「　」

秘密の暴露に、唖然としています。
すごい顔をしていますが、
何を思っているのかは分かりません。

「と」

「とりあえず、暖房上げるね」

せめて話題を逸らそうとでも思ったのでしょうか。
ですが慌てているためか、無意識か、
ポチポチポチポチとエアコンのボタンを連打しています。

「ごめん！
　寒いっていうから暑いくらいがいいかと思って、
　ええとそれじゃあとりあえず」

歯に衣着せぬ物言いに、
多少なりともショックを受けたご様子。
ですがこればっかりは自分が悪いことです。
素直に20度まで下げるでしょう。

「で、でもアイスの人とか
　雪に飛び込む、飛び込んだ？　人もいるし、
　ええと、別の部屋を30度にしとく？」

気遣いが明後日の方向に飛んでいます。

「うあう」

しょんぼりしていましたが、
やがて顔を上げます。

「あ、ありがとう。
　ええと、夜川さんと、戸森さん。
　それじゃあ、出入口の近くの部屋をにしておくから、
　アイスの人や、温まりたい人はここで」

しばらく施設内をうろついてから、
広間に戻ってきました。
さすがにアイスになっている人はまだ戻ってないし、
雪になりにいった人もまだのようです。
室内を見回して、窓から見えたかまくらを二度見しました。

「そういえば──
　部屋割りとかって、説明あったっけ」

誰に言うわけでもなく、呟きました。

「大部屋かぁ」

教えてもらったのかパンフレットを確認し直したのか、
何はともあれ理解した様子です。

「うう、夜は静かだといいなぁ」

「あ、そういえば、落とし物か。
　秘密の和菓子、ええと。
　、とか──」

「それは落とし主に相談してみないと。
　ここには警察もいないわけだし、
　──そもそも法に沿ってるのか怪しいし」

政府主導の秘密暴露ゲーム。
正直、怪しさ満点です。

「女の子部屋は──
　どうかな、静かだといいけど。
　」

毛布をかけられた瞬間、反射的に起きました。
いまどこから声が出たのでしょう。

「あわわ、ごめんなさい！
　ありがとうございます！
　おかまいなく！」

高速で毛布を綺麗に畳んでいます。

>>232 偉智



あまりにも自然なぽんぽんに
完全に面食らっているようです。

「た」





噛みまみたね。

なんということでしょう。
この距離感が普通なのでしょうか。
普段比較的大人しく、
同性の友人が多い少女はお椀を受け取って呆然としていました。

「あ、ありがとう」

いただきます、と共に一口。
もむもむ租借して、
二口目はふーふー冷ましています。
おいしい、とぽつり。

「ごちそうさま」

適度に色々口に運んで、椀とお箸を起きました。

「されてばっかりはむず痒いし、
　洗い物とお片付けは、あたしやろうかな」