03:28:40

人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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【秘】 坑道の金糸雀 ビアンカ → 金毛の仔猫 ヴェルデ

「ふ」

きれい。
誰からも言われなれて、
なんなら自分かわ言わせることもあるその言葉。

けれどそれが、あなたから出たこと。
そうして感じた暖かさは、それまで感じたことがないもので────


違う。



――それは、失ってから、十年近く。
その灯火は、久しぶりに物置から引っ張り出したガスストーブのように、がたごととノイズをたてながらビアンカ・ロッカの胸の内を暖めた。


「――なぁまいき」


ありがとうなんて言葉には、やめてよ、と手を振って。

(-17) 2022/08/25(Thu) 20:07:09

【秘】 坑道の金糸雀 ビアンカ → 金毛の仔猫 ヴェルデ





結局、ビアンカ・ロッカはいい育て親でもなかったし、母親なんかにはなれなかった。
ゴミ捨て場で見つけた少年を、何かの代わりのように育てて自分の胸にぽっかりと空いた、
どんなかたちかもわからない穴を埋めようとしただけだった。


それでも、彼女は人間だった。

ビアンカ・ロッカは、あなたのことを愛していたし。
失いたくなんて、なかった。

ただそれだけの、ことだった。


(-18) 2022/08/25(Thu) 20:07:27

【秘】 Ninna nanna ビアンカ → 金毛の仔猫 ヴェルデ




あなたの手をとって歩く道すがら。
ビアンカは、めったに歌うことのない歌を口ずさんでいた。

「――Ninna nanna,mio figliuolo!ねんね、ねんね、私の坊や

「――Ninna nanna,occhi ridenti…ねんね、ねんね、かわいい瞳…

Ninna Nannニンナ・ナンナ
古臭い、子守歌だ。

「――Canta,canta,rusignolo…歌え、歌え、ナイチンゲール

「――…che il mio bimbo s'addormenti!私の坊やが眠れるように!

ニンナ・ナンナ、おお、夜鳴鶯ナイチンゲール
みんなでここへ来て、坊やに歌を聞かせてね。
ニンナ・ナンナ、おお、墓場鳥ナイチンゲール
そうしたら坊やは眠るでしょう──……



そんな古い歌を、彼女はなぜか覚えていた。
きっといつか、誰かに歌うために覚えた歌を、

あなたにだけ、歌うのだ。

幸せそうにはにかむ笑顔で。
嬉しそうな、ステップで。
(-19) 2022/08/25(Thu) 20:10:37

【秘】 Ninna nanna ビアンカ → プレイスユアベット ヴィオレッタ

「ふ、ふふ」

そのすまし顔に、なんだかおかしくなったように微笑う。
今度はあなたの匙が進む様子を、楽し気に眺めるよう眸を細めた。


「――はいはい。 まったく、ちょこちょこ溜めた金も多分パアだし。
 財産とかいってのこせりゃいいんだけどね、身の安全にも何かと物入りだし……」

金を使ってまでするようなこと──"旅券"の手配やら、なにやら。
彼女が今まで、その体と女を切り売りして得た金は、それこそ彼女の血肉そのものだった。
普段の彼女はそりゃあもう、1ユーロたりとも無駄にしないと鼻息荒く節制に励んでいたものだ。
――……外見を保つようなことに関しては、必要経費だと惜しまず散財する傾向もあったが。

だけど、消えた。
それらも、全て、埠頭から投げ入れた小銭のように燦々と散って、沈んでいって、
彼女の人生も血肉も全て残らない。
あるのはただ、あなたの中。こうして過ごした記憶だけ。

↓[1/2]
(-21) 2022/08/25(Thu) 20:27:34

【秘】 Ninna nanna ビアンカ → プレイスユアベット ヴィオレッタ




「お願いね。
 
……ヴィー。

 ……ふふ

 ……ふふふ、あはは、…は、は、は
はっ!!


名前と視線が、酒精の熱に溶けていく。
あなたの目をじい、っと見つめ返して──
ビアンカはいきなり、甲高く鳴り響くクラッカーみたいに笑いだした。

涙まで浮かべて、グラスに僅かに残ったワインを揺らして。


「やっぱ今日デートってことにしない?」

少し身を乗り出して、にんまり、笑った。

[2/2]
(-22) 2022/08/25(Thu) 20:29:41

【秘】 Ninna nanna ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ




「――うそばー…っか」






最後に君が見たのは、そういってにんまりと、笑う。
まぶしくて、さびしげで、

どこか誇らしげな、ひとりの娼婦の笑顔だった。
(-23) 2022/08/25(Thu) 20:33:30

【秘】 Ninna nanna ビアンカ → プレイスユアベット ヴィオレッタ

「――私がさ。
 金以外、何が残せる?」

子供みたいな笑顔の裏に、子供ではいられない現実がある。

「お金だけは、……お金だけは、……あげられるかもしれないじゃない。
 せめて、そのくらいは──……」

ゆるやかな肯定とともに、グラスがくるくると回った。
その表面に映った自分の顔を、ぼんやりと眺めている。
――素直だ。
きっと、酔いのせいもある。

どのみち、こんなことを彼女が言ったのはこれが最後。


「お金があれば、とりあえずは人生大分だし」


「…多分ね」

どこか自信なさげに、そんなことを言う。
その儚げな笑みを見るのも、その時が最後。


↓[1/2]
(-53) 2022/08/27(Sat) 0:39:30

【秘】 Ninna nanna ビアンカ → プレイスユアベット ヴィオレッタ



「そ。ざぁんねん」

上ずった呼吸混じりの笑い声。
そこに失意の色はなく、あなたの笑みと鏡映し。
――こうして酔い、浮かれるようななんでもない日々こそが、
 女たちにとって何よりも現実的で、何よりも大切な夢だから。

「それじゃ、飲み会としてつづけまっしょー。
 ねえねえ、メインディッシュメインディッシュ!」

おなかへったー、と騒ぎながら、グラスの縁をネイルがこんこんと叩いた。
お行儀がわるい。


[2/2]
(-54) 2022/08/27(Sat) 0:39:40

【秘】 Ninna nanna ビアンカ → プレイスユアベット ヴィオレッタ

「そうかな」

自分でも、そうとは信じられなくて。

「……だと、いいけど」

――けれど、そう信じたくて。

「…飛べるなら、さっさと飛んでほしいものだけど。
 いつまでも籠の中にいたら、飛び方を覚えたって飛べなくなる。
 
 ………ここはここで悪くないなんて、ほんとは思っちゃいけないんだよね」

友の穏やかな笑みに、ゆっくりと沈みこむように。
胸いっぱいの後悔と、一匙の郷愁を。

ただ一言、嫌いだと言い切るには──……女は、籠の中に長くい過ぎたから。

↓[1/2]
(-95) 2022/08/28(Sun) 7:21:05

【秘】 Ninna nanna ビアンカ → プレイスユアベット ヴィオレッタ



「えっへへ、はあい」

グラスがその手をつい、と離れて。
ふらふらと頼りなく揺らしていた手は、
新しく注がれた神の血を待ちわびたようにくるくる回す。

「時間ね。それはもう、たっぷりと時間をかけてもらいましょうか。
 いつもみたいに閉店時間を気にしないでいいんだから、
 色々と話すことも聞きたいこともあるわけでさ──……」

ウインクには、ウインクを。
こちらの愚痴には、あなたの愚痴も聞きたいな、なんて嘯きながら、ワインを一口。
立場も生まれも違うけれど、今この時だけは、同じようにありたかった。

いつもどおり、いつも通り。

そのいつも通りこそが、
人生を賭して手に入れた最後の宝。


――どのような時間が流れたとしても。

その日、彼女は最後まで、笑顔のままだ。


[2/2]
(-96) 2022/08/28(Sun) 7:21:27

【独】 Ninna nanna ビアンカ

―――――
AM03:22
―――――



「――………ヴェル、 デ?」



自らの瞼の隙間に浮かぶ、涙の重さで目が覚めた。
ノイズまみれのように暈ける視界、肘や腰に残る鈍い痛み。
低く呻きながら体をよじろうとして、両手が頭の上で何かに引っかかったように動かないことにようやく、気付く。
――気が付いてしまえば、あとは一瞬だ。
ノイズが補正されるように、周囲の様子が視界へと入ってくる。

「………は。
 最悪」

恐らくは、ワンボックスカーの車内。窓は完全に目張りされていて外の様子は分からない。
自分は両手をダクトテープで拘束されている。
周囲には5人──いや、運転席含め6人の男性。
白人。武装はそれぞれが銃、あるいはナイフ。
顔は隠していない。

「………」

その状況を確認した時、
ああ、私は死ぬんだな、
と思った。
顔を隠す必要がないのだ、こいつらは。
(-136) 2022/08/29(Mon) 18:46:14

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-136

「起きたな」


男のうちひとりが、声をかけてくる。
それすらもおっくうに感じながら顔をあげつつも、
ばらばらになった記憶のピースをめくらのままにはめ込んでいく。
伝手をいくつかたどり、次の情報屋のところで向かおうと外出。
その途中、海岸公園の近くでタイヤが路面を擦る音。
咄嗟に振り向くと、無灯火の車が突っ込んできて、

衝撃、

……
そこまで。
多分、私は車ではね飛ばされて、朦朧としている間に拉致されたのだ。
そう現状を仮に理解しながら、なるべく声にベッドの中のような平静さを装って答える。

「はい、起きました。あの、服、自分で脱ぎましょうか…?」

お気に入りのフリルワンピースは、路面に擦れて裾の一部が破れている。
そんなこと気にしている場合では、もちろんない。
両足を僅かに組み替えて、スカートを自分で捲る。
太腿を見せつけるように、なるべく淫猥に、けれど下品で滑稽になりすぎないよう腰を上げて。
(-137) 2022/08/29(Mon) 18:47:03

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-136 >>-137

「……ッ」
「いた、…ちょ、…」

左右に控えていた男たちが何にも答えず、肩を掴み押し倒してきた。
金属の音。
ざぐざぐと。
ワンピースが乱暴に切り裂かれ、ガキに与えたクリスマスの梱包みたいにはぎとられていく。

「ゃ、脱ぎます、自分でやりま、すから…っいっ」

肌のあちこちをナイフの刃先が霞めて、喉がきゅうとしまって声が漏れる。
――そんなことで怯えている場合ではないのに。


「抵抗なんてしません、しませんから」
「殴らないでください」
「立場はわかってます」
「口でも、解いてもらえば手でも」
「もちろん下も、ただ、準備してからのほうがもっと…具合がいいと思うので……」

震える唇をあえて噛み殺さず、ただ声だけはしっかりと届くように懇願する。
レイプされるなら、まだいい。
この場で即座に殺される可能性だってあるし、
なんなら殺してからの方が使いやすいと思っている可能性もある。

抗争下で、ファミリーはいつもよりあちこちに目を光らせている。
時間を稼げば、もしかしたら助かるかもしれない。
  ないだろうけどさ。

意地を張って反感を買う必要なんて何もない。
(-138) 2022/08/29(Mon) 18:48:02

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-136 >>-137 >>-138

どんなふうにされたって、死ぬよりはずっといい。
くわえたナニを噛み千切るなんて、そうそうできるはずもない。
ただ、私は生きる。
生き延びることだけが、今できる抗いだ。


男たちの態度を見る限り、やっぱり私をばらして捨てるのが目的だったのだろう。
ただ、痛めつけたり、辱めたりすることも求められていたようだ。
一発適当に犯して、あとは殺しておしまい。――そんな判断をされては困る。

私は美人だ。少なくとも顔の作りはいいほうだし、外出するときはメイクを怠らないし、
魅力的に、蠱惑的に自分を見せる仕草くらいは心得ている。

「なあ」
「早めにな」


それでも、リーダー格らしい男に何人かの視線が向いて。
そいつが銃を下ろしたのを見て、安堵の溜息をつかずにはいられなかった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(-139) 2022/08/29(Mon) 18:49:07

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-136 >>-137 >>-138 >>-139

「んぶ、……っ、ぁぅ、…はぁ、……っ」


5人目の男が、覆いかぶさるようにして乱暴に腰を振っている。
顔が近かったので自分から唇を押し付けて、舌を絡めた。
そうしたら更に乱暴になる。体の中が押しつぶされそうになって思わず声が漏れて、けれど喘ぐようにその息を整える。

「ぁ、はぁぁ、…ああー………」

ときたま声を跳ねさせて、腕をばたばたと振って車体を叩いた。
男たちを警戒させない程度に、何度も何度も嬌声と物音を立てる。
多少は疑われているかもしれない、が。大体の男は、腰を振るたび上がる声にプライドを煽り立てられる。

「ふあ、…あ、あー……っ、……」

…こいつは他のやつより大きくて、かさがごりごりと中をこする。
粘膜のかさなりを何度も何度も引きずられて、奥底までを埋められて。
戦いで流した血のように溢れた蜜が、それすらも奪い去るようかきだされていく。
乳房を掴む手は不潔で、痛みだけがときたまはしって、
それでもそれら全てが性感にみえるよう演技する。

いつものことだ。
いつものこと。

お前たちが命を懸け札に食い扶持を稼いできたのなら。
私は、女と体を切り売りして生きてきた。
(-140) 2022/08/29(Mon) 18:49:54

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-140

周囲には四人目までが、腰を下ろして、持ち込んだ酒瓶を開けている。
散らばった私のワンピースの端切れで精液と体液を拭う姿を見て、タオルくらい持ってきやがれと心の中で悪態をつく。
どろどろと汚れていくお気に入りの服は、それでもまだ赤く染まっていない。
私は生きている。
私は生きてやる。

強く熱く犯されるたび、下腹部に力を込めてきちり、と男を締め上げる。
高揚も喜びも、幸福も何もない。
ただ、頭の芯がひんやりと冷えていて、脳の表面はアドレナリンで燃えていて。

「ゃあ、……あぁぁ、…っ」

一分でも長く、一秒でも長く。
――そうしていれば、男のうめき声とともに、また中で吐き出される。
ずるりと引き出される感覚のあと、どっと疲労が全身を襲う。
それでも次。次、を待ち望むように顔をあげようとしたら、

「いっ、…」

ずきりとこめかみが痛む。思わず声と涙が漏れた。
髪を掴まれ、座ったままのリーダー格の男のところに引きずられる。
そいつはこちらに視線すら向けずに、端末でどこかに通話を始めた。
(-141) 2022/08/29(Mon) 18:50:29

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-141

「そっちはどうだ。……ああ、おう」


世界共通語ではなく、イタリア語。
僅かに北部の方の訛り、がある気がする。
男は電話先の――多分男――に横柄な口調で指示をしながら、
どこかどうでもよさそうにズボンをずらして、汚らしいナニを眼前に押し付けてきた。
大してやりたくもねえけど、他のやつらの手前やっておくか、みたいな態度。

「………」

それでもにこりと、あからさまに媚びる。
男の腿のうえに投げ出されるような恰好で、顔を寄せて、男性器を舐め上げる。
ちらちらと顔をうかがいながら、含んで、咥えて、犬のように奉仕して。

「ああ、ひとりでいい。連れ出してさらえ」


――電話口から微かに聞こえる声に、目を見開いた。

微かに聞こえてきたのは、ジュリアの声。眠たげな口調だけど、ちゃんと私の教育通りにお客様を通そうとしてる。
こいつの電話口の先、多分手下がいるのは、

「Pollo Nero」。

私の店だ。
(-142) 2022/08/29(Mon) 18:51:46

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-142

―――――
AM06:29
―――――



男はたんたんと、私の店の娼婦をひとりさらう命令を下していた。
そんな男のものを、私はまるで恋人のそれであるかのように口で慰めている。

「……もうすぐもうひとりくる。
 そうしたら、逃がしてやるよ」


リーダー格の男が電話をきるなり、私を見下ろして口をゆがめた。
もうひとり来たら、そのまま殺されるのだろう。
目許だけにあいまいな笑顔を浮かべて返しながら、ぐちゅ、と唾液の音を響かせる。

「もうそろそろ朝じゃねえか。
 まあ、俺も一発――」


男の中で、私はもう死体に見えているのだろう。
殺すことが決まって、注意をはらうこともなくどう扱ってもいい道具だ。
奉仕を続ける私の肩を掴んで引きはがし、硬くて痛い車内に転がして覆いかぶさってきて。
(-143) 2022/08/29(Mon) 18:52:33

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-143
「兄貴、今……」
「あ?」


運転席の男が、端末を手に声をかけてくる。

「ダニオのやつ、店の前で捕まったって…」
「……」


ぷは
、と。
思わず、笑いが漏れた。不覚だけど、もうどうでもいい。
あいつら、うまくやったのだ。
じゃあもう、私は無理だ。

「おい」

「っぁぐ」

噴き出した私のこめかみを、男の靴が踏みつける。
苛立っただろう、そうだろう。
けど、もういいのだ。
あの子たちがうまくやったのだから、私は腹いせに殺される。
あーあ、もう無理だ。そう思うと、さっきまで、

「あんたのちんこを舐めてたの、ばからしくなってき」

がん
、と。
顔面に叩き込まれた爪先に、言葉と息が飛ぶ。
火花がばぢばぢと目の奥底で飛び散って、叩きつけられた背中がとにかく痛い。
(-144) 2022/08/29(Mon) 18:53:51

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-144

「……っ、ぐ、……ぇほ……」
「死にてえのか」

「……」

どうせ殺すつもりじゃん。

「………どうせ、銃隠して店に入ったんでしょ?
 しかもあんたの手下、はじめましてでしょ…?
 あのね、一応、あんな場所で営業してんの。
 ファミリーの関係者の顔くらい抑えてんの……」

そう、ジュリアは良くやった。
今日のカウンターは誰だっけ? ロメオだっけ? あいつも気が利くようになったなあ。
ただやられるだけじゃ、だめだよ。
教えたでしょ。うまくできたじゃん。

もう、私いなくてもいいよね。
ごめんね。

男が途中から、私の言葉なんて聞かず、車内に転がっていた鉄パイプを掴むのを見て。
――私が残すひとたちに、喉の奥で謝りながら。
私は今度こそ、死ぬんだなあ、と思った。
(-145) 2022/08/29(Mon) 18:54:28

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-145

「――…………ざま、……み、ろ」

命乞いと嘆願の末。
その口許は、自らの身内が最後に残した勝利に、笑顔のように歪んでいた。

―――――
AM06:35
―――――



「ぁが」


がづん
、と。

肉を叩くとは思えないほどの硬い音が、また響く。
頭をかばうようにかかげた腕にぶちあたった鉄パイプが、骨を叩いてびりびりと震えている。

がづん。

「ぎぁ」


狭い車内では、振りかぶるにも限度がある。
それでも喧嘩に慣れている者には、いかに人を壊せるようにぶん殴ればいいかの知識がある。

がづん。

「げぁ、…っっは」

がづん。

「……っ」
がづん。
(-146) 2022/08/29(Mon) 18:55:36

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-146

がづん。

「ぎゃ、…ぁぁ、……ぁぁう…」


鳥が絞められるような、気持ち悪い声。
それが自分の喉から出ているとはいまだに信じられない。
既に視界はぼんやりと暈けていて、右のほうなんて精いっぱいひらいても半分くらいが真っ暗だ。

がづん。

「……、……っ」


どろり、と何かが零れたような気がした。
鉄パイプの先端が頭をかすめて、出血した――んだと思う。
脳みそくらい零れているかもしれないけど、だとしたらこうして考えている今はなんなのだろう。
ちがうのかな。ちがうんだろう。
なにが?
ちが

がづん。

「ぇげ、…ひ、……っひ、……は、…」


いびつなかたちにまとまりかけた思考が、衝撃でまた霧散する。
血反吐と歯の欠片を吐き出しながら転がって、もう痛みすら鈍り始めて、それでもただ苦しくてたまらない。
(-147) 2022/08/29(Mon) 18:56:33

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-147

「たす、……たすけ、……」


がづん。



「……」




ソニー。
用意してもらったのにね。ごめんね。
私が逃げればよかった。わかってる。
わかってるよぉ。ごめんね。あなたをもういちど、抱いてあげたかった。
トトー。
こんなになっても私のこと、綺麗っていってくれるかなあ。
ねえ、助けてよ。ねえ。何死んでんの? バカ。
きてよ。助けてよ。


がづん。

「たす、……や、…めぇ、てぇ…」


ルチア。お店行けなくてごめんね。
ジェラートおいしくて、…あなたのところでは私、なんだか素直になれて。
ああ、いきたい。いきたいよ。今度はモカ。エスプレッソ。


がづん。

「ごめ、なさ」
(-148) 2022/08/29(Mon) 18:59:00

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-148

ヴィー。ごめんね。あなたのお店にもういけなくて。
ヴィー、寂しかった。寂しかったの。あなただけが私のともだち。
あなたは助かって、あなただけは助かって。今どうしてる? ねえ、


がづん。

「ぇぇ、…ぅ、……ぅぇえ、……」


ヴェルデ。
愛してるよ。
愛してたよ。
私、あなたのためになれたかな。
私、あなたの、



がづん


ごめ




がづん
(-149) 2022/08/29(Mon) 19:00:43

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-149

―――――
AM06:50
―――――


――男たちが何か話している。
ずきずきとした痛みはもう痛みなのかどうかもよくわからず、
ただ不可思議な電気信号として私の全身を焼いていた。

「もう死んだか?」
「生きてる。ほっときゃ死ぬだろ?」
「まあやっとくか」


おいおい。私の命だぞ。
そんな簡単に決めないで。

もう半分くらいになってしまった視界を動かす。
男たちが何かを手に、私の足を掴んで開かせていた。
まだやんのかな、と思う。
サービスはできないよ。勝手にやるなら、いいけど。

「おい、普通に」
「いや、これやったらどうなんのかって」
「どうなんだろうな」


捕まえた虫の羽をどうちぎるかみたいな会話。
まあ、今の自分の状況をもしみたら、きっととてもみっともない、潰れた蝶々みたいな有様なんだろうけど。
もういいよ、どうせ死ぬんだから。
さっさと――
(-150) 2022/08/29(Mon) 19:01:20

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-150

ずぐ、と。
そんなことを考えていたら、さんざんに痛めつけられた下腹部に、また別の痛みが走った。

「……っ、ぁ…」

「お、動いた」
「結構入るな」


最悪。最悪。最悪最悪。
多分こいつら、悪ふざけでものを突っ込んできた。
人の身体をおもちゃにする連中は、たいてい穴に何か突っ込みたがる。
ごつごつとして硬い何か。粘膜をがりがりと傷つけながら、ええと、これは、まあ、なんでもいいけどさ──

「ばん」

「ぇ」


Si Vis Pacem, Para Bellum。平和を望むならば戦いに備えよ。


がち、と撃鉄が落ちる音がして。
どうやら私の体内で、9x19mmパラベラム弾がはじけ飛んだ。
(-151) 2022/08/29(Mon) 19:01:58

【独】 Ninna nanna ビアンカ

>>-151

ビアンカ・ロッカの体内で発砲された弾丸は腰骨を貫通し、脊髄を砕きながら体内を跳ねまわる。
骨に激突したことで弾頭が三つに砕け、それらが下腹部を中心に内蔵を著しく損傷させた。

「ぁ、あぁぁ、あぁ、ぁっぁあ、あ、あぁ、ぁぁあ、ぁ」


ビアンカはびくびくと痙攣するように、喉の奥から声のようなものをあげていた。
彼女の意識がその時あったかどうかは定かではない。
ただ体内で荒れ狂う銃弾が、その生命をずたずたに引き裂き、致命傷を与えたことは間違いが無かった。


「あ、……ぐぇ、ぇぼ、ぇお、……っっ」

「うわ」
「やべえ」


下腹部からの出血よりも早く。
びちゃびちゃと、その口からポンプのように鮮血が零れ落ちた。
ごとんと音がして頭部が傾いて、拘束されたままの腕と足がばたばたと跳ねて。

「……………ヴぇる、……でぇ………」


彼女の意識があったかどうかは、わからない。
多分、その場にいた誰も、意味のわからない名前をひとつ呼んで。

「……死んだな」
「すごかったな、カエルみてぇだった」
「じゃあ、書くか。書いたらバラして──…」


ビアンカ・ロッカは、死んだ。あとは、皆様の知るとおり。
(-153) 2022/08/29(Mon) 19:03:05
 




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注目:ビアンカ 解除する

生存者 (7)

ソニー
0回 残 たくさん

子守唄を歌ってよ

リカルド
10回 残 たくさん

ただいま

ヴィオレッタ
0回 残 たくさん

隣を失礼しますね

テンゴ
0回 残 たくさん

 

ストレガ
12回 残 たくさん

時を刻み続ける

ルチア
5回 残 たくさん

赤い華

ツィオ
4回 残 たくさん

 

犠牲者 (9)

アウグスト(2d)
0回 残 たくさん

 

フィオレロ(3d)
0回 残 たくさん

欲しかったな

アベラルド(4d)
0回 残 たくさん

「またな」

ヴェルデ(4d)
0回 残 たくさん

ありがとう

サルヴァトーレ(4d)
0回 残 たくさん

 

ヴェネリオ(5d)
0回 残 たくさん

子守歌を聴くか?

ラウラ(5d)
0回 残 たくさん

──未練と願い。

コルヴォ(6d)
0回 残 たくさん

Nessuno

マウロ(7d)
4回 残 たくさん

三人

処刑者 (4)

ロッシ(3d)
0回 残 たくさん

よい夢を。

マキアート(4d)
0回 残 たくさん

好きな席に、後輩

ビアンカ(5d)
0回 残 たくさん

くたばれ。

レヴィア(6d)
9回 残 たくさん

未来へ

突然死者 (0)

舞台 (2)

クリスティーナ
1回 残 たくさん

 

フラン
1回 残 たくさん

受取人不在につき

発言種別

通常発言
独り言
内緒話
囁き系
死者のうめき
舞台
置き手紙

一括操作




発言種別注目






















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運営 moonpupa
人狼物語 by あず/asbntby
人狼議事 by ななころび
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Schwarzwald(黒い森) by hagios
トロイカ TYPE:А / 哀愁のタタロチカ by かえるぴょこぴょこ/あさくら
ようちえんせんき かりんか / ハロリンカ / 凍れる水車 by かえるぴょこぴょこ/あさくら
霧雨降る街 / 少し大きな霧雨降る街 / 蒸気満ちる宴 by きりのれいん
メトロポリス / バビロン / ギルガメッシュ / Valhalla by すむろ水
ひなだん by hinaki
壱番街 / 壱番高校 by 壱猫[onecat]
外道大戦 by mtmt
都道府県キャラセット by kairi(企画代表)
繋<つなたま>魂 / 班帝家の一族 / H)SOCIUS(A by めいあ
もふぁんたじぃ / もふぉれすと by ほのゆる
Cathedral / 学園Cathedral / Grand Cathedral / 学園Grand Cathedral by Izuya
夜月町 by 夜月けい
南区 / 古今東西 by 南
IRO-COLORE(いろころる) by Izuya, 南
お茶会 / 演奏会 / 花見会 by ゆひろ
GNL / GNL+ by guiter-man
ジランドール / イルミネーション by may-co
シキメグリ by afinter
-汝人狼也-人物画 by 878, かんこ
closure / closure' by 閉
Emoricu / Cumorie / 黎明街 by milk_sugar
ワンダーズ言戯団 by pike
宝石箱《Jewel Box》 by 宝石箱制作委員会
文明開化 by sin
カティサーク by apricot with y_hyuga
月狼学園 / 人狼署 / 狼達の軍歌 by apricot
花一匁 / 桃酔郷 by さね
po!son / Girl's Talk by pure_g
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rhizome by CH3COOH
曲芸会 / 曲芸会Hello! by otokasa
AtoZ by 築
瑞洋館 by ういろ
LastSunday / HeaVen by 志摩
かくりよ by plmi
桃色concerto by 桃昆布
狼兎 by クロマ
人狼ヶ谷学園の放課後 by 竜山明日佳
bAroQue / tradimento by souya
Bokuyume. by 卜部
FGOキャラセット by 有志一同
魔法少女は眠らない by 魔法少女チップ企画
Liberte by みぃな
噛志野医院 by manamiz
メギド人狼 by メギドチップ企画
absolventi by ぶんちゃん
歳時抄 by 小由流
文アルセット by 文アルセット企画
荘園パック by ARC(企画代表)
Friends by 真知
城下町の酒場 / 大神学園 by じっぷ
エッグ by 朧恩
ぐれすけ・ぷらす by 純
ニューホライズン by youden
バーバチカ / プトロレ by たべ
ユメツナギ by 天瀬春日
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御常紀学園 by HS_29
オハナシノクニ by オハナシノクニ制作委員会
Fragment of Jewels by 粉海月
花園女学院 / 他種族孤児院 by はこみ
xxxx組 by サイコ瓦
おりふし学園 by めんるい
Fairytale Syndrome by hTuT
Salute by むくっこ
Le parterre by イヌバラ
Troopers by 人類管理連合
お野菜キャラセット画像 by 無料素材倶楽部
Siuil a Run by 匈歌ハトリ
紫煙をくゆらせ by 空砂
RocketPencil by 山本羅刹
エトリエ / エトリエ・戦国 by とり
ボワボンボン by あとらそふと
古の迷宮 by とり夫
JEX Online by katarazu
煌夜の決闘 by ジュエルセイバーFREE
こだわりアイコン by fatcow
トランプ画像 by しろま空間
リンソン by moonpupa