  すっかり彼女に『自分の姉』として認識されていた。

  きっと訂正する機会はいくらでもあったのに。
  どうなりたいかどうなるべきか
  答えがでないのを言い訳に先延ばしにした。

  はじめて、わたしと家族でいてくれる相手ができたようで
  家族でありたいと願ってくれる相手ができたようで
  どうしても、手放すことができなかった。 ]

[ 子供らしい甘え方の正しい解は随分と遅れて知った。
  小さな子供と接する機会がなかったから。
  自分が子供らしい遊びを知らなかったことも、知った。 ]


  ええと、……まってね?
  どうするのが正しいのか考えるから。

  ……、……とってもおいしそう!ね?
  茉莉ちゃんはお料理が上手ね。
  ママに似たのね……

  ええと、その……いただき、ます……?
  たべる?のよね?きっと、
……え、たべ…る……、……?



[ はじめて知る遊びにいつも戸惑ってしまって
  子供の遊びすら上手くできないわたしを
  それでも懲りずに何度も遊びに誘ってくれるのが
  また失敗するのが怖くて、けれど嬉しくて
  うれしくて。

  最初はへたくそだった絵本の読み聞かせも
  後継としての教育以上に熱心に取り組んだ。
  自分が贈った絵本を選んでくれた時に機嫌が良くなるの事に
  幼い彼女が気付いた上で絵本を選んでいると気付いたときは
  いろんな感情がごちゃまぜになって
  どれが正解か悩んで軽く知恵熱をだしたりもした。 ]

[ いつの間にかあの子がわたしの世界の中心になっていて
  あの子にはなんでも与えてやりたくなっていた。

  例えば、そう。
  わたしには与えられなかった『自由』だとか。 ]

[ 真面目にやったところでわたしの出来は頗る悪く
  何をやらせても不器用で、伸び代は早々に尽きて。

  それでも父の…祖母の血筋を諦めきれない先代は
 『もうひとりの娘』に目をつけた。
  まだ諦めきれないわたしに競い合わせようと目論んで
  わたしにも、わかるように。

  是が非でも退場していただこう。
  たとえ今のわたしに芒種が務まらなかったとしても
  知ったことではない。
  そう決めるのに時間はかからず、
  そう動き出すことに迷いはなかった。

  幸い、芒種を失落させたい味方はたくさんいた。
  みんな自分に都合のいい誰かや自分を次の芒種にしたくて
  その為には、今の芒種は邪魔なひとが沢山いたから…… *]

 ― ぼくのお話3 ―

[先代の雨水に連れられて、外に出た時
 外の光が眩しい事を久しぶりに思い出していた。]


 雨水さまって
変。

 こうけいしゃってやっぱり蛍っていうのからえらぶものじゃないの? きぼうしゃはいなかった?


[外に出て、あれこれ知識を付けていく内にいかに先代が変な事をしているかわかるようになっていた。
 先代はそれでも笑っていた。]


 「蛍ねぇ、まいるやつはそれでいいんだろうけど
  後継者争いになるとドロドロするって話もあるぞ〜?

  希望というか……ま、その辺はな。
  俺がいい、と思ったやつにするって言ってたし」


[頭をぐしゃぐしゃされた。意味がわからなかった。]

  



 ぼく、勉強もそうだけど、人付き合いも
 灯守りのこととか、色々……わかってないのに


[そう言うと、それでいいんだよって先代は笑った。
 そうしてぼくの灯りを見る。]


 「俺は、お前の
が気に入った。
           それが理由だ」


[白く、柔らかい光がその日もぼくの手元にあった。]**
 
 

 [ ──あなた白露が目を覚まし、名を尋ねられた時。
 何と名乗ったのでしょうか。
 もし名乗らなかったり、難色を示したり、
 分からない素振りを見せれば
 紫明様が仮の名を名付け、私もそう呼んだでしょう。

 あなたが来てくれて、私はとても嬉しかったのです。
 目を覚ましたあなたは、予想通りとても可愛い子で。
 その微笑みに、心を奪われてしまいそうになるくらいに。

 この時は、覚醒の喜びにお人形さんのつくった
 可愛い笑みの違和感に、気付かなかったですが
 
だって、あのぼろぼろの状態で発見されて
 目覚めて動揺も見せずに笑顔を振りまくなんて。


 共に笑い、学びながら過ごした日々。
 お仕事で忙しい紫明様や蛍の皆様よりも、
 私と触れる機会が多いのもあり、私によく懐いてくれました。

 可愛い声で「お姉ちゃん」と呼んでくれて
 一緒に街へとお出かけもしましたね。
 この服が似合いそう、とひらひらフリルつきの
 パステルピンクのワンピースを眺めたり。
 私の好物である、イチゴ尽くしのクレープをおすすめすれば
 嬉しそうに食べてくれたり。
 
 妹であり、友達であり、灯守りと蛍として。
 あなたとの日々は、いつでもいつまでも 
 消えることのない、思い出です。]
 

 
[
『“白露”の灯守りが居なくなった!』



 嘘のような事実話は、秋の領域から徐々に広がりました。
 灯守りというものは、突然消えることも少なくないらしい。
 まことしやかに聞く噂を思い出します。


  
──紫明様も、引退すると告げて去るまで
        ひと月もありませんでしたからね。

 

 この時私は、新たな白露の候補が居ない場合、
 新たな灯守り候補として、あの子を白露に推薦したのです。



 
 思えば、何故この時推薦したのでしょうか。
 振り返れば、見切り発車過ぎたと私自身も思います。
]
 

 
[ 既に蛍としての仕事も慣れてきた頃であり
 この子に新しい世界、季節を見て貰いたい願い。

 灯守りになれば、私と同じ立場になる。
 紫明様、私と二代で手塩にかけて育てた愛しい子、妹が
 一人前となる晴れ姿を見たい。

 この子なら出来る、やれる、と信じてるから。


 
……でも、後で思い出したのです。

   あなたの想いを、慮ることが出来ずにいたこと。
]
 

 
 
 
[ ──だって、肝心の本人の思いは? ]

 
 

 
 
[ 蛍を辞め、他の灯守りになる。
 「この地から出て、何も知らない地へ一人で行け」と
 云っているようなものですから。
 甘えん坊で、人懐っこくて、でも人見知りな子に。

 あの子は承知してくれましたが、
 本当は嫌だけど、拾われ育てられた子だから──と
 気遣い、引き受けたのかもしれません。

 勿論、厄介払いしたかったから、と邪見に思うことは
 ──そのような考えは、当然万に一つもありません


 「いつでも私を頼ってね」と門出を見送ったとき
 あなたはどのような表情をしていたのでしょう。

 いつもの、お人形さんのように可愛らしい笑顔でしょうか。
 別離を悲しむ様子は、見えたでしょうか。
 専ら私といえば、途中から言葉にもならない程に
 ずっと泣きじゃくっていたのですが。]

 

 
[ それ以降も、最低月に一度、何度か会ってはいるのですが
 さすがに毎日毎週とまでにはいきません。
 会う度に笑顔で抱き合い、灯守りとして成長を続ける姿を見て
 嬉しくあるのは当然です。



 
──────、




 誰もいない楓蔦黄の席。
 疲れた羽を癒すべく、いつ戻って来てもいいように、
 なんて理由でしばらく開けていたけれども。

 ……妹離れ出来ていないのは、私のようでした。

 蛍の席があっても無くても
 いつでもあなたは私の“妹”だから
 あなたのお部屋もそのまま置いてあるのだから。
 たまには帰って、元気な姿も見たいけれども。

 ────……。]

 

 
 [  立春様はとても可愛らしい方でした。
    先代様が引退なさるとお伺いしたときは
    やはり少し寂しくもあったのです。けれどね。

    ……そうそう、こんなことがありましたね。 ]



    お役目ご苦労様です、立春様。
    そんなに緊張なさらなくとも大丈夫ですよ。
    わたしは大寒と申します。
    どうぞ仲良くして下さるとうれしいわ。


  [  わたしは至って普通に
    ご挨拶をしたつもりでしたけれど
    沢山の言葉が迷子になっているご様子です。

    鍵の使い方はわかりますか?
    と、そんなお話しをしたはずが
    ……あら、お姉様のお話しだったかしら?

    彼女は必死だったかもしれませんが、
    わたしはとても楽しくきかせていただきました。

    今日は無事にお役目を果たせているかしら。
    自分はおサボり灯守りなのだけれど、
    緊張の顔が見えたなら、大丈夫よ。と。
    にこやかに微笑んだでしょう。  ]

 ― ぼくのお話4 ―

[ある年の冬。雨水の地域に記録的な大雪が降った。
 建物の入り口すらふさがったくらいだ。

 先代は外の外気と領域の気候を合せるタイプで、ぼくは寒い、寒いとお布団にまるまっていた。

 今日は大人しく勉強してるか、と流石に先代も引きこもっていた。そんな折、住人の一人が大変だとやって来た。

 雨水さまがどうした? と聞けば、その人は別居している家族の家が雪のせいで屋根が半壊したとかで騒ぎになっているとか。
 それは流石に灯守りの仕事じゃないんじゃ? と思ったし実際その手のプロの人がいっているみたい。

 ただ、雨水さまは些細な困りごとでも人を動かせる立場だから。出来るだけ相談しろって言っていたみたいだ。

 どうするのかな? と雨水さまを見たら、彼はなぜかぼくを見た。]


 「よし、お前の出番だ。花雨」


 

 
[ぼくは目を丸くした。]


 ぼく、レスキューなんて出来る力ないよ?

 「んな事は知ってる。そっちに期待するかよ。
  能力だ。お前なら雪を溶かせるだろう?」


[ぼくの表情が止まった。

 あの力を使ったから、怖がられたから
 それはぼくのトラウマだ。

 首をぶんぶん、と振った。いやいや、と。]


 「能力自体は確かに使い方ひとつだ。
  でもな、悪いが使ってもらう。
  俺は、手が届く範囲で俺の領域のやつを助ける
  見てみろ、こいつ困ってるだろう?」


[そう言って飛び込んできた人を見た。
 確かに困っている。雪で中に入れないまま時間が過ぎれば、それだけ中の人が凍死する可能性が高くなる

 そう思ったら、手が震えた。]

 

 

 ……たすけ、たいけど
 中の人、まで……とかさないって、わから……ない


[流石に来た人がぎょっとした。
 ぼくを、恐れた。


 ……それは仕方ない事。
 気分が凹みかけた時、肩を掴まれて目を見られた。]


 「そういう時は、出来るって信じろ。
  入り口の雪さえ溶かせばいい。
  お前の能力は、今使えば人を救えるんだ。

  俺が全責任もってやる。
  失敗したら俺のせいだって言っていい。

             だからやってみろ」


[……無茶苦茶だと思った。
 どうして、そんなに ぼくを、信じれるのだろう
 どうして……ぼくに出来ると思う事が出来るんだろう。

 ただ、人を救える。
 その一言が、ぼくを立たせてくれた。]

   

 
[結論から言えば、ぼくは能力をうまく使えた。
 以前の時は感情的になりすぎて暴発しただけだった。
 使おうと、意識すれば範囲や対象は選ぶことが出来た。

 ぼくは色々お礼を言われつくして、終わった後暫く立ち尽くして手をにぎにぎしていた。

 どうした? と雨水さまに聞かれてんー、となる。]


 ぼくって結構すごい?


[そう言ったら大物だなって大笑いされた。

 それから、先代はぼくに手袋をくれた。
 これがあれば大丈夫だ。っておまじないの言葉と共に。
 下手に使わないって心理的ストッパーにしたかったんだろうけれど
 ぼく個人としては、プレゼントだって嬉しくなっていた。

 それ以来、夏以外はその手袋をつけるようなったんだ。]**

 

――あの頃の話――

[さて、本当に不安はなかったのか、少し記憶を辿るとしよう。
 いやしかし、気づけば在位も長くなったものだ。この頃のことを覚えているのが一体何人ここに残っているだろう。
 もう冬至か、それと同じだけ在位しているようなやつくらいしか知らないんじゃなかろうか。
 誰も知らないならそれでいい。だから取り立てて語る気はなかったが、ちょうどいい時分だし、酒も入っていい気分だし、口は固くしたままでも、頭は柔らかく時を遡るのも悪くない。


 私がこの会合に初めて参加したときは、肩書につくのは蛍でもましてや灯守りでも何でもなかった。
 ただ『灯守りに目をかけられているだけの一般住民』がそこにいたのだ。]

[先代小満を知る人はもう小満域にも残されていないだろうが、大変に豪放磊落、しかして器も心も広いお方だった。
 私とは別の方向に自由な人だったが、職務には実直で中央の人間からの評価もよかったらしい。
 風のような人だったと思う。初夏に青葉の中を走り抜けていく涼風。簡単に捕まえることはできないが、吹けばその場が明るくなり、心地よく目を覚ましていくような。

 その人がある日突然目の前に現れて、俺の下につかないかと言ってきたのだ。
 空耳か人違いかと思って何度か目を瞬いたり周りを見たりしても状況は変わらず。
 『――嫌ですが』と言ったら、大声で笑われたことは覚えている。]

[そうだよなぁ、と言いながら、けど悪いな、そんなに拒否権がねーんだわ、とやや強引に領域に連れて行かれた。
 知らない名前の茶を出され、茶菓子を出され。その時の茶の味は思い出せないが、出してくれた紅花栄がまあ素晴らしく目を引く美女だったのはわかる。]

お前さん、能力持ちだな。


[小満は言った。私は否定も肯定もしなかったが、とうに返事はいらないようだった。
 だんまりの子供に話は続く。]

お前さんに保護や補助が今以上に必要かといえば悩みどころだが、なんとなく……そう、なんとなくだな。
俺の灯りがお前さんを選んだ、そんな気がしてんだ。

無茶苦茶を言うし一方的だと思うだろ?
俺もそう思うし、悪いと思ってる。

まあ、しばらくは外と行き来でいいから、俺のとこに来てくれないか。

[その時は知らない、というか気にも止めていなかったが、おそらく小満の灯りは、随分と弱っていたのだろうと思う。
 次代の天命を、どことなく勘づくくらいには。
 今思えば、記憶にある笑顔の中に、微かに苦さを感じた。
 
しかし、急なナンパ癖は先代譲りかもしれない。
感染ったとは考えたくない。]

[しかして蛍でもない灯守りの弟子、というものは、さしたる仕事がない。
 あの小満は本当に正しく仕事のできる灯守りだったので、蚕起桑食の支えもあって仕事はすらすらと片付いていったし、私は文字通りの意味での見学ばかり。
 紅花栄に屋敷のことを教わったり、茶や料理を教わったりしたほうがよくよく身についている。
 あとは麦秋至と領域の花畑で昼寝をしたり、笛を吹いて過ごしたり。そもそも直す気があったのか知らないが、浮雲のような私の性格が正されることはついぞなかった。

 そんな折、とにかくいるだけでもいいから見て行けと、私はこの会合の場に連れてこられた。
 蛍の席を勧められたが断った。そこは私が座していい場所ではないからと、無駄な頑固ぶりを発揮して円卓の少し後ろで突っ立っていたっけ。
 そうして本当に何もせずいたから――うん、やはり不安はなかったな。
 なにせ責任など何一つなかったんだから。]

 




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