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人狼物語 三日月国


150 【R18G】偽曲『主よ、人の望みの喜びよ』【身内】

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視点:


【人】 日の中 フカワ


「ん………う、うん…………?」

ちょっと記憶が飛んだような。
青い歌が聞こえる方に行って、
そこから、そこから───どうしたんだっけ?

なんだか針に刺されたみたいに痛む所を、
やっとの思いで手を伸ばして、撫でさする。

『よかった』

頭上から降り注いだ、女性の声。
呆気に取られているうちに、
矢継ぎ早に降り掛かる説明と。
手元に差し出された、“使ってない方”の薬品。

本当は説明してから打ちたかったけど、
間に合わなかったら良くないから、なんて。

マジか、と息吐く間もなく彼女は去っていった。
(1) 2022/06/12(Sun) 21:55:11

【人】 日の中 フカワ



もう歌は聞こえない。
自分から漏れ出す声もきっとない。

「──マジかあ………………」

そんな急に終わるんだ。これ。
こんなに覚悟決まってるのに。
怪物達の仲間入りしてもよかったのに。

つくづく、終わらせてもらえないものだ。
(2) 2022/06/12(Sun) 22:04:21
フカワは、手渡された薬に視線を落とす。
(a0) 2022/06/12(Sun) 22:04:32

フカワは、資料室に行かなくてはならなかった。
(a1) 2022/06/12(Sun) 22:04:43

【秘】 日の中 フカワ → シャッタードグラス カナイ


間に合うかどうか、とかそういう問題では既にない。

間に合わなくなる前に自ら終わらせたのだから、
今からすることは単純な自己満足に過ぎないのだろう。

何かの慰めにはなるか、と思って。
薬を片手に貴方の身体の前まで辿り着く。

「……誰でもいい、ことは、いいんです。

 けれど、選択の余地なんてものを寄越されたら、
 結局、貴方のことしか思いつかなかったんだ」

今手に持つこれは決して幼い頃に見た蘇生薬とか、
そんなファンタジー的な代物ではない。
曲がりなりにも薬物に精通している人間が、
そんな夢想なんかするべきでもない。

ただそれでも、万能薬にはなり得る。
相手にではない。己の無様に足掻く心に対するパナセーア。

「……頼むよ、ホント」

祈るように。暫し瞳を閉じて。

手の震えが収まったので、
徐にそれを、脈の止まった血管に突き立てた。
(-0) 2022/06/13(Mon) 18:49:27

【秘】 シャッタードグラス カナイ → 日の中 フカワ


取り返しが付くか、取り返しが付かないか。

今になってそれを論じる事に大した意義など無いのだとしても、
ただ仮定としてそういったものを問うのであれば。
両者がこれまでに歩んで来た路の、
おおよそ大半は取り返しの付かない事に分類されるんだろう。

死んだ事実は無かった事にはならない。
死んだ事を受け入れた。

殺した事実は無かった事にはならない。
殺した事を受け入れた。

自らの行いは無かった事にはならない。
自らの行いを受け入れた。

犯した罪は、無かった事にはならない。
犯した罪を受け入れた。


取り返しの付かない事を認め、受け入れた。


一度生じた瑕疵罅割は決して無かった事にはならず、
それに対してできる事と言えば、痛みを和らげる事だけ。

この痛みを和らげる為に、また痛みを重ねる。
傍から見ればそんな愚かな行いだとしても。
(-2) 2022/06/14(Tue) 2:16:07

【秘】 シャッタードグラス カナイ → 日の中 フカワ


逃げて、逃げた事が瑕疵となって、また痛みを重ねる。
そんな生き方は、もうきっと断ち切られたのだろうから。
これまでの自分に、決別できたのだとしたら。

たとえどれほど痛みが伴おうとも、これからは。
向き合って、乗り越える事から逃げない。

だから今なら、これもきっと。
自らが恐れる何もかもに見ないふりをして、
無かった事にして逃げる為じゃない。
向き合って、乗り越える為の一歩だと思えるんです。
(-3) 2022/06/14(Tue) 2:17:10

【秘】 シャッタードグラス カナイ → 日の中 フカワ


けれど死者の歩みは止まったまま。
西日の路は覚束なくて、一人では日の下を歩けない。

人を殺しておいて、人に罪を背負わせて、その報いを受けもせず
のうのうと生きて行くなんて、できるわけがない。

──ひゅ、と かわいた空気の音がして


でも、それでも。

人を殺しておいて、人に罪を背負わせて、その責任を取りもせず
一人安穏と死んで居るわけにだって、いかないじゃないか。

指先が、ほんのわずか、痙攣じみて身動いだ。


けれど生者の歩みは止まらない。
その手を引いてくれる誰かが居るなら、きっとまた歩き出せる。
(-4) 2022/06/14(Tue) 2:17:38

【秘】 クラックドグラス カナイ → 日の中 フカワ


──死者が一切の瑕疵無く戻って来る事は無い。

現実は絵空事のように自分達に都合の良いものではない。
突き立てられる針が、自らに何を齎すものであったとしても。

死せる愚者は、 の ・・・を享受する。



朝日と共に、涼やかな風が吹き込むような。
冷たくて、けれど心地よくて、微睡みを拭い去るような清爽さ。

色なんてあるはずもないのに、
なぜか清浄な
青白さ
を感じ、そう認識するその感覚に
安らかで、けれど抗いがたい眠りから意識が引き戻されて。
胸の内に蟠っていたものが氷解していくような、感覚。


「────、」

重たい瞼が震えて、死の眠りから覚めた者の時間は動き出す。

死の間際の記憶が、フラッシュバックのように想起される。
神経を灼く激痛、寒気、遠退く意識、それから、──それから?

目の前に居るのは誰だ・・・・・・・・・・


定まらない視界、ぐらぐらと揺れる意識の中
目の前の誰かを混濁し混乱した思考のままに、
(-5) 2022/06/14(Tue) 2:19:07

【秘】 クラックドグラス カナイ → 日の中 フカワ

取り押さえようとして、けれど。
先まで死の淵にあった身体がそう言う事を聞くはずもなく。

「──ぁ れ、……?」

きっと伸ばした手はあなたの服を掴んだけれど、
逆に言えばそれだけがせいぜいだった。
力を入れ損ねた手足は身体を支えるバランスを崩して、
あなたに倒れ込むか、あなたと一緒に倒れ込むかの何れかだ。

「………ああ…」

視界が漸く像を結んで、
小さく掠れた声が零れた。

『私も……もう一仕事してから、そちらに行きますから。』

「…随分…はやかった、ですね……深和さん」

或いは、ずっと傍に居たのかもしれないけれど。
眠っている間の事まで把握しろなんて無理難題は言わないだろう。

ひどい悪夢を見て、飛び起きた後のようだ。
ずっとあなたから、あなた達からしていた嫌な気配がしない。
もう何も感じない。あの懐かしくも恐ろしい感覚も、何も。
けれど、けれど全てが些末な悪夢だったと思えはせず、
そして何より、そのようにしたくもなかった。

叶 西路にとって今自分が認識しているこの全ては現実で、
神も地獄も煉獄も天国も存在せず、比喩として在る概念だ。
つまりはきっと、今この現実こそが自らの歩むべき地獄なのだと。
(-6) 2022/06/14(Tue) 2:21:26

【秘】 ラストリゾート フカワ → クラックドグラス カナイ


「───」

力の赴くままに押し倒される。

また映画か劇かを見ているようで、
それを現実のものと認識するには、暫し咀嚼が必要で。

最後の手段ラストリゾートに頼っておいて、なんとも情けない。

「ああ……思ったよりあっけなかった、な」

ここでの戦いも、ひとりで決めた決意も、
誰かの望みの、己の祈りも、その全てが、
実にあっけなく終わって、叶って、それだけ。

所詮自分は筋書きを変えられるほど強くなくて、
だから、ご都合主義とか、誰かの献身とか、
そんなものに頼らなくちゃならなかった。

日向と西への路を、遠くまで延ばした悪夢は、
冷たくて、苦しくて、怖くて、寂しい。

  ───だから この現実地獄で、貴方といたかったんだ。
(-7) 2022/06/14(Tue) 6:46:14
フカワは、ますますいたくなる。貴方のせいだ。
(a7) 2022/06/14(Tue) 6:48:18

【秘】 ラストワード フカワ → クラックドグラス カナイ


「後悔していることが、沢山あるんです」

「やらなくちゃいけないことが、まだ沢山あるんです」

もう心の音が勝手に代弁してくれるわけじゃない。
あらゆる考えを、自ら言葉にしなくてはならない。

ああなんて恐ろしくて、わくわくすることなのか。

「何からやればいいかわからなかったけれど、
 やはり、真っ先に貴方を起こして正解だった。

 ひとりじゃないから、怖くないと思える」

「叶さんが守ってくれたから、
 あの後……誰も欠けることが無かったんですよ。

 貴方のせいです。
 貴方のせいで、隠し事なんて出来なくなっちゃいました」

「だから───ありがとう。

 既に取り返しがつかなかったのだとしても、
 これ以上失わずに済んで、本当によかった」
(-8) 2022/06/14(Tue) 7:01:20

【秘】 クラックドグラス カナイ → ラストワード フカワ


倒れ込んだ先、その肩にとんと額をつけて。
ぐるりと目眩く視界に耐え切れずまた暫し瞼を閉じた。
死の間際の痛みも、寒気も、まだ名残のように身体に蟠っている。

「…………」

深く息を吐いて、その間も確かに鼓膜が音を拾う。
あの時と違って、けれどあの時と同じに。
その声が、その体温が、どうしようもなく安堵を齎すのは。

それで、いいんだろうか。

「……どうして、…」

なんて、それこそ愚問なんだろうけど。

「どうして、おれなんですか……
 …どうして、ありがとうなんて言うんですか。
 おかしいですよ……ほとんどは、おれのせいなのに」

あなた達を守ったのは、結果としてそうなったに過ぎなくて。
誰かを傷付け、不安を広げる者が居なくなったなら
その後誰も傷付く事が無いのは当たり前の事。

ここであった悲劇の大半はきっと、自分のせいなのに。
それじゃあまるで、ただそれだけじゃないみたいじゃないか。

自らの愚かな行いの、その責任を負う為に。
その為だけに起こされた、だけじゃない、みたいじゃないか。
(-9) 2022/06/14(Tue) 18:00:28

【秘】 クラックドグラス カナイ → ラストワード フカワ


赦されたみたいだとは、思わない。
罪が帳消しになったとも、思わない。
幾度も過った後悔や罪悪感、後ろめたさ。
それらが無くなったとも、思わない。

ただ、それだけじゃないように感じた、それだけ。

「………ねえ、深和さん。
 おれは……このまま生きていたら、きっと。
 いつか、また人を殺します」

一度踏み越えてしまった一線は、得てして抑止力を失うもの。

これが強さなのだとしたら、それは実に間違ったものだった。
恐れるものを、自分に不都合な筋書きを遠ざけようとして
ただ闇雲に猜疑と爪を振るい、牙を剥いていただけだった。
それが死の間際、漸く悔悟に至っただけの。

「そうならないように……そうしなくていいように。
 どうしたらいいか、今度は一緒に考えてください、ね」

自分達は同罪で、一人ではない、
互いに頼る事のできる仲間。そんな関係が、今も続いているなら。

もう一度、ゆっくりと息をして、緩慢に身を起こす。
調子も気分も良いとは言えないけれど、幾分ましになった。
であればこれ以上寝ているわけにもいかなくて。
(-10) 2022/06/14(Tue) 18:05:10

【秘】 晴の再路 カナイ → ラストワード フカワ

──この意思はそれらの疵を戒めとして残す事を選んだ。

あなたに疵だらけの右手を差し出して、引き起こす。
こんな疵と血に塗れた両手でも、もう嫌とは言わせない。

「あなたが生かしてしまったんですから」

あなたが再び同じ日の中へと手を引いたのだから。

「それもこれも、おれのせいだから」

あなたに同じ罪を背負わせてしまったのだから。

「責任を持って……責任を取らせて、くださいね」

きっと、まだ。
終わっていない事も、叶っていない事も沢山あって。

だからきっと、この路の先は、長く遠く。
(-11) 2022/06/14(Tue) 18:06:40

【秘】 日がな向き合う フカワ → 晴の再路 カナイ


「貴方がそうならないように。
 今度は決して取りこぼさないように、
 オレももっと、しっかりしていきます。

 お互いに大事なことを突然頼んだり、
 あるいは一人で抱え込んだりしなければ、
 きっと───もう繰り返さないはずです」

勿論全てが上手くいくわけじゃないだろう。
やはり当たり前のように悲劇的な事は起こるだろうし、
また、追い詰められてしまうことだって、きっと。

それでも、過ちを認めて、逃げずに立ち向かい、
頼るべきものに頼るなら、同じ結果には絶対にならない。

掴んだ手をあの時のように両の手で握って、
確かにそこにある人肌の熱が、こんなにも嬉しくて。

「オレだって……結構、頭がおかしいんだと思います。
 ええ、貴方の言う通り。間違いはなくって。
 だから、だからこそ必要なんですよ、叶さんが」

思わず、皮肉気に言う。何を言っても、
我々は端から一人では生きていけない、強くない人間で、
力を合わせればそれなりに頑張れる、弱くもない人間。

分かってしまえば、やはりそれだけの簡単なことだ。
(-12) 2022/06/15(Wed) 12:48:10

【秘】 晴の再路 カナイ → 日がな向き合う フカワ

「おかしな人ばっかり」

そういう約束、ではあったけれど。
この罪ばかりを重ねた手を必要として、
こんなどうしようもない人殺しに『ありがとう』なんて言う。

罪人として西へ行き着く絞首台へ上る事よりも、
その罪咎を背負って、なおも日の下で生きて行く事を望む。
気付けば周りはそんな人間ばかりのようだった。

「…真っ当じゃないのは、同じなんです。
 だからまたあなたを間違った事に巻き込むかもしれないし、
 暗闇の中で咄嗟に進んだ方向が合ってるとも限らなくて……」

結局のところ、叶 西路は歪な人間だ。
けれど正常な道徳観は持ち合わせていて、
モラルに反した行いを咎める良心や理性もある。

やりたくない事を、それでもやらなければならないと
そう思い詰める事さえ無ければ普通の人間で居られた。
そんな、何処にでも居るような、運の無い人間だ。

「だから……おれにできる事は、過ちを認めて、向き合って
 もう繰り返さないように。それを忘れない事と、…」

「これからも、あなたと一緒に。
 二人で同じものを背負って、分かち合う事だけです」

結果として、やる事は初めから何も変わらない、簡単なこと。
一人で抱えるには重すぎるものを、二人で抱えるだけ。
(-13) 2022/06/15(Wed) 21:08:19

【秘】 晴の再路 カナイ → 日がな向き合う フカワ


「でも、」

一度、するりと手を離して。
片手を床について、もう片手は壁に添えて立ち上がる。
まだ少しふらつくけれど、どうにか一人で立てそうだ。

「…おれがそうしたいから、
 だから一人で責任を果たしたい事が、まだあるんです。」

自分にとって、この場所は。
逃げてしまったり、途中で投げ出してしまった事ばかりで。
だから、それらを拾い集めて来る事くらいは、自分の手で。

「それでも、あなたに話してない事もまだあって、だから……
 全て終えたら、ちゃんと戻って来ますから」

「それだけは、一人でさせてくださいね」

その路に、何があったとしても。
もう言った事を、言われた事を、反故にはしない。

だから──この先は、自分だけで。
(-14) 2022/06/15(Wed) 21:11:03