［　金が余っている独身男の夜は、時折虚しい。

　　それ故に華やかな場所に足が向く。
　　夜の街、そう言われる場所にこの男も
　　自分の居場所を探し求めていろんな店へ
　　足繁く、通っているようだった。　　　　］

　　若くて育ちのいい娘が目の保養だな。

［　風俗というわけではなく、あくまでおしゃべりメイン。

　　そんな場所でお金を落とす。
　　それくらいしか今のところは楽しみがない。

　　お気に入りのあの子が来るだろうかと
　　ハイボールを片手にガールズバーの一席を
　　陣取ってカウンターを眺めていた。
　　喫煙者ではあるけれど、
　　酒が不味くなるので店の中では吸わずに。　　］*

　　新しい服、大くん気にいってくれるかなぁ……。


［　週末の自宅でお風呂あがりに着てみた新しい服を
　　鏡の前に立っていろんな方向から確認する。

　　膝丈の黒いワンピース。
　　デートの時に着ていきたいと思って
　　先週末買ってきていたのだけれど、
　　仕事が終わらなくてゆっくりできたのが今日だった。　］

　　黒のワンピースって、なかなか着ないけど…
　　悪くは、ないんじゃないかなぁ。
　　ちょっと背伸びしすぎたかな………


［　くるりと鏡の前で一回転して、
　　スカートの広がりを確認してみたり
　　首と胸元が見えすぎてないか確認してみたり。
　　デートの約束をしているわけではないけれど
　　そろそろ普通のデートもしてみたい。

　　そう思って、彼に連絡をとってみる。


　　『デートに、行きたいな』

　　
　　ギリギリ色々見えないよう、鏡越しに
　　ワンピースを着た自分の写真も一緒に送って。　］*