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人狼物語 三日月国


149 【R18身内村】LOVE OR ALIVE

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蓮司瀬里との間に運命の絆を結んだ。

【人】 宮々 蓮司

行きの車内は静かだった。
俺はただ前だけを見つめていた。
どこにも辿り着かなければいいのにと思いながら。


それでも行かなければいけない。
今に留まるのではなく、未来を掴むために。

宮々の家は都内から少し離れた場所にあった。
その町は電車を使えば2時間程度で都心まで出られる位置にある。

囲いのある広い敷地で、武家屋敷を思わせるような平屋建て。

忌まわしい実家だ。
命が掛かってでもなければ戻ることはなかった。


車を停め、エンジンを切っても体が重い。
(4) JohnDoe 2022/05/26(Thu) 19:13:01

【人】 宮々 蓮司

 
 「 瀬里、覚えてるか? 」


あのときに聴こえた美しい歌声。
あのときに聴こえた指を鳴らす音。
二人の幸せを願う音色が二つ。



 「 俺は忘れない。
   あのときの音も、お前のことも。」


たとえ忘れてしまったとしても。
もう一度それを思い出すのだと、強く強く誓う。
(5) JohnDoe 2022/05/26(Thu) 19:13:22

【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里

 

助手席へと身を寄せて、瀬里にそっと口付けを。

どうかこの幸せを忘れぬように。


 
(-2) JohnDoe 2022/05/26(Thu) 19:14:23

【人】 宮々 蓮司

暫くしてから車を降りると、
手を繋ぎ、家の中へと向かう。

出迎えてくれたのは老人がひとり。
それが蓮司の祖父であり、ただひとり連子の味方であった。

蓮司の祖父は物腰柔らかに家の中へと二人を招き入れた。
二人が通されたのはさほど広くはない和室の客間だった。

中央には小さなテーブル。
しばらく待つように告げると祖父は部屋を後にする。

それからすぐに別の人物が部屋をおとずれたが、それは宮々のお手伝いさんで、二人にお茶を運んできただけだった。
*
(6) JohnDoe 2022/05/26(Thu) 19:15:05

【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司

 

 口づけの温かさも、幸せな気持ちも。
 貴方を想うすべてを。

 指で貴方の眼帯を撫でて、微笑んで。
 貴方がそうしてくれたように、
 私からも身を寄せて、もう一度だけ短くキスをする

 きっと、今の貴方との、最後の口づけ。

 
(-3) ししゃもん 2022/05/26(Thu) 19:46:49

【人】 宮々 蓮司

瀬里に聞かれて、自分がまるでそのことを気にしていなかったと気づいた。
治療がうまく行かないこともある、病気が治らないことも。
でも、そんなことよりも、瀬里を失うことの方がずっと怖かった。


 「 いいや、……いや、すごい怖いな。」


それでも、考えてしまえばそれはよりリアルに感じられる。
うまく行かなければ、それこそ命を失う可能性だってある。
終わりを迎えれざ、瀬里との未来が閉ざされてしまう。
それが何よりも怖かった。



 「 でも、大丈夫だ。
   爺様は宮々でも腕利きなんだ。」


だからこそ。
その見立ては正しいと思えてしまう。
祖父がそう言うのなら、きっとそうなってしまうのだろう。
(9) JohnDoe 2022/05/26(Thu) 21:09:23

【人】 宮々 蓮司

 
 「 瀬里、……もし…… 」


言葉が詰まった。
何を言えばいいのか、何を聞けばいいのか。

刹那の逡巡。


 「 上手くいったら、何がしたい? 」


何がしたい?
何処へ行きたい?

もしも、治療が成功して、
そして何もかもがただの杞憂で終わったとしたら。
そのとき、お前は何を望むのだろう。
俺は何を望むのだろう。

*
(10) JohnDoe 2022/05/26(Thu) 21:10:19

【人】 宮々 蓮司

それは二人とも望んでいながら、口に出すことのなかったもの。
瀬里には夢がある。
俺はそれを応援したいと思うと同時に、負けられないというくだらない意地があった。

だから、瀬里が卒業した後も二人は生活の拠点を別にした。

でも、離れれば離れているだけ、お互いがお互いをどれほど大切に思っているか、思い知らされた。
お互いの身に何かが起こるのではないかという不安、そして実際に起きた時にそばに居られない焦燥。
瀬里が黒い不安を抱いていたなんて、思いもよらなかったが。



 「 ああ、そうしよう。
   やっぱり、離れているのは嫌だな。」


意地も、都合も関係ない。
上手くいったら
きっと訪れない仮定を前に、ただ純粋な想いと望みだけが残っていた。
(13) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 14:02:36

【人】 宮々 蓮司

机を挟んで向かい合っていたせいで、瀬里に触れることが難しい。
それでも身を乗り出して手を伸ばそうとした時。


 
『 蓮司、準備をしなさい。』



ノックと共に届いた声。
祖父の言葉が、二人の時間を終わらせる。


 「 今、……いきます。」


身を乗り出したそのままに立ち上がる。
くらりとした小さな立ち眩みに目の前が揺れる。
改めて、今この身体が病魔に侵されていると自覚する。
(14) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 14:03:07

【人】 宮々 蓮司

 
 「 行ってくる。
   待っていてくれるか? 」


治療にかかる時間は半日から1日と聞いている。
待たせるのなら、この家に瀬里を泊めることになるが。


 「 必ず戻るから、待っていてほしい。」


ひとつしかない瞳で瀬里を見つめる。
怖い、こんなにも愛しい人を失うかもしれないと、そう思うだけで身体が震えるほどに怖い。

必死に内なる恐怖と戦い、体の震えを抑えながら、瀬里へ向けた顔の口元には微笑みを浮かべてみせた。
いつだって、男は好きな女には虚勢を張っていたいものだから。

*
(15) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 14:03:38

【人】 宮々 蓮司

瀬里が泣いていた。
わかってる。
あの微笑みが作り笑いじゃないことぐらい。
あれは瀬里の心からの微笑みだ。
でも、そう、泣き顔をかくした顔だった。



瀬里をひとり残して離れへと向かう。
沐浴を済ませ、鎮痛成分のある薬湯を飲んだ。
精神が追いついてきてゆっくりと眠気にもにた浮遊感に包まれる。

思い浮かぶのは瀬里のことばかり。
もしも、俺が変わってしまったら、瀬里は泣くだろうか。
瀬里まで変わってしまうことは思い及ばなかった。

(21) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 19:23:54

【人】 宮々 蓮司

 
 「 爺さま。
   瀬里を、連れてきた女の子なんだけど。」


準備をする祖父に向けて話しかける。


 「 もしも、
   俺が彼女のことがわからなくなっても、
   ……彼女に会わせて欲しい。」


恋心が失われて、もしかしたら記憶までなくなって、彼女のことがわからなくなっても、会えばきっと思い出せる。
思い出せるはずなんだ。
(22) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 19:24:17

【人】 宮々 蓮司

陽が落ちて、
月が昇り、木々が風に揺れる。

背中に祖父の気配を感じながら、
頭の中は瀬里のことだけで一杯にしていた。


初めて会った時のことも、
恋矢によって結ばれた時のことも、
それから一年の間はずっと瀬里との思い出ばかり。
笑顔も、真剣な顔も、それから……



 
「 泣き顔は、……まだ見たことなかったな。」



そう小さく呟いくと同時に、
意識が段々と小さく希薄になっていった。
(23) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 19:24:45

【人】 宮々 蓮司

夢を見た。

とても大切な人と手を繋いでどこかへと歩いている夢。
顔には陰が掛かっていてそれが誰かはわからない。
俺は、その子の名前を呼んでいるのに、それがどんな音なのかわからない。
聞こえない。
自分の声も、彼女の声も。


 
目を覚ました時。
朝の日差しが辺りを包んでいた。

まだ早朝だと言うのに随分と暑く感じられ、季節がもう夏へと移り変わったのだと知った。*
(24) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 19:27:10

【人】 宮々 蓮司

俺は宮々に戻っていた。
そう、体の不調を祖父に相談し、その治療のために。
それを思い出して最悪の気分だった。


とても幸せな夢を見ていた気がする。
どうしてもどんな夢だったか思い出せないが、とても幸せな夢。


だが、其れがただの夢であるとわかればあとは憂鬱だけが残った。
これから陽が高くなればまだまだ蒸し暑くなるだろう。
(31) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 22:27:57

【人】 宮々 蓮司

着替えを済ませて離れを後にした。
昨日は顔を合わせなかったが、いつまでもそうではいられないだろう。

父と母、そして弟と妹。
祖父を除けばそれが家族と呼べる者たちだ。
本音を言えば顔も見たくない。


気が重い。
足取りも。

ここへ来るときは、そんなことほとんど気にしなかったのに。
なぜだろう、わからない。
(32) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 22:28:16

【人】 宮々 蓮司

瀬里の部屋の扉を誰かが三度叩いた。


 『 雨宮瀬里さん、と言ったか。
   よく寝られたかな? 』


扉を開ければそこにいたのはひとりよ老人だった。
好々爺といった感じで笑みを浮かべた物腰柔らかな老人。
髪は白く、皺は深く、そして両の瞳は紅く。


 『 朝から突然すまんの。
   いきなりじゃが、

   あんた、
   ……ここに来た理由を覚えておるか? 』


ニコニコとした笑顔。
だが、その目は決して笑ってはいなかった。*
(33) JohnDoe 2022/05/27(Fri) 22:29:09

【人】 宮々 蓮司

老人はその答えに目を細めた。
崩れぬ笑みはその胸の内を明かさない。


 『 そうか。』


短くそう言うと老人の背中に純白の翼が現れる。
恋天使の翼。老人は女に自分が同類であると示したのだ。
小さな身体に似合わないかなり大きな翼。


 『 宮々はその蓮司≠フ家じゃよ。
   今のあんたには知らん男だろうがな。』


相変わらず口元には笑みを浮かべたまま、笑わぬ目を女に向けていた。
(37) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 9:41:59

【人】 宮々 蓮司

老人は少しばかり逡巡するようを見せた。
飄々とはしていたが何か迷いのようなもの。


 『 恋矢についは知っておるな?
  蓮司≠ヘあんたの恋人≠カゃった。

   ……手違いでな。

   それでわしがその手違いを元に戻したのじゃよ。』


老人は言う。
ちょっとした事故で二人は恋矢に結ばれてしまったと。
宮々にはそれをなかったことにする方法があって、二人の同意のもとにそれを行ったのだと。今はその影響で少し記憶に混乱が生じているだけなのだとも。
(38) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 9:43:10

【人】 宮々 蓮司

 
 『 朝食が済んだら駅まで送らせよう。』


老人の赤い目が笑う。
その背の大きな翼をはためかせながら。*
(39) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 9:43:29

【人】 宮々 蓮司

老人は目を伏せた。
先ほど広げられた翼は折り畳まれている。


 『 会ってどうする?
   既に恋矢は抜き取ったあとじゃ。
   二人ともそれはよくわかってるはずじゃろうに。』


口調が少しだけ棘を帯びた。
恋矢が結びつけた二人の恋。
それがなくなったのだから、二人はもはや恋人でも何でもない。
赤の他人になったのだと、老人はつげていた。
(43) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 10:47:24

【人】 宮々 蓮司

記憶の混乱。
なぜここにいるのかその理由すらわからず、突然恋人がいたのだと言われればその混乱は益々深まったことだろう。
それをどうにかしたいと思うのは、極自然のこととは言え。


 『 あまり混乱はさせたくないんじゃが。」


老人が渋っているのは明らかだった。


 『 まずは朝食を摂りなさい。
   その間に蓮司に会うかどうか聞いておく。』


老人はそういうと女の意向など気にもせずに部屋を後にする。
蓮司≠ェ会うと言うのならば会わせる。
そうでなければ──── *
(44) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 10:47:57

【人】 宮々 蓮司

彼女の答えは会いたい≠セった。
そして自分はそれを聞いてもまだ迷っていた。

雨宮瀬里。
名前を聞いても、恋人だったと聞いても顔も思い出せない。
2度目のお見合いで出会ったらしい彼女。
わからない。


何も覚えていない元恋人に会ってどうするのか。

それでも。
祖父が伝えてきた言葉が背を押した。
「彼女に会わせてほしい」
それが恋矢を抜く前の自分が頼んだことらしい。

(49) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 12:54:53

【人】 宮々 蓮司

朝の時間が過ぎて、昼よりも前の頃。
外の温度はたいぶ上がって汗ばむほどになってきていた。

瀬里が案内されたのは敷地内の広い庭。
そこには男がひとり佇んでいる。

風景には馴染まない洋装で。
短めに切り揃えられた髪。
男が瀬里の方を向くと、左右で色が違う瞳が彼女を捉えた。*
(50) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 12:55:25

【人】 宮々 蓮司

その子は現れた。
白いブラウスに赤紫のスカート。
モノトーンの自分とは違うその姿に、何故か少し違和感があって、だけどとても似合っているように思えた。



 「 雨宮瀬里 」


口にしたその響きにどこか懐かしさにも似た感じがある。
記憶にはなくとも初めてではないからか。


 「 瀬里……
   あ、瀬里≠ナいいか? 」


そう、一度呼び方を確かめた。
(54) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 14:40:15

【人】 宮々 蓮司

目のこと。
もしかしたら彼女は自分のことを覚えているのだろうか。
今はもうこの左眼に痛みも何もない。
右目と同じように見えるし、光を強く感じることもない。



 「 ああ、大丈夫だ。
   左右で色が違うだけだ。
   ……少し格好いいだろ? 」


そんなことを少し戯けてみせる。
(55) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 14:40:29

【人】 宮々 蓮司

 
 「 何か、……不思議だな。」


こうして面と向かっても湧き上がる感情はない。
恋矢がなくなったことに加え記憶が曖昧になっているせいか。


 「 はじめまして、ではないんだよな。」


確かに初めて会った、それとは違う。
でもその顔もその声も、記憶のどこにも見当たらない。
ましてや恋心なんてものはどこにも。


あの日、あのお見合い。
そもそもその記憶自体が曖昧でよく思い出せないでいた。*
(56) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 14:40:47

【人】 宮々 蓮司

覚えていないこと、貴方もですよねと問われて小さく頷いた。

雨宮瀬里のことを思い出そうとしても、例えば昨日のことを思い出そうとしても靄がかかったように、記憶の輪郭が定らず手を伸ばしても霧散してしまう。
そこにあるようで、ないような不思議な感じ。


視界に揺れた彼女の背中の翼。
薄紫のきれいな羽根。
視線がそれを掠める。

それを見た記憶もない。
ただ、なぜだろう、その羽根に手を伸ばしてしまいたくなるのは、昨日までの自分がそこに何かの感情を抱いていたからだろうか。
(61) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 17:10:23

【人】 宮々 蓮司

 
 「 手紙……? 」


差し出されたのは一通の手紙。
封はすでに開けられている。
読もうか読むまいか悩んでいると、彼女が少し距離を詰めてきた。

その言葉は意外なものだった。
祖父が彼女に言ったというそのことば。
手違い≠サんなこと自分には言っていなかったのに。


それは、自分が彼女へと書いたらしい手紙を読む動機として十分だった。
(62) JohnDoe 2022/05/28(Sat) 17:10:40