人狼物語 三日月国

148 霧の夜、惑え酒場のタランテラ


【人】 砂の民 スティグ

 
その瓶の酒さ、僕の友人に飲ませてやりたいんだ。
友人もゴーストでね。
元々足が悪かったから徴兵免除で村に残って、戦争で村が焼かれた時に一緒に焼かれたみたいで、今も廃村の崩れた壁に寄りかかってる。
顔は焼けただれて何言ってるんだかよくわからないし、やっと聞き取ったと思ったら酒が飲みたい以外には喋らないし。

一緒に飲んだ酒も、有名な産地で買ってきた酒も駄目なんだ。
近くに置いても、身体にかけてやっても何にも反応しない。
でもさ、ゴーストの作った酒なら、何か違うかもしれないだろう?


美味しいまま持って帰れるように瓶には祈りをかけてる。
だから普通に酒を入れるだけでいいんだけど…
君もこの瓶に入れた酒を飲む男が、美味しく飲んでくれるよう、祈ってやってくれないか?

それで十分だよ。


[そのくらいしかお願いできることもないだろう。
そして最後ににかっと笑った。]
(234) wallander 2022/05/24(Tue) 20:39:11