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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

【路地の店】

ごつっ、ごつっ。
荷物を満載した、ブーツの重い音が路地を通る。
思えば、グラスハープの音がない時に
ここに来たことはあっただろうか?

だからと言って、魔女の歩みが止まる事はない。
なにせ、あの店じゃあきっと猫が鳴いている。
少なくとも1匹。下手をすれば2匹。
……もしかしたら、3匹。
それを思うと、足を止める気にはなれなかった。

欠けた頬と耳から未だ流れる血は、適当な布切れを
ダクトテープで貼った応急処置のおかげで
鳴りを潜めている。猫も店も、汚す事はそうないだろう。

そして、店を覗き込む。ドアベルの前に、中を覗く。
店主は、まだそこにいるだろうか。
それとも、烏が既に片付けた後だろうか。
(7) 2022/08/25(Thu) 11:18:55

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>8 リカルド
「あ?……うわ、すげえ。
 あんだけあたいが言ったのに出歩いてるド級のバカがいる」

ぐりんと振り向くその顔に、呆れと呆れと呆れを貼り付け、
そんな言葉。常なら雷だっただろうが、
まあ、なにせ今は普段そうやらない"暗殺"帰り。
暗というには派手な鐘の音ではあったものの、
つまりは魔女のやり方があの子とは違うというだけの話。
とにかく、両手は塞がり、背中に荷物。
ついでに疲労と頬の欠けもくっつけて、
釘打ち機を取り出すような気力は今はなかった。

「交友ね……ま、そうかもね。
 ビビってる腰抜け共の態度に比べれば、
 あたいのは十二分に交友だと思うよ」

ほんの僅かの間、閉じた瞼に浮かぶのは
いつも変わらないあの顔と、それが少しだけ動いた時の顔。

「……。……で?まだしないわけ?」

あたいの方のことはさておき、と目を開いてそう切り出す。
何を、とでも返せばもう一太刀。

「ケツ拭いてもらった相手の顔に向かって
 思いっきりクソを塗りたくるような現状への言い訳。
 そろそろ来るかと思ってんだけど」

魔女は、多少疲労した所で、辛辣さが抜けるわけもなかった。
(9) 2022/08/25(Thu) 18:37:39

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>10 リカルド

「言い返してたらあんた今頃女になってるよ。
 ついさっきも女を一人造ってきた所だから、すぐやれるね」

ふん、と鼻を鳴らす。命の保証のない性転換の話、
分かるものはこの場に魔女しかいないだろうけど。

「ま、そんなとこ。住処を吹き飛ばしたんでね、
 ああ、あとあたいここに引っ越すから。この店貰うよ」

上への確認もなしに、勝手な事を言いながら。
髪に触れた瞬間、ぐんと首を逸らして避けて、
「次勝手に触れたら指なくなっても文句言うんじゃないよ」
なんて恐ろしい事を口走る。

「まだヤクが抜けきってないのがよくわかるね。お断りさ。
 これくらいある方が、かえってハクがつくよ。それに――」

数日前、烏に言った言葉を呼び起こし。

「『忘れねばこそ、思い出さず候』、ってね。
 これはあたいのものだ、あんたなんかにあげない」

魔女は魔女らしく、凶暴に笑う。
きっと、大きな疵痕になる。
だが、魔女はそれを捨てる気はないらしい。
(1/2)
(11) 2022/08/25(Thu) 19:59:55

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>11
そして言い訳に関しては、

「お、よかった。頼りになる幹部殿が2人とも……
 じゃああたいとしても困るからね。
 腑抜けの下につくつもりもないし」
「ま、気が向いたら見舞いにくらいいくよ。
 ……あんたはさっさと用事を済ませて
 マウロ共々ベッドに戻るんだね、
 じゃなきゃあの時のあんたのツラと状態について
 ソルジャーの間でもちきりの噂にしてやるから」

と、やはり恐ろしい事を口にした。何が恐ろしいか。
それは、この魔女なら本当にやりかねない、という事。
あなたは身体を大事にしなくてはならない。自分の為にも。
そして、ファミリーの為にもだ。
(2/2)
(12) 2022/08/25(Thu) 20:03:51

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>13 >>14 リカルド
「そりゃね。玉と棒に1本ずつ、合計3本釘打ったからね」

女性にはその痛み、想像し辛いという。
恐らく9割方の男性は、或いはあのツィオや、
下手をすればコルヴォでさえ、
この話を聞けば顔を引きつらせるかもしれない。

「荷物はそんなとこ。ああ、トスキの屑だったよ。
 立場は知らないけど、末端のカスにあの子が
 やられるとは思わないからそこそこの立場じゃない?」
「ま、ダクトテープと布切れよりはガーゼの方がいい。
 その内行っとくよ。今は優先事項があるんでね。
 精々内密にして貰えるように振舞いな」

「んじゃ、あたいは店ん中に用があるから。
 この辺一帯も改造しなきゃな。ソルジャーも配置して……」

結局。魔女は、魔女のまま。
なんだかんだと先を見て、自分のことを優先して。
好きなように、生きていく。

チリン、と鳴るドアベルが、或いは猫の鈴のようだった。
(20) 2022/08/26(Fri) 0:58:42

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

【アンティークショップ】

そして、ストレガは店内に足を踏み入れた。
首を左右に、何かを探す様にして。
(21) 2022/08/26(Fri) 1:02:46

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>22 レヴィア
「よう、Piccolina.おちびちゃん

女は、それらをすべて見て。
見た上で、軽く手をあげてそう言った。
軽い挨拶を、いつものように。

それから眠る姿の隣に行って、散らばる木くずや、
ガラス片なんかを軽く足で払って。
重い荷物を下ろすと、女の隣にあぐらをかいて座り込んだ。

「はあ。おかえりが言えなくて残念だよ」
「……なあ、寝ながらでいいから聞いてくれよ」
「ちゃあんと、あんたの仇は討っといた」
「それもとびっきりの方法でね」
「それに、吹っ飛ばした分だけよく聞こえたろ?」
「弔いの鐘って奴。いい音だったと思うんだ」
「まあ、あんたのグラスハープには負けるけどさ」

返事もない、他愛のない話。
傷だらけの店をぼんやりと眺めながら、
笑い交じりにぽつぽつと落としていく。


魔女は、猫が好きだった。
可愛い顔して、人を寄せ付けず、かと思えば寄ってきて。
自由そうで、不自由で、その癖時々凶暴な、ワガママな奴。
まるでどっかの誰かみたいだ。
そんなやつが、魔女は好きだった。
(1/2)
(23) 2022/08/26(Fri) 18:50:55

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>23
女は、眠り姫へと手を伸ばす。その髪を軽く撫でてやる。

「……。ああ、そうだ。時計塔、吹っ飛ばしちゃったからさ。
 あたいここに住む事にしたから。いいだろ?
 これなら毎日、借りに来ることが出来るじゃんか」

勝手な事を口にして、髪を撫でていた手を離し、
抱かれた猫の片方、くたくたになった黒猫の頬を突く。
くにゃりと曲がった顔は、首を傾げるようだった。

「でもさあ、あんたは……あんたはさ、
 いつまでもここにいる訳にもいかないだろ?
 それにハエなんかたかってるの見たら、
 あたいがまた住処を吹っ飛ばしちまいそうだし。
 ……だからさあ、提案なんだけど」

そう言って、抱かれた猫の内、幾らかしゃんとした
白い猫を腕の中から抜け出させてやる。

「あたいがこの子、借りていくよ。
 で、あんたにはその子、貸したままにしとく。
 それでさあ……いつかまた会う時が来たら、
 お互いの猫を返すってのは、どうよ?」

名案だろ?なんて微笑んで、返事もないのに様子を窺った。
(24) 2022/08/26(Fri) 19:01:00

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>25 >>26 レヴィア

窺えど、返事もなければ、身じろぎもしない。
当たり前だ、それは死体で、終わった話。
ため息ひとつも零れるだろう。

それでも、強く抱かれたようにみえる黒猫と、
"大事にされていた"白猫を見れば、口元には笑みが浮かぶ。

「……ありがと。次会ったら裁縫くらい教えてやるよ」

ぽつりと呟いて、またその髪を撫でた。
それからふと、白猫の背中に拙い縫い目を見つければ。

「……。ちゃんと後で縫い直してやるから、
 ちょっとだけ……ごめんね」

片手をカバンに、工具箱から小さなニッパーを取り出して。
努力の証を開くのも、なんだかなあと零しながら
糸を切って中を確かめてみた。
(27) 2022/08/26(Fri) 19:59:35

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>28 >>29 >>30 レヴィア

きっと、いつもの通りに返されれば、
いつものように返すのだ。『かっわいっくねえー』なんて。
そして、いつもの言葉を脳内で呼び起こしながらも、
隠されていた心を読めば読むだけ、言いたい言葉が一杯だ。

『遺書を用意するなんて、用意がいいのね、だっけ?』とか。
『なんで生きてないんだよ本当に、あー無駄になった』とか。
『馬鹿なのはどっちなんだよ、まったく』とか。
『あたいにリボンとか、趣味が悪いよあんたは』とか。

だけど、そのいずれも出やしない。
代わりに、雨が降り出した。それは、どしゃぶりの雨で。
濡れるのが嫌いなあなたを濡らさないように、
無理矢理に手で掬うから、その手に赤い雨が滲むのだ。
強い風は唸り声と紛う事もあるというから、
今吹き付ける甲高い嵐もきっと何かと紛う事もあるだろう。

ああ、それにしてもまったく、魔女というものは
誰にとっても、本人にしたって、御しがたいもので。
きっとそれは、猫のように、気まぐれで、自由で。
お願いしたって、碌に聞いてくれやしないのだ。
傷だって、ずっと持っていこうと思っているし。
雨だって、当てないようにしたって少し零れているし。
どうしようもないほどに、ままならない。

あなたの言葉を借りるなら、きっとこの魔女ストレガは馬鹿だった。
(31) 2022/08/26(Fri) 21:26:54

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>28 >>29 >>30 レヴィア

やがて、その雨風が弱まって。
時計の音が雨音をかき消すくらいになった頃に。
やっと、落ち着いたストレガは口を開く。

「……悪い、ちょっ、とだけ、濡らしたね」

がらがら声が、無理矢理に元気を作っている。
白猫Levia手紙こころを返して、優しく抱いて。

「まあ、……許してよ。次会う時、怒ってくれていいからさ」
「それで、祝福だっけ?あたいそういうの、
 全然知らないんだよなあ……するように思える?
 思えないだろ?そもそもさあ……はあ〜〜〜〜……」

ぐちぐち、続けそうになった口を適当に切り上げて、
代わりに溜息を吐いて。肩を竦めた後、
目元を親指でぴっ、と拭う。

「あんたは、ノッテ・ファミリー家族
 だけど、それ以上にあたいの……ハ、唯一の。友達だよ。
 言っとくけど!家族になるより友達になる方が
 何百倍も難しいんだからね。ことあたいにとっては!」

なんだか、ちょっと怒ったような口調でそう言って。
黒いリボンを、おもむろに白猫からひとつ、解いて見せた。

「……友達の頼みじゃ、一等断れない。
 まったく、ちゃんと見つけないと承知しないからね」
(32) 2022/08/26(Fri) 21:43:39

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>27 >>28 >>29 唯一人の貴女

そうして、ぼさついて広がった髪を後ろでひとまとめ。
根元をきゅっと、黒いリボンで結わえて。

Ti voglio bene, Levia.
次に会うのを楽しみに待ってなよ、レヴィア


呟くと、物言わぬあなたの、額に唇を落とした。
少しだけ長く、別れを惜しむように。
やがて離れて、最後にもう一度だけ髪を、そして頬を撫でて。

「……やれやれ、最後に一仕事だけしなきゃ」

鞄を探ると、取り出したのは針と糸。
黒い猫には白い糸を。抱かせたままに、縫い付ける。
友達が縫った所と同じ場所に、『Strega』と。

白い猫には、黒い糸を。背中を敢えて、
はじめと同じように少し緩めに縫い合わせ。
友達の名前は、そのままに。これが、一番いい形だから。

「出来た。……なあ、次に会うのは随分先になるからさ。
 そん時はレヴィアの顔、驚きと喜びで
 ふにゃふにゃにさせてやるからな?
 ……おやすみ、唯一人の貴女」

そう告げて、……一旦。この場を去るだろう。
一枚、烏達に向けて。「ぬいぐるみと一緒に、頼む」と添えて。
(33) 2022/08/26(Fri) 22:00:43

【秘】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ → 誰も殺さなくていい レヴィア

Ti voglio beneだいすきだよ、なんて
 多分今後言わないよなあ……。
 全く、本当に"唯一人の貴女"じゃないか。
 ……ま、大事に取っときな。あたいのそれは貴重だからね」

……なんて言うのは、心の中だけ。
誰かに唇を落とすような事も、初めてだったわけだから。
やれやれ、なんて笑っていた。
(-46) 2022/08/26(Fri) 22:07:29