人狼物語 三日月国


69 【R18RP】乾いた風の向こうへ

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【秘】 le chien セト → 貴族の娘 アウドラ




   
Bonne chance à vous deux.
*


 
(-0) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 8:48:18

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   素敵な名前だと、思ってくれるの?
   ……嬉しい。
   名前について、あまり話したことが
   なかったからなのかもしれないけれど。


[ 彼が褒めながらも笑ったところを見て
  少しだけ頬を膨らませてみせたような。
  でもすぐにその表情は元に戻って、
  愛猫の新しい名前をピヤールに決めてもらい
  ふわっとした感情に包まれた。

  彼の物言いから、
  ピヤールの意味を知っているのかと
  彼女は聞きたくなったけれど、
  それは、どうして?と聞かれたら
  彼女が答えられなくなるので
  口にするのは躊躇われた。    ]



(D5) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:46:21

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   私は、不思議なの…?

   …確かに、うちから出たことがなくて、
   お母様の意向もあって輿入れもなく。
   …………外のお話が聞きたくなるわ。


[ ルシアン改めピヤールは
  人間の事情など全くお構いなしで
  お昼寝をはじめてしまい、
  彼から丸くなった毛玉を受け取った気分になる。

  その時一瞬だけ、彼女の手が
  彼の手に触れ合って、彼女の頬が少しだけ赤らんだ。
  だが、彼女自身は赤らんだとは知らず、
  大切そうにピヤールを抱えている。
  体が上下に動くピヤールを優しく撫で、
  セトを見上げれば、首を傾げた。   ]



(D6) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:47:54

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   ────そう、なのね。
   気をつけるわ、迷子のときは。
   オアシスを見つける旅だもの、ね?



[ 父親のことが嫌いと言われたとき、
  どうして、とは聞くことができなかった。
  聞く権利もないと思ったのと、
  彼の雰囲気から満足な生活を与えられていないと
  何も知らない彼女でも分かったから。

  彼女は腰を上げ、部屋からひっそりと去った。
  彼女はただ迷子になっているだけなのだけれど
  彼が何かを呟いたのなら、
  ふっと振り返ってなぁに?と聞いたかもしれない。 ]




(D7) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:48:42

【雲】 貴族の娘 アウドラ

────────


[ それから、何度も彼女は迷子になった。
  人が手薄になる時間や、両親が家から出ている時間を
  見計って、迷子になり逢瀬を重ねた。
  無論、彼女は生娘のまま。
  彼女にとっては異性に会うということ自体が
  逢瀬に近いのである。

  彼との距離は少しでも縮まっているか。
  そうなら、指のひとつでも自然を装って
  絡めているかもしれないが、
  彼女に他意はないのである。  ]


   ピヤールは、少しずつ成長しているわ。
   抱きかかえるのが少し大変に思うけれど
   あなたにとっては、そうでもないのかしら。


[ いつもではないけれど、
  偶に愛猫も一緒に迷子になっている。
  その時によく抱き抱えられているのを
  思い出して、今日はいないのに聞いてしまった。
  本当は、愛猫の話よりも
  もっと外と彼自身の話を聞きたいのに。 ]


(D8) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:49:40

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   外で私が暮らすなんて、
   とても……無謀な話だと、思う?


[ 彼の返事なんて、わかり切っているけれど
  聞きたくなってしまったから、
  彼女は素直に質問を口にする。

  実は彼に出会って、愛猫を紹介してから
  ずっと彼を自由にする方法を
  彼女なりに模索はしているのだが
  まだ分からなくて、何も伝えていない。
  彼の邪魔になっては意味もないので。   ]*



(D9) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:50:44

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   狩りをするなんて、本能には抗えないのかしら。

   まだ、今のところ狩猟の結果を
   持ってくることはないけれど、覚悟しておくわ。


[ 猫というものは、そういう生き物だと
  彼が教えてくれたか、他の誰かが言っていたか。
  あれ以来ピヤールは随分と彼を気に入り、
  一緒に遊びにきては勝手に腕の中から
  彼の膝の上へと移動するようになった。

  座るものがあるわけでもないので、
  彼女はしゃがみ込んだり、立ち上がったり、
  普通の貴族の娘からは考えられないことを
  この場所にいる間、よくやっている。
  他の誰とも会うわけではないので
  しゃがみ込むことに慣れていることには
  まだ気付かれていないと信じていたい。 ]



(D16) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 22:49:46

【雲】 貴族の娘 アウドラ


   そう、よね…………


[ 彼の返事に、彼女はゆっくりと頷く。
  そう言われるとわかっていて、
  彼に質問をしたのだから。

  でも、どこか動揺を隠さないでいる彼女は
  彼の瞳を見ることまでは出来た。
  その後は、少し呼吸を置いて。 ]


   …………お父様が、輿入れを…
   まだ、正式に決まったわけではないの。
   でも……全く会ったこともない方のところに
   行くことになってしまいそうで。

   
──────あなたなら、よかったのに。




(D17) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 22:50:35

【雲】 貴族の娘 アウドラ




[ 彼女の両親が、彼と会っていることに
  勘付いたわけではないと思いたいけれど
  先日、父親が縁談を持ち込んできた。
  慣例として数ヶ月に及ぶ婚礼の儀式を
  省略して早ければ数日以内に、と
  言ってきたのだ。

  勿論、彼女は何を今更、と嫌がった。
  だから、返事はまだしていないと思う。

  そんな話を鉄格子越しに彼と近づいて
  指を絡めながら出来ただろうか。
  彼女にはまだ好きという感情も未知で
  どうして彼ならいいのか、
  不明瞭な部分はある。

  けれど、何度も話をした相手だから
  安心してしまっているのかもしれない。 ]



(D18) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 22:51:25

【雲】 貴族の娘 アウドラ




   どうしたら、良いのかしら…………



[ 困った顔で声を潜めて、
  彼女はまた、彼に聞いてしまう。
  彼を困らせる内容でしかないというのに。 ]*



(D19) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 22:51:59

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   なら、近くに布を置いておくわ……
   褒めるのね、褒める……


[ 慣れていないことに変わりなく。
  こうやって、彼は知っている知識を彼女に
  優しく教えてくれることが多い。
  やはり、この国ではない彼だからか。
  外を知っている分、知識量は遥かに多く。

  近い距離で話をするようになってから
  彼の吐息を偶に感じるようになった気がして
  その度に胸の鼓動は速くなる。
  熱というものを、手のひらとその吐息で
  密かに感じてしまっているからだと
  彼女も少し気づき始めていた。

  しかし、いつもより大きな震え声に
  その感情は一気に切り裂かれてしまう。  ]



(D26) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:18:17

【雲】 貴族の娘 アウドラ



    どうして、そう言うの…?
    私は、…………


[ ひとまわり以上歳が違う異性のところなんて。

  その一言さえ言えていたら、
  話は変わったかもしれないのに。

  彼くらいの年齢、
  もしくは彼女と同じくらいの年齢なら
  もう大人しく従うしかないと思ったが、
  まさか、12歳以上も歳上の相手だなんて
  まだうら若き彼女にとっては受け入れがたい。
  だから嫌だと言っていたいのに、
  結局は子供は親には勝てないことが分かる。
  どう足掻こうとも、この婚礼は勝手に決められる。 ]



(D27) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:19:46

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   っ……────

   期待をしてしまった私が……
   子供だったのよ。そう、ね。……


[ 口元は笑っているのに視線を逸らされると
  彼女は立ち上がり別れの挨拶もなく
  その場を去っていった。
  その瞳は絶望を感じていたが、
  視線は合わなかったので彼に気づかれることも
  なかったと思われるのだが、定かではなく。 ]




(D28) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:20:41

【雲】 貴族の娘 アウドラ

──────────


[ あれから、彼の元へ迷子にはなることはなく。
  ただ手元にピヤールを置いて
  彼女は窓の外を眺めるのみ。

  婚礼など頭にはなく、衣装なんて
  そこに飾ってあるのみで、
  日の目を見るのだろうかと考えさせられる。 ]


   ピヤール?…………
   彼の元に行けるわね?


[ そう言って、彼女は簡単な手紙を
  愛猫の首輪にくくりつけて送り出した。
  多分、これが最後かもしれなくて。
  筆記具もなかっただろうから、
  彼からの返事は期待できないけれど
  もう会えないのであれば、
  最後くらい甘えさせてほしい。

  というのも、あの後彼女はほぼ幽閉に近く
  部屋から出ることを禁じられ、
  婚礼までの間、会う人を制限されていた。 ]


(D29) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:21:58

【秘】 貴族の娘 アウドラ → le chien セト



   無事に届いているかしら。
   明日には輿入れ。
   来世で幸せになりたいわ。
   あなたとなら、どんなところでも
   幸せになれると思っていたのだけれど
   さようなら、私の大切な人。

   



(-57) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:24:28

【雲】 貴族の娘 アウドラ



[ たしか、地下室を出るときに
  この言葉を使ったことはない。
  また、といつも言っていたはずだから。

  気づいてくれるかどうかもわからないけれど
  彼女は輿入れのタイミングを見計らって
  生きることから逃げ出してしまおうとしている。
  それは、勝手に婚礼を決めた父親への反抗。
  それだけを示しているが、
  正直言って怖くてたまらない。
  どうせなら誰かに連れ去られてしまう方が
  まだいいのではないかと、
  悪い方向にばかり考えてしまうほどに。  ]*



(D30) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:25:12

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   …………何も言わずに出てしまったわ。
   今度、会いにいくときを…
   最期にしましょう、か……


[ 婚姻を結ぶ相手のことを
  全く知らないわけではないのだけれど
  愛情から程遠い人のようだった。
  情欲のみを満たすために、
  第二夫人以降も娶っているらしく
  飽きてしまえば全く気にもかけないとか。

  真贋は全く見えてこないのに
  先々の不安だけはすぐに見えてくる。
  母なら止めてくれるのではないかと
  心のどこかで期待していたけれど
  そんなことはなく、
  寧ろ相手の支度金の潤沢さに
  差し出されたようなものはあった。 ]



(D39) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:52:19

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   外の世界が、楽しそうに見えてしまうせいね……


[ 彼と話して外のことを知り、
  侍女達とこっそりと外に出てそれを体感して。
  不自由ながらの自由というものを
  焦がれてしまうようになったから。
  彼女は、何もできないから、で
  話を終わらせてしまうような人ではないらしい。

  しかし、数日後。
  父親によって部屋から一歩も出られなくなった。

 『どこの馬の骨かもわからない犬に
  お前が噛みつかれてしまわないようにするため』

  そんなことを言って、部屋の鍵を閉めてしまった。 ]




(D40) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:52:57

【雲】 貴族の娘 アウドラ

────────


   あら、おかえりなさい。
   きちんと、わたせたかし…ら…………

[ 彼女は愛猫の首元に手紙が残っていたので
  残念ながら、ピヤールは会いにいかなった、と
  思い、火にくべようとその手紙をとった。

  しかし、最初のときとどこか違った巻き方に
  彼は読んだのでは、と感じたので
  改めてその手紙をひらいた。

  そこに残るは唇の跡。
  彼女は静かにその跡に自分の唇を重ねた。
  その思いは、血よりも濃い赤いものと
  感じ取ってしまったのだ。
  自惚れなら、彼にまた会ったときに
  さようならと言ってしまえばいい。  ]


(D41) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:53:53

【雲】 貴族の娘 アウドラ


   ピヤール?……私と一緒に来てくれる?

[ 夜になり、皆が寝静まる頃。
  扉が開けられるかどうか確認してみた。

  なんとまぁ。
  幸か不幸か簡単に開いてしまった。
  ピヤールは開いた扉からするりと抜け出し
  1人でどこかへ行ってしまったが、
  彼女は静かに気づかれぬように、
  地下室を目指して歩いた。    ]


   ……でも、どうしたらいいかしら……


[ 向かっている最中に大きな問題に気づく。

  鉄格子の鍵をどう解錠するのか。
  多分、持ってるのは父親だと思うけれど
  一本のはずはないと思って、
  何か、誰か他に、と考えていた。
  すると、目の前に父親の秘書のような
  存在の従者が見えたので
  こほん、と咳払いをした。     ]



(D42) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:54:35

【雲】 貴族の娘 アウドラ



   ねぇ……お父様の……あれ、
   いなくなってしまったみたいなの。


[ その人物は、それを聞いただけで
  目的地まで走っていったようだった。
  よし、とこっそり追いかけて
  彼がいる場所に向かうことに。
  ちゃりんと鍵が聞こえたとき、
  彼は目を覚ましていただろうか。

  彼女は背後からその人物の頭めがけて
  廊下に飾ってあったツボを
  振り下ろしたのだが、
  うまく失神してくれてほしい。  ]


   ……さいごのおわかれを
   してしまったことを後悔しているの。


 *
(D43) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:54:49
 




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