[子供服ブランドの今期のメインに抜擢された幼子は
CMで新作の服を着て可愛らしくハイハイしている。]

［話題に上げられる二人の思い出が増えていく中には
　付随するようにその時の彼の温度と羞恥が
　時々一緒に思い出されることが度々ある。

　着道楽の一つに新たに彼の衣装と服の中のものまで
　選ぶアイテムが広がっていくように。
　
　着物もそうなることを予想したのか、
　向かう矢先に気配りを向ける彼にくすくすと笑った。］


　　はぁい。
　　着物って長く着るものになるでしょうし、
　　慎重に並ばないとですよね。

　　いずれは留袖になって着れるように、って
　　成人式の時にも母と話した記憶があります。


［まだ単身で着物を選ぶほど興味は傾いていなくとも
　押しの強いセールスは気圧されてしまう節はある。
　そのことを見越しての彼の演技は
　自身の為だと感じながらも、
　彼自身を悪く見せたくなかった。］

　
　　買い物でも相談できる、
　　理解のある旦那さんだって私が自慢したいから
　　ちゃんと断れるようにします、ね？


［自身のが選んだ彼を
　いつでも胸を張って紹介できるように。］

［耳元でさ囁かれた追及の言葉には
　聞こえないふりをしながら返事をはぐらかすことにした。
　少し視線が泳いでしまったのは不器用さから。

　来た道を辿りながら、彼の視線の先を見上げる。］


　　……あ、あの映画今やってるんだ。


［そんな感想を垂れ幕を見て呟いた。
　そうして近いくにあった呉服屋さんに入店すると早々に
　ワゴンが目に留まる。意外と売れ筋なのかもしれない。］


　　わ。意外とたくさんありますね。
　　試着したほうがよさそう？


［物色していると彼が手に取ったのは
　可愛らしいレースの装飾が施されていた。］

　　かわいい〜……。靴下みたいですね。
　　これなら履き慣れているのと同じだし、
　　フリルもついていてかわいいかも。


［受け取ってまじまじとサイズとデザインを眺める。
　予想以上に可愛らしいアイテムがたくさん並んでいて
　今では洋服感覚で着れそうなものも増えてきているようだ。

　肌着はシンプルで迷う時間はそうそうなさそうで、
　サイズ次第では意外と手早く済ませそうだったから。］


　　……時間が余りそうなら、映画も見れるかな？


［と、さっき見かけた垂れ幕の映画の話題を口にする。**］