人狼物語 三日月国


125 【身内】実波シークレットパラダイス【R18】

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視点:


【墓】 調律 水銀 莉桜

淡い決意は終わりを告げる。


「        え?」


取り繕うことも忘れた空白。
貼りだされたものに対して、
思考が理解を拒んだ。

「やっ、」


瞬間。

「やだ、やだやだやだやだやだ!!!
 どうして!? どうして、だって、
 だって守っ、守ってもらえるって、
 あ、これ、違う? ちが、あ、ああぁ、ああ!!
 やだダメ見ないで見ないで見ないで見ないで
 お願いお願いだから見な、見っ──ッあ」


半狂乱のように叫び散らして、
息継ぎすることさえも忘れて、

壁のメモを剝がそうと躍起になる。

だが、それは叶わない。
少女は何かに足を引っかけたのか、
派手に転倒し、そして──

(+0) Rindo17 2022/02/02(Wed) 21:04:53

【墓】 調律 水銀 莉桜

腕を大きく擦りむいた。
その傷からは一滴の血も出ない。



▼水銀 莉桜の秘密

水銀 莉桜は、人間を模した生体アンドロイドだ。

 心を宿すほどに高度な発展を遂げたAIを搭載し、
 パーツの定期的な換装で以て、人に溶け込み、
 人と共に歩み生きる。
 それが可能かどうかをテストするための試験体だ。

 人間を模すためのあらゆる機能が実装されている。
 センサーの反応による触覚。成分分析による味覚。
 計測し数値化された温度感覚。
 
だからこそ水銀莉桜に『適温』はわからない。

 
人の主観が含まれるものは理解できない。


 加えて、
水銀莉桜に呼吸機能は搭載されていない。

 
よって会話の際には、自然な……『息継ぎ』がなく、

 
不自然な──『間』が生まれる。


 以上』
(+2) Rindo17 2022/02/02(Wed) 21:12:27

【墓】 調律 水銀 莉桜

「あ──、
 ──  ──、あたし、
 ──じぶんで、言うって、  決め、たの  に、」

手を伸ばされても、
へたりこんで動けない。
途切れ途切れに再生される声。
より人間らしく見せようとする努力さえ、
もはや砕けて散った。
(+3) Rindo17 2022/02/02(Wed) 21:24:09

【墓】 調律 水銀 莉桜

──それは、いつかのお話。
思い出の最初。テスト駆動の1回目。

人間と一緒に遊ぶのが、楽しくて。
信じてくれる気がする友達ができて。

ついうっかり、自分から告げた秘密。

差し向けられた拒絶。
奇異と忌避と怖れの視線。
友情を紡いだ口から零れたひと言。

それは、水銀莉桜という機体の、
芽生えかけていた心を引き裂くには十分で。

『施設』による情報統制が行われて
ほとぼりが冷めた後には、
そのパーソナリティ・データは、
大きく変化していました。

誰にも自分のことを知られるわけにはいかない。
堅固な心の外殻は、そうして築き上げられて。
今、それが儚く崩れ去って。
いつかのような日常の終わりを、
少女の精神性を宿した駆体は酷く恐れて──

──いたの、ですが。


(+58) Rindo17 2022/02/03(Thu) 21:01:53

【墓】 調律 水銀 莉桜

>>+4
>>11

「──ぅ、あ、──  う、  」

恐る恐る顔を上げます。

「──ぇ、が、  ガイノイド?
 あ、えと、そう、だけど──」

あれ?

「──、──  ──」

「──なんか、」


「──なんか、もしかして──
 あたし、──
気に、しすぎ?


目を、ぱちくり。
(+59) Rindo17 2022/02/03(Thu) 21:04:04

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

時は移ろって。
昨夜。

「──あ、えと、──偉智さん?」

バルコニーから星を見上げていた。
息を切らした様子のあなたに、驚いた調子で。

/*
大変お待たせしました。
昨夜の時間軸でお返ししていますが、
時系列のすり合わせが難しい場合、
莉桜の秘密開示後として扱って頂いて構いません。
水銀PL
(-161) Rindo17 2022/02/03(Thu) 21:15:00

【墓】 調律 水銀 莉桜

>>+60

ぱち、ぱち。
あなたに撫でられながら、
ぽかんとした様子で。

「──そ、う、なのかな。
 そう、かも。
 ──神秘が出てきてるんだから、
 科学が出てきたって、驚かない、の、かな」

「──」

「──あたし、
 あたしのままで、いいの?」

恐る、恐る。
もう、状況と予測から演算結果は出ています。
ですが、言葉にして確認しないといられない様子は、
きっと、怯えがちな少女そのものでしょう。
(+62) Rindo17 2022/02/03(Thu) 21:33:38

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

「おっ──おいかけて、きたの!?
 あわわ、ごめんなさい!
 なんだか、無理させちゃって──」

自分を追ってきたらしいと分かると、
狼狽えて心配しはじめました。
外の空気は刺すように冷たいですが、
少女はあまり寒さを感じていないように見えます。

「あ──ごめんなさい。
 盗み聞きするつもりは、なかったんだけど。
 とってもすてきな演奏、
 邪魔しちゃいけないと、おもって──」
(-164) Rindo17 2022/02/03(Thu) 21:35:22

【墓】 調律 水銀 莉桜

>>@10
「──久瀬さん」

「あ、──ありがとう。
 深呼吸は、あたし、要らないんだけど──
 ──教師に向いてるって言われたの、すごく嬉しかったし、
 今だってそう。
 将来なんて、考えなかったから」

深呼吸が要らないとはいえ、
思考回路を整理する時間は必要です。
とはいえ、その語調や様子は、
先ほどよりは幾分落ち着いたようでした。
(+68) Rindo17 2022/02/03(Thu) 22:11:38

【墓】 調律 水銀 莉桜

>>+64
「そ、それ保存してたのっ!?」

なんと気付いていなかったようです。

「も、もう、
 ──でも、うん。
 なんか──もしかして、そうなのかも。
 
 ──あたしね。
 ここにきて、秘密を明かすゲームなんて、
 最初、絶対やだ、って思ったけど、

 ──けっこう、たのしかった、から」

灯る、ちいさな微笑み。
(+69) Rindo17 2022/02/03(Thu) 22:14:30

【墓】 調律 水銀 莉桜

「──戸森さん」
「咲花ちゃん」
「凛乃さん──」

大きく息を吐く、──ようなしぐさ。
ゆるゆると、立ち上がりました。

>>37
「──夢──?」


「あ、うん、えと。
 運動は、ぜんぜんだいじょうぶ。
 
防寒と耐衝撃はバッチリだし、

 
防水防塵規格はIP68だから──


デジカメとかでよく聞く言葉が出ました。

ちなみにIP68は、完全防塵で水中使用可です。
(+70) Rindo17 2022/02/03(Thu) 22:21:45

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

「──あぅ」

おとなしく撫でられる。
きっとまた手袋越しでしょう。
ここに来てから何度かされていること。
正直、嫌いではありませんでした。

「え、──耳コピ、って、
 ──楽譜、見てないってこと?
 す、すごい。それで、あんなにたくさん──」

「──え、──あ。
 聴いて、たんだ。
 えと、たぶんだけど、あたしだと思う。
 ピアノ弾いてるの、あたしと、
 偉智さんしか、見たこと、ないから──」

「──あんまり、人前では、弾かないんだけど」
(-182) Rindo17 2022/02/03(Thu) 22:25:49

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

「い、いもうとって、そんな──」

あわあわ。
もう彼女が慌てているのは見慣れた光景かもしれません。
が。

「つ、ツイン!?」

その反応は、今までで一番だったかもしれません。

「ぁ、う、でも──
 あたしなんかの鳴らす音で、
 偉智さんの、じゃまをするわけには──」

俯きがちに、ぽつりぽつり。
どんな理由があるのかは今は知れませんが、
彼女は自分の演奏に自信がないというより、
『人より劣っている』と思い込んでいるきらいがあるようです。
(-202) Rindo17 2022/02/03(Thu) 23:06:27

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

「ぅ、──」

遠慮がちに、あなたを見やります。
硝子玉のような、翡翠の瞳。
揺らぐことも曇ることもない、
その瞳の奥に、確かに宿って見えるもの。

「──、
 ん、──あたしで、よければ。
 奏でて、みたい。
 弾いてみたい、──偉智さんと、ツイン」

そうして踏み出した、ちいさな一歩。

「──といっても、今日はもう遅いし、
 明日、とか──もし、よければ──」
(-228) Rindo17 2022/02/04(Fri) 0:28:16

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

「──うん」

ようやく見せた、あたたかな微笑み。
遠慮がちとはいえ、
そこには隠し切れない期待とわくわくが見えました。

「あ、あたしの好きな曲、かぁ。
 どう、しよ、かな。考えとく。
 ──じ、じゃあ、あたし、もう戻るねっ。
 ありがと、偉智さん。
 ──また明日!」

そうして、ぺこりと頭を下げて、
ぴゃっと女子部屋に戻るでしょう。

──そうして迎えた翌日には、
少女の秘密が露呈したわけですが、
そこから先はご存知の通り。
少女は、それを乗り越えられそうです。

となれば、あとはツインを迎えるだけ。
(-276) Rindo17 2022/02/04(Fri) 8:24:44

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 嘘 氷室 凛乃

「──凛乃さん。おふろ、一緒に入ろ?」

互いの秘密が明かされて、
ほんの少し巻き起こった騒動が落ち着いたあと。
きっとここで過ごす最後の夜、
少女はあなたに声を掛けます。

もはや定番となったその流れ。
ですが、主題がそこにないことは、
きっとあなたも分かっているでしょう。

少女は、きっちりと約束を果たそうとしているのです。
(-277) Rindo17 2022/02/04(Fri) 8:27:00

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 1年 早乙女 咲花

「──咲花ちゃん」

返す微笑みは、
きっと今までで、一番柔らかいもの。

「うん。──なんていうか、拍子抜けしちゃった。
 まぁ、確かに、
 神さまや妖狐さん、なんかが出てきたあとだと、
 受け入れやすかったり、するのかもだけど」
(-278) Rindo17 2022/02/04(Fri) 8:28:14

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 1年 早乙女 咲花

「──うん。
 とはいえ、ちょっと、慣れるのに時間は掛かると思う。
 それに、公にしちゃいけないってことは、
 変わってないし──」

「──でも、
 きっと、これまでより、
 もっと楽しく、頑張れると思う。
 ほんとうにありがとう、咲花ちゃん。

 これからも、よろしくね」
(-318) Rindo17 2022/02/04(Fri) 18:16:16

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 1年 早乙女 咲花

「いろいろと──ね?」

イイハナシダッタノニナー。
(-319) Rindo17 2022/02/04(Fri) 18:16:50

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 嘘 氷室 凛乃

「──うん。ありがと」

いつものように。
さっと着替えて、さっと身体を洗って。
きれいな夜空と湯気に煙る月を眺めながら、
ゆっくりと温泉に浸かる。

ほんの数日だけど、
かけがえのない時間だった。
心から──心から、と表現できるほどに──
落ち着く、ひとときだった。

「──ねぇ、凛乃さん」

ぼんやりと夜を見上げたまま、
ぽつりと名前を呼んだ。
(-320) Rindo17 2022/02/04(Fri) 18:20:01

【墓】 調律 水銀 莉桜

「──」

「──公にしちゃいけないことは、変わらない。
 変わらないけど──」

「──あたし、
 ここに来られて、よかったな。
 自分が自分のままで居てもいいって
 いってくれる人がこんなに居るなんて、
 思わなかった」


「あたしも撮りたいな、写真。
 いっしょに、撮りたい。
 あたしの目がカメラだったらな〜」

なんだか、急速に開き直ってきたようです。
(+88) Rindo17 2022/02/04(Fri) 18:27:42

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要


しばらくして。

「──偉智さん」

やがて、少女はやってきた。
しっかりと自分自身に向き合って、
踏み出したちいさな一歩を、うそにしなかった。

「ごめん、お待たせしちゃって──。
 なに演奏しようかな、って、
 あれもこれもやりたいな、って、
 考えてたら、遅くなっちゃった」
(-321) Rindo17 2022/02/04(Fri) 18:29:14
水銀 莉桜は、耐久性を褒められたので、防弾とか防刃とか防爆も搭載しようか悩んでいる。
(c40) Rindo17 2022/02/04(Fri) 18:39:09

水銀 莉桜は、早乙女 咲花を見て、薄笑みを浮かべた。
(c41) Rindo17 2022/02/04(Fri) 18:56:30

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

「──ううん。だいじょうぶ。
 ひとつに決めた。
 そのかわり、いろいろ詰まってるやつ」

促されれば、
遠慮がちにあなたの隣に腰掛ける。

「──偉智さん。
 あたしね。ピアノ、ひとに聴かせるの嫌だったんだ。

 だって、あたしは機械だから。
 機械が音を奏でたって、
 そんなのは電子音楽の再生と変わらない。

 ──そう、思ってたんだ」
(-329) Rindo17 2022/02/04(Fri) 19:02:02

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 1年 早乙女 咲花

「博士に頼んで、
 静音シャッター付きの録画機能を
 搭載してもらわないとなぁ──♡」

だめそう。


──とはいえ。
少し前までの少女からは考えられなかったこと。
いろんな困難にぶつかるとしても、きっと大丈夫。
すてきな友達……友達?
友達が、いるのだから──。
(-330) Rindo17 2022/02/04(Fri) 19:04:17

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

「──わからない。

 今までの常識が、
 そんなすぐに変わることはないから。
 けれど──」

「──偉智さんは昨日、自分を欠けてるって言った。
 それがどうしてなのか、あたしにはわからないけど。

 欠けてる同士なら、きっと。
 少しでも、ほしいものに近づける。
 奏でたい音に、近づける。
 そんな気がする」

「だから、偉智さん。
 あたしと、ツインを弾いてください」

答えは出ている。
けれど改めて、少女はあなたを見やり、微笑んだ。
(-347) Rindo17 2022/02/04(Fri) 20:10:53

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 嘘 氷室 凛乃

「──」

「あたし、凛乃さんの瞳、好きだな」

ぽつりと、いつかの鏡移し。

「  あのね、凛乃さん。
 あたし。
 人間じゃあ、ないんだ」

あなたをまっすぐ見据える翡翠の瞳。
揺らがず曇らず、いつもそこにある。

「凛乃さんが褒めてくれた、この目も。
 ぜんぶ、つくりものなんだ。
 あたしは、アンドロイドだから」

「──黙ってて、ごめんなさい」

視線を逸らすことなく、告げる。
けれどその語調から、
悲壮感はあまり感じ取れないだろう。

まだ告げたい言葉には、続きがあるからだ。
けれど今は、あなたの返事を待つ。
(-348) Rindo17 2022/02/04(Fri) 20:13:18

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 嘘 氷室 凛乃

「うん、──それで、ね」

あなたが、その事実を受け入れてくれることは、
すでに分かっている事柄だ。
だからこれは、そんな単純な
確認のための儀式ではない。

「──あたしは、みんなとは、
 凛乃さんとは、違うけれど。
 ここで過ごして、
 あなたと一緒にゆっくりして、
 とっても、──とっても、楽しかった。
 ほんとうだよ。うそじゃない。

 ──あのね。
 また、こんな風にできたらいいな、って思う。
 できるなら、ずっと。
 そうしたいと思う。
 あたしの試験稼働がいつまであるのか、
 どこまでパーツの換装を行って、
 大人への成長をテストするのか分からない。
 足並みがずれることもあるかもしれない。
 でも、その、いつかが、訪れるまで、凛乃さん」

「あたしと、ともだちで、いてくれますか?」
(-361) Rindo17 2022/02/04(Fri) 20:47:05

【秘】 調律 水銀 莉桜 → 3年 偉智 要

「──うん。
 お互い、まだまだなんだね。
 じゃあ、きっときっと、探していこう。
 欠けてたって、瞬いてる、

 きれいな、星を」

そっと、鍵盤に指を添える。

「──ちょっと長いし、ちょっと難しいよ。
 あたしはばっちりメモリーに記憶してるから、
 ついてきてね、偉智さん!


 ──『きらきら星変奏曲』!!  」


そうして、音が跳ねる。
(-362) Rindo17 2022/02/04(Fri) 20:49:29
水銀 莉桜は、奏でる。欠けたもの同士で目指す星。『きらきら星変奏曲』のツインを。初めて誰かと一緒に。
(c43) Rindo17 2022/02/04(Fri) 20:51:13